☆メインストーリー6-9「憑依体スミス」※挿絵有
※仮想空間においての会話は
名前「会話文」の特殊表記となります。
詳細はあらすじにて
~電脳村外れ・丘
憑依体「さあかかってこい!」
スミスに憑依をし一つになった少年淘汰。
那老に立ち向かうという点で感情が共鳴し憑依することが出来たのだろう。
しかし憑依体の中でスミスが怒鳴った。
『どういうことじゃ!
ケジメをつけさせてくれんのか!?』
そのケジメ俺らで付けよう。
言ったろ?
“仲間一人欠ける事無く絶対にあんな破滅の未来は避けような”って。
那老「なるほど56戦でも見たが仲間と共に戦う技憑依。
それがお前の選んだ道か。
もうやめだ、これ以上戦う必要は無い」
憑依体「逃げるのか?
まだ戦えるぞ!」
那老「親子喧嘩で誰かが死ぬなんてごめんだ。
それに母さん泣かせちゃ終わりだからな」
その言葉に000の方を振り返ると静かに涙を流していた。
000「もうやめよう。
十分伝わったでしょ那老」
ふと気が抜けた途端体が二つに分かれた。
スミスはぼろぼろな状態であり、回復術を000がかけた。
スミス「ジョーカーの時のお返しというやつか。
すまんのう」
000「違うよ、仲間だから助けるのは当然。
もうあんなことはしないでね」
あともう一歩の所だったのだろう。
かなり体に負荷がかかっていたのか回復に時間がかかっているようであった。
その様子を那老は見ながら俺に声をかけた。
那老「なぜ俺が那老って名前か。
お前は分かるか?」
淘汰「ん?」
思わず気の抜けた声を出してしまったが那老は真剣な表情で続けた。
那老「俺も元々は淘汰という名前のアバターを使っていたのだが妻を失い淘汰でいることをやめた。
本名である那藤太郎からとうたを取り残された文字、なろう。
そして那藤が老いたから那老と名乗ることにした」
淘汰「なるほどな」
那老は一呼吸をおいて優しげに呟いた。
那老「心から涙を流した妻の現身。
俺が変わる前の淘汰。
そしてガチで命を懸けやがる息子。
そんな姿を見たら俺は満足したよ。
持ってけ」
このタイミングで説明を受け頷く俺に対し彼は天国への鍵を渡してきた。
淘汰「ありがとう。
那老、ひとつ聞いてもいいか?」
那老「なんだ?」
淘汰「この世界線はどう思う?」
那老「言わせるな。
希望が見えたからそれを渡したんだ。
俺はここを去る。
多分もう会うことはないだろう」
どこへ行くのか聞く前に彼は空間に穴を開け消えていってしまった。
さてと振り向こうとした時犬らしきものが頭をすり抜けていった。
ぽち「よくやったなヒョロガキ!」
淘汰「ぽち!
ってみんな!」
そこには天裁と織姫とレイブンが立っていた。
織姫「来るなって言われたから来てやったわよ。
しっかし本当に歳なんだから大事になさいよ」
スミス「酒飲みに言われたかないのう」
レイブン「それはあんただけに言われたくはない」
スミス「笑わせるな、今体が痛いんじゃ」
周りが朗らかに笑うと俺も一安心し安堵のため息をついた。
先程酔っていたレイブンもすっかり酔いが抜けていた。
天裁「ギルドegoのメンバー誰一人欠けることなく済み安心しましたね」
レイブン「ああ。
場合によってはあっしらで止めようと思ってたんだが親子でケジメがついて良かったな」
不意に俺は疑問になったことを話した。
淘汰「なぁスミス。
天国への鍵を手に入れたってことは次の目的地は天国ってことか?」
スミス「ああそうじゃ。
ここに着くまでは確信に至らなかった。
だがノアからの報告でフェンリル達が天国に向かったとあり死神の場所を把握した」
織姫「天国は未来GGMの統括区域。
つまり死神が管理している場所。
フェンリルから逃げて天に還ったってことね」
淘汰「つまり決戦の地ということか」
俺は視線を上げ空に目を向けた。
そこにあるかは分からないが青い空が広がっている。
不意に天を覆うほどの大きな人が映った。
俺は指をさしみんなに呼びかける。
淘汰「おい空の様子がおかしいぞ!」
俺らは空を見上げると白髪の青年が俺らの事を見下ろしていた。
白眼「ははは。
ごめんねこんな目立つやり方嫌いなんだけど
緑眼の頼みでさ」
織姫「……!?」
その姿を見た織姫はどうやら面識があるようだ。
白眼「僕は瞳の勇者の一人。白眼と呼んでくれ。
君たちの言う通り天国に我らが神がいる。
是非とも器である織姫と魂を一体化させ、我らが神を完成させてくれ。
待ってるよ。じゃあね」
一方的に彼は言うと空は再び青くなった。
織姫「むかつくわね。
私を素材扱いして」
淘汰「でも勝つんだろ?」
俺らの目的は死神の魂を織姫に取り込み、織姫がその魂を消化させるのが目的だ。
強い闇の意志に織姫が打ち勝つこと。
それを最初からどうせ負けると言われ彼女は腹立ったのだろう。
織姫「勝つわよ!
……勝つしかないのだから」
強い口調で言い放つ彼女だがどこか不安そうな表情を感じた。




