10話 カインの仲間入り その3
「パワーアップやスピードアップなどの補助魔法の使い手か、なるほど」
「ええ、まあ……そういうことになりますね」
俺はパーティのリーダーであるリーリャさんから質問を受けていた。加入する際の面接のようなものだろうか。
「今まではBランクパーティのハリウッダに在籍していたんだな?」
「はい」
「なぜ、そのパーティから出たんだ?」
答えにくい質問がきたな。まあ、シャルナにも話しているから問題はないが。
「俺の補助魔法の効果が弱いとして追放されたんですよ」
「君の魔法は効果が弱いのか?」
「ハリウッダ内ではそれなりに効果があったと思っていましたが……リーダーのシウスはそうは思っていなかったようです」
「ふむ」
そこで一旦質問が終わった。リーリャさんは何か考え込んでいるようだ。
「シャルナ、彼の補助魔法は相当に強烈だと言っていたが……正しいのか?」
「もちろんよ、リーリャ。今のカインからは想像できないと思うけど、彼は自分に補助魔法を掛けるだけでオーガロードを倒したんだから」
「オーガロードを単騎で倒したと言うのか? Bランク冒険者が?」
「その通りよ、リーリャ」
顔色こそほとんど変わっていなかったが、その言葉には驚きの表現が加えられていた。やっぱりBランクでオーガロードを倒したのは、かなり凄いことのようだ。
「それだけじゃないわ。彼は神秘の迷宮でも活躍していたし、私に補助魔法を掛けてくれることでリザードロードも楽勝で倒せるようになったしね」
「リザードロードにも襲われたのか、大変だったな」
「カインがいなければ厳しかったけど、この通り無傷で生還できたわ」
「なるほど……シャルナがそこまで言うとは。なかなかの逸材のようだな、カイン」
「いえ、俺なんて別に……所詮は追放された身ですしね」
「ふむ、追放されたというが……そのシウスという男は何を考えていたんだろうな」
リーリャさんもシウスの考えは分からないみたいだった。まあ、あいつは俺を遠ざけて優越感に浸りたかったんだろうな。あとはパーティとしての分け前を増やす意味合いもあったのかもしれないが。どちらにしろ、俺が役立たずであると判断してのことだろう。あいつら今頃、どうしているんだろうか?
まあ、考えるだけ無駄か。ヘンゼットタウンにはもういないだろうからな。
「面白いじゃん、カイン。なあリーダー、どのみち採用する気なんだろ?」
「そうだな、マルクス。私のパーティも一人抜けたばかりだからな」
「それならよ、明日早速、カインの働きぶりを拝むとしようぜ。楽しみで仕方ねぇよ」
グリムハウトも一人パーティから離脱者がいたのか。そういえば以前に見た迫力ある男の姿がないように思えるしな。ていうか、マルクスまでやたらと乗り気でかなり緊張するんだが……。
「ふふふ、ではそうするとしようか。カイン」
「は、はい」
「今の段階は試用期間だ。明日、君の強さを確認させてもらう。あまり緊張する必要はないがそのつもりでいて欲しい」
「わ、わかりました」
今はまだ試用期間というわけか。まあ、当然と言えば当然だろうけど。
「良かったわね、カイン。改めてよろしくね」
「ああ、よろしくお願いするよシャルナ」
シャルナは俺が正式に加入しているような口振りだった。それだけ信用してくれているということなのか。リーリャさん達も普通に俺のことを受け入れてくれたしな。今日会ったばかりのメンバーだが、ここで働いてみたいと思わせる雰囲気だった。
明日の試験は必ず通りたいところだ。
その日、俺はグリムハウトが集う宿で泊まることを許可された。今まで寝たことがないような豪華なベッドの上で夜を明かした。




