再会
第1話『再会』
ホワイトシティの中心にある巨大な建造物グランドタワーの門前に一人の男性が立っていた。短く切りそろえられた黒髪に野性味があるものの程よく整った顔立ち、190cmを超える身長に引き締まった体は周りの視線を集めていた。
龍介「まさか日本にまた戻ってくるとはな・・」
門前に立ち尽くしている龍介に警備員が声をかける。
警備員「こちらは関係者以外立ち入り禁止の場所です。証明書や招待状はお持ちですか」
龍介「ああ、招待状な・・これで大丈夫か」
警備員の問いに龍介はポケットから一枚の封筒を取り出した。
警備員「はい、確認しますね。これは・・・確認しました。どうぞお入りください。館内に受付嬢がいますから招待状をお渡しください」
龍介「了解だ。ありがとさん」
龍介は警備員から渡された封筒を再びポケットに戻しゲートを通っていく。グランドタワーの中に入った龍介は中央で作業を行っていいた受付嬢に話しかける。
龍介「仕事中のところ悪い、警備員の人にこれを渡せって言われたんだが」
受付嬢「はい、確認いたしますね。・・・・招待状確認しました。日下部のところまでご案内します」
龍介「いいのか。仕事中のようだが」
受付嬢「かまいません。こちらの方が重要ですので」
龍介「そうか。じゃあよろしく頼む」
受付嬢「かしこまりました」
龍介は受付嬢に案内されエレベーターに乗り込む。受付嬢が最上階【50階】のボタンを押すとエレベーターは高速で動き出す。数十秒後エレベーターが最上階に到着する。
受付嬢「どうぞこちらへ」
受付嬢の案内で一直線に伸びた廊下を進み30mほど歩いたところで最奥の扉の前に立つ。
受付嬢「日下部都知事、桜木龍介様がご到着されました」
里美「わかった。はいってくれてかまわないぞ」
受付嬢が扉の外から話しかけると中から落ち着いた女性の声が返ってくる。
受付嬢「ではお入りください。私はこれで失礼いたします」
龍介「ああ助かったよ。ありがとう」
龍介は受付嬢にお礼を言うと扉を開けて入室する。室内には既に3人の女性と1人の男性が椅子に座っていた。
里美「やあ久しぶりだね龍介くん」
龍介「お久しぶりです日下部さん」
入室後最初に声をかけてきたのは先ほどの声の主である日下部美里であった。その姿は以前と変わらぬ美しさであった。
里美「君は相変わらずいろんな戦場を駆け回っているようだね」
龍介「里美さんはずいぶんと出世しましたね。今では大都市のトップだなんて」
里美「ふっ、そうだね。私にもいろいろあったんだ」
里美は現在の自分と過去の自分を比較して小さく微笑んだ。
麗香「ひさしぶりですわ桜木」
龍介「久しぶりだな麗香」
次に声をかけてきたのは頭部にある黄金に輝く二つのドリルが特徴的な三木島麗香であった。その美しさはさらに磨きがかかったように思える。
蓮人「久しぶり龍介、元気にしてたか~」
龍介「おう久しぶりだな蓮人。お前も変わりないか」
次に声をかけたのは茶髪にピアスと少しチャラさの残る青年であった。以前と変わらないようだが少しだけ瘦せたように感じる。彼は椅子から立ち上がると龍介に向かって拳を差し出した。
蓮人「俺は相変わらず毎日を楽しんで生きてるよ」
龍介「そうか」
蓮人に返事をしながら龍介は蓮人の拳に自身の拳を重ねた。これは戦場で顔を合わせた際に行う2人の恒例行事である。蓮人に対応している龍介の脇腹に小さな衝撃がかかり体勢を崩してしまう。
寧々「おひさりゅう」
龍介「おっとっと、久しぶりだな寧々。お前の抱き着き癖は相変わらずのようだな」
寧々「りゅうが特別」
龍介「嬉しいが電話でやり取りは良くしていただろ」
寧々「りゅうの匂い久しぶりだから」
龍介「まったく」
龍介は抱き着いてきた寧々の頭をなでながら苦笑いを浮かべる。自身の脇腹に引っ付いている小柄な少女は煌く銀色の髪が特徴的な美少女だった。彼女の容姿は一部を除いて全く変わっていない。
龍介「お前は全く変わっていないな」
寧々「ちがう。ちゃんと成長した。特にここ」
寧々が龍介から少し距離をとり自身の胸を持ち上げる。
龍介「そうだな成長したな。はっはっは」
寧々「むぅ。子ども扱い不満」
里美「んん。挨拶もそこらへんにして龍介くんも座りたまえ」
寧々とのやり取りを見ていた里美が龍介に座ることを促す。
龍介「そうですね。では失礼して」
龍介は寧々とのやり取りをいったん止め椅子へと座った。龍介が座ったのを確認し里美が口を開く。
里美「改めて、今回は急な要請にもかかわらず集まってくれて感謝する。ありがとう」
龍介「里美さんのお願いですからね」
寧々「おなじく」
麗香「戦場ではお世話になったもの」
蓮人「そうそう」
里美の言葉に4人がそれぞれ返答する。それに対して里美は笑顔で返した。
里美「ありがとう。さて今回4人に集まってもらったのは新たに創設される部隊に参加してほしいというお願いなんだが」
龍介「新しい部隊ですか」
里美の言葉を聞いて4人は首を傾げた。
龍介「どんな部隊なのか教えていただいても」
4人を代表して龍介が里美へと質問を投げかける。それに対して里美は少し間をとった後口を開いた。
里美「ああ、今回新たに創設される部隊は対妖魔特殊機動部隊。つまり妖魔を退治するのが任務となる」