第2話「博士と野生の妹 前編」
今日もいつも見慣れた光景のように博士が、ギャルゲーをプレイしていると、彼はつぶやいた。
「妹って、やっぱええの・・・」
突然の振りに少々驚いた僕は淡々と返した。
「あの・・・僕、妹います。もちろん現実の方です。」
「なぬぬ!?ななな、何故それをもっと早く言わんのじゃじゃッ!?」
博士がバグを起こした何世代か前のゲーム機のように問い返す。
「いや、今まで特に言う機会がなかっただけで・・・」
「そ・・・それは、野生の妹なのか?」
「意味の分からないこと言わないでくださいよ。だいたい野生の妹って何なんですか・・・こっちが聞きたいですよ。」
「今度、ちょっと会ってみたいの」
「嫌ですよ。大体博士ここに置いてあるゲームソフトって見られても大丈夫なんですか?」
「ワシ自身は問題ないよ。」
「つまり見た側には問題が生じると・・・」
僕がこう言うと2人の間にしばらく沈黙が流れる。
「ピンポーン」
とドアチャイムの音が沈黙を破った。
「ワシが出るよ。」
ガチャリと博士がドアを開けるとそこに目に入ってきたのは・・・
「あの、お兄ちゃんは来ていませんか?」
妹が現れてしまった。それは正真正銘の僕の妹だった。
博士は突然すぎる出来事に、更なるバグを起こしかけていたので、
「博士落ち着いてください。僕の妹です!野生じゃありません!」
彼女の名は海野蛍と言って小6の少し小柄な女の子だ。
「そ、そうか、ワシとしたことが・・・」
博士が取り乱していると
「お友達と仲直りがしたいの!」
それは今にも泣き出しそうな、妹の声だった。