プロローグ「博士と少年」
プロローグ「博士と少年」
「今日も美少女は空から降ってこなかったか……」
白髪混じりの眼鏡をかけた男性は残念そうに呟いた。
彼は学会を追放された博士で、今は小さな自称研究所でギャルゲーをプレイしている。
中学生の僕は、訳あってこの博士の自称研究所によく出入りさせてもらっている。
「やっぱりこの何かしてあげたら、『別にあんたのためじゃないんだからね!』って言う娘とかは格別にええのう……」
照り返したゲーム画面の反射で博士の眼鏡が怪しく光る。
「そういうキャラってツンデレって言うみたいですよ。今ではその単語みんな使ってますし……」
僕がとっさに返すと
「はぁ!?ツンデレって言葉くらい知ってるし。スクールカースト上位のやつとか運動部の子とか若い娘も使うの?」と博士が若干キレ気味に返す。
「ええ、リア充って呼ばれる人達も今はツンデレって単語、普通に使ってますよ。」
すると博士は
「わしらの若い頃は……」とぼやきつつ、積まれている「THE KING ○F FIGHTERS '97」を取り出して本体にセットしようとしていた。
だけどその時の僕は、ある重大な事に気がついていなかった。
博士の愛した「ネオ○オ」は、今はもう動かないことに。