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52色 丸内林檎は逃亡中?
午前十時、私、丸内林檎は薄暗い路地裏を走っていた。 荒い呼吸を整える暇もなく、ただひたすらに走っていた。 正しく云えば《逃げていた》。 何から逃げているのかというと、
「いたぞ! そっちだ!」
図太い声が響き、水色の服と帽子の格好をした人達に……そう、『警察』に私は追いかけられている。
「りんごちゃん! こっち!」
私の隣を走っていた青年が曲がり角をみつけて曲がり、私もそれに続く。 しかし、その先にみえたのは、まっすぐ続く道ではなく、空に向かいそびえたつ壁だった。
「そんな! 行き止まり!?」
私達は引き返そうとしたが、数十メートル後ろからは警察の足音がドタバタと地響きを立てるかのように少しずつ確実に近づいてきていた。
「どうしよう、りんごちゃん!?」
青年は慌てる、どう考えたってこのままでは捕まる。 そして、私は荒い呼吸を整えると、今、私が一番思った言葉を口にする。
「丸内林檎史上最大の危機です」




