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4話 シャルナ・アースレイ その1


「びっくりしたわよ、あんた……まさかあの、オーガロードを一人で倒すなんて」


「俺としても死んだとは思っていたよ。でもまあ、何とかなるもんだなとは思う」


 俺はオーガロードのドロップアイテムを一通り回収した後、目の前に現れた女性と一緒にヘンゼットタウンに戻って来ていた。現在は冒険者ギルドのソファで話をしている。オーガロードを倒したことを女性は驚いているが、俺としても未だに信じられない思いだ。


「それにしても……どこかで見た女性だと思っていたけど、まさかあのSランク冒険者パーティ、グリムハウトのメンバーだったなんてな」


「グリムハウト」はヘンゼットタウンだけではなく、各地でも有名な冒険者パーティだ。Sランクという立ち位置にいる為、冒険者全体で見ても相当高レベルのチームになっている。


「そんなに大したものではないけど、改めて自己紹介するわね。私はシャルナ・アースレイよろしくね」


「俺はカイン・オラシオン。ええと、よろしく……」


 彼女の年齢が分からないため、タメ口で話すかどうかは悩んだ。ただ、見た目的には俺の方が歳上に見えるからそのまま通すことにする。しかしまさか、Sランク冒険者パーティのシャルナが、どうして初心者ダンジョンと言われているマリスの遺跡にいたのだろうか?


「シャルナはなんであの場にいたんだ? マリスの遺跡は君ほどの実力者が入るダンジョンではないと思うけど」


「最近、あのダンジョンに今までには見られない魔物の目撃情報があったの。それで、私は調査がてら赴いていたんだけど。まさかオーガロードに出会うとは思わなかったわ。しかも、カインはそれを倒してしまうし」


 やはり俺が倒したオーガロードはそのくらい強い相手だったということか。グリムハウトのメンバーが言うくらいだしな。これは自信に繋がるかもしれない。


「オーガロードを倒したことも驚いだけれど、もっと驚きなのはカインの補助魔法の効果よ」


「ああ、そのことか……俺も信じられないんだけど。どうやら素の状態からでも、パワーアップやスピードアップなどを掛ければオーガロードを倒せるレベルにはなるらしい」


「やっぱりそうだったのね。今現在のあなたに、オーガロードを倒せる強さがあるとは思えないし」


 情けない話だが、現在の俺の素の実力はそんなものだ。シャルナの言っていることは間違っていない。そんな俺でも強敵のオーガロードを倒せるようになる補助魔法の効果……一体、どれだけの強化になっていたのだろうか。


「でもカインって、仲間とかいないの? 一人でダンジョンに来ていたようだけれど」


「それは……色々あって、仲間とは絶縁状態になったんだよ。今は一人さ」


 シャルナの前ではなんとなく追放の話はしたくなかった。そのため言葉を適当に濁しておく。これは男のプライドというやつだろうか?


「そうなんだ……それならさ、カイン。あなたが良いなら、グリムハウトに来ない?」


「はい?」


 そんな時、シャルナからとんでもないことを言われた気がした。俺がSランク冒険者パーティの「グリムハウト」に……?


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