102色 アンドロイドクウコ
「…………」
商店街の危機も無事乗り越えて、クロロンも退院した数日後、わたしたちはスミレのお店を貸し切ってパーティーをしていた。 しかし、そこになぜか首にヘッドホンをかけて、頭に音符の髪飾りをしている女の子の恰好をしたクロロンが現れた。
「…………」
しかも、なぜかめちゃくちゃ無表情。
「緑風さん、その恰好は一体……?」
「クウコはクウコ」
すごいカタコトで返してくる。
「きゃああああああ!!!」
しばらく、固まっていたリーンが叫びだし、どこから出したのか分からないカメラを這いずり回るように連射させる。
「わあー! クロロンかわいいね! どうしたの? そのカッコウ」
「マスターの命にヨリ、クウコは誕生し爆誕シタ」
這いずり回ってカメラを連射するリーンを横目にわたしはクロロンに近づき聞くけど、なぜか無表情のまま返してくる。
「もしかして、ロボットのマネ?」
「ノー、クウコはクウコ」
「ふふふ……思った通りだったろ? トウマ」
「そうだね、創造以上だね」
そこにレータとアランが満足そうに入ってきた。
「今度は、なにで緑風さんを誑かしたんですの? クソメガネ」
フラウムはクロロンの姿をみて少し興奮している感じだったけど、レータにゴミをみるかのような視線をむけて聞く。
「おいおい、今回は僕だけの仕業じゃないさ、トウマにも協力を仰いだ結果さ」
「そんな趣味があったんですね。 見損ないました、トウマくん」
今度はマルがアランにゴミをみるかのような視線を送る。
「ち、違うよ! りんごちゃん、ぼくは頼まれた商品を譲っただけだよ」
アランは慌てていう。
「何を譲ったんですか?」
「これさ」
マルの問いにレータはおもちゃのようなものをだす。
「それは、もしかして」
「仮面戦士 鎧亜武者、豪腕装備セット、作中では欠カセナイ、中間形態」
マルがいうよりも先にクロロンが無表情ながら説明する。
「コノ形態は最終形態の登場にヨリ出番コソヘッテシマッタガ、最終形態に変身スルニハ中間形態でアル、『豪腕形態』を経由シナイとイケナイ為、最後マデシッカリとミセバがアル人気形態」
クロロンは無表情のロボット喋りをしていたけど、少し興奮しながら説明しているようにみえた。
「まあ、緑風さんがそれに釣られたのは分かりましたが、なぜ、『女装ロボット』?」
フラウムはクロロンを横目に聞く。
「違うよ、フウちゃん、これは『譜楽音符』ちゃんのコスプレだよ」
「え?」
ヨダレを垂らしながら興奮してクロロンの写真をずっと撮っていたリーンがヨダレを拭きながらいう。
「譜楽音符数年程前まで大人気だった、綺麗な高音と歌声が特徴的な別名『アンドロイド歌姫』ですね」
マルが解説してくれる。
「へえーマル詳しいね」
「トウマくんがハマってましたからね」
「で、その歌姫のコスプレを緑風さんはしているのですね」
「イエス、チナミニクウコは全くシラナイ」
「なら、ダメじゃないですか」
「そこは大丈夫さ、アンドロイドみたいな喋り方をすればいいと伝えてあるからね」
「それで伝わってるんですの?」
「イエス、クウコは、マスターの忠実なシモベ、マスターの願イヲ叶え、サッサトソレヲヨコセト要求」
「ちょっと、怒ってません?」
「否、クウコには感情とイウモノはナイ、だから、怒りとイウ感情は理解デキナイ」
「徹底してますわね」
「しかし、哀れみは感じる」
「やっぱり怒ってません?」
フラウムがつっこんでいると、レータがトランプを取り出す。
「では、作中でもあったシーンを再現しようかな」
「ほう、作中再現ですか」
レータの言葉にマルは興味深そうにいう。
「そう、音符ちゃんが作中でみせた念写能力、分析能力を発揮するシーンだね」
アランが説明してくれる。
「ですが、緑風さんはコスプレしてるだけですので、そんな能力ありませんわよね?」
フラウムが首を傾げながら聞く。
「そこはノリと勢いだよ」
「それでいいんですの?」
さすがにそこまでは再現できなかったようだ。
レータはトランプを二枚裏向きにして並べる。
「よし、クウタ、この二枚のどちらかがジョーカーだ、そのジョーカーを当てたまえ」
「イエス、マスター」
「只の二択ですね」
つっこむマルを気にせずにクロロンはカードの前に立ち手を前にだす。
「明鏡止水、これがクウコのチカラ」
二枚のカードを交互に手をかざし、確認していくと、左のカードで手を止める。
「マスター、左ノカードを選ぶコトヲ推奨」
左のカードを指さしながらレータにいう。
「確率ハ50パーセント」
「意外と低いな」
「二択ですからね」
レータはクロロンの示したカードをめくる、すると、それは見事にジョーカーだった。
「おお、当たりじゃないか」
「アルティメットエターナルプレミアムスカイクウコ爆誕」
「めちゃくちゃ喜んでるのは伝わりますね」
無表情のまま喜ぶクロロンにマルが冷静につっこむ。
「全身脱毛、それがマスターの真の姿」
「そんな姿は嫌だな」
クロロンの発言を軽く流しながら、レータはなにかに気づいたのかクロロンにいう。
「おい、クウタ、スカートの後ろにホコリが付いてるぞ」
「!?」
ホコリを取ろうとクロロンのスカートに触れようとした瞬間、目にも止まらぬ速さでフラウムがレータのお尻にキックを入れた。
「ぐえぇっ!?」
「マスターに甚大なダメージ確認、観測する」
フラウムに蹴られたレータをみてクロロンはいうとすぐに言葉を続ける。
「下半身損傷、股間激痛、マスター、パーツを取り換えるコトヲ推奨」
「……痛いのは、お尻だ……パーツは取り換えれないよ……」
「マスター、汚茂呂居、空子爆笑」
「クウタ、もしかして、楽しんでないかい?」
「虚言眼鏡、真実語れ」
「よし、すまなかった、報酬あげるから終わりにしようか……」
周りの視線に我慢できなくなったレータはクロロンの報酬を渡した。
その後、わたしたちはパーティーを楽しんだ。




