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107色 期待と不安

「……よし、こんなものですわね」


 夏休みに入って数日が経った日の夜、明日に迫ったリゾート地のプレオープンへ行く準備を終えたワタクシは一息付いた。


「ついに明日ですわね」


 ワタクシは自室の机に置いてあるタブレットを手に取り画面を確認する。


「…………」


 タブレットの画面をスライドさせてサイト内のボタンを指でタップすると、画面が切り替わり、そのサイトの説明を再度読む。


『リゾート地生産のコーヒー豆で仕立てた自慢の濃厚コーヒーゼリー』


 ワタクシが友人達を……いえ、『彼』をこのリゾート地に招待したかった理由はこのメニューを彼と一緒に味わいたかったからだ。 そして、彼の喜ぶ顔がみたいから。


 正直、このリゾート地の不可解な事件のことで誘うのは危ないと気が引けてしまいましたが、こんなチャンス滅多にないと思い切って決断しました。


「……本当に何事もなければいいのですが」


 そんな不安を抱いていると、ワタクシの部屋のドアがノックされ低い音がなった。


「はい、入っていいですわ」


 ワタクシが許可をすると、「失礼します」という挨拶の後、ワタクシと歳の変わらない執事姿の青年が入ってきた。


「お嬢様、準備でしたら私に申しつけて頂ければ良かったものを」


 青年はワタクシに一礼しながらも部屋の状況を確認したのか、ワタクシに向けいう。


「いいですわよ、このくらいできなきゃ只の箱入り娘ですわ。 それよりイブキ貴方こそ準備はできたんですの?」

「はい……ですが、私如きがお嬢様の護衛ならともかく『ご招待』を受けてしまっていいのでしょうか?」


 イブキは申し訳なさそうにいい、ワタクシはそれをみて溜息をつく。


「イブキ、余り主人に恥をかかせるものではありませんわよ。 それにこれは『ワタクシのことはいいからもっと青春を謳歌しなさい』という命令を聞かないアナタへの『罰』ですわ」

「なんとお優しい『罰』でしょうか」


 イブキの声から困惑の色が伺えるがワタクシは無理やり話を進める。


「とにかく、貴方は明日から数日間、ワタクシのことは考えずにリゾート地を満喫しなさい、これは『命令』ですわ」

「かしこまりました。 お嬢様の命令を命に代えても全うしてみせます」

「固いですわね」


 イブキの言葉に苦笑しながらもワタクシも心の中で明日を待ち遠しくなっていた。

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