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【挿絵400枚】2055~ステータス0の亡者  作者: 烈火
第3章 没落軍師 天裁
33/83

☆メインストーリー3-6 「ただ一つの望み」※挿絵有

~現実世界・学校 終礼


挿絵(By みてみん)


「起立!気を付け!」


ガタっという音で目を覚ます。

周囲には制服を来た生徒達。

そして沢山並ぶ机。


突然の状態に慌ててきょろきょろとする。


「那藤!

寝てるんじゃない!」


先生らしき女性の一喝に背筋をピンとし立ち上がる黒髪の少年。


那藤(なとう) 太郎(たろう)、それは俺の本名だ。

間の文字をとって淘汰と呼ばれたりする。


この威圧感は担任の烏丸(からすまる)先生だ。

立ち上がったがチョークがデコに当たった


「痛った!」


額を抑えていると横の席から凛とした男子生徒の声が響く。


「先生!それはやり過ぎです」


手を挙げたのは天裁(てんさい)だ。

彼の姿を見て不意にここまでの経緯の記憶が蘇った。



~仮想空間・真実の都市アクアリゾート



寂れたビルに荒れ果てた地面。

俺がいたのは中央の広場だった。


挿絵(By みてみん)


二人の女性が目の前に立っている。

金銀の長い髪で狐のような獣人。

顔立ちがそっくりで双子のようだ。


そして目の前にはうずくまる男性。

天裁がいる。


獣人の二人組はとても心配そうな表情を彼に向けていたが俺に気付いた。


銀閣「ああ!おまえは!?」


淘汰「ん?誰だ?」


その反応に銀髪の女は唖然した。

少しの間があり隣の金髪の女性が彼女に耳打ちをする。

何か打ち合わせていた。


それを終え二人とも穏やかな表情で話しかけてきた。


金閣「うちは金閣(きんかく)

そして横におるのが妹の銀閣(ぎんかく)

双子の電脳生命体や。

幻覚にかかった人間の面倒を見る役割をさせられとる」


銀閣「びっくりしたわ。

この空間で正気を保っとるんやもんな。

えーとお前さん淘汰っていうんか?」


二人はそのまま距離を詰めてきた。

敵か味方か良くは分からない。

手を前に出し静止させる。


淘汰「事前に言っておくが俺はダメージが発生するとすり抜ける性質で互いに危害は加えられない。

その上で聞く。

お前らは電脳王彦星の関係者か?」


電脳生命体の王彦星。

この地球を支配し現実世界から100億の人間の意識を仮想空間に閉じ込めた黒幕だ。


その言葉に銀閣がギョロっとし金閣がビンタを食らわせた。

派手な音に一瞬目をつぶる。


金閣「コンプラいうものがあります。

ただ誤魔化したところでしゃあないし。

互いに傷付けられんなら信用できるし都合ええ」


銀閣「殴られ損やん!!」


なるほど彦星の仲間か。

しかし会話からは敵意はない。

むしろ何か別の目的がありそうだ。

その予感は的中した。


金閣「うちらとあんたの目的は合う。

そこにいる天裁をな、その」


言葉を濁らせる金閣。

そこを補うように銀閣が割り込んだ。


銀閣「天裁を救って欲しいんや!

私達は彦星の直属の部下やけど……痛った!」


金閣「要らんことええ言うとるやろ。

確かに彦星様に怒られるけどうちらも覚悟しとる」


また銀閣に手が入った、かなり痛そうだ。

確かにこれ殴られ損だな。


息を吸った後金閣が話し始める。


挿絵(By みてみん)


金閣「この欲望の都市で天裁は唯一悪夢を見とる。

最初は幸せそうだけど必ず悪夢なんや。

本人の相当な自責の念が原因らしい。

しかも年々壊れ始めきとってな……。

その姿見とるとうちらもくるもんがある」


天裁を心配そうに見る二人組。

本来なら敵の間だがここ何年も彼の姿を見て心を痛めたのかな。


異常に苦しんでいる天裁。

俺はその姿を見て感じたことは

彼女達の気持ちと同じだった。


放っておけない!


淘汰「出来ることはないか?

俺も天裁を助けたい!」





~天裁の心理空間・学校




周囲からブーイングが上がった。

教卓にいる先生が冷たい目で天裁を怒鳴った。


「天裁。

お前が仕事を全うとしないからこうなってる!

中途半端だから彦星戦で

神谷も死に、那藤も死に、人類も死んだ」


俺は突然の言葉に思わず口を開けた。

生徒達も口々に声を上げる。

その中には友人の速水がいた。


「天裁が弱いせいではやみんも死んだ。

苦しかった、痛かった、辛かった!

親友のMr.Bも犠牲にしたんでしょ!?

みんなみんなお前のせいだ!」


「みんな何を言ってるんだ?」


俺は思わず呟いたがみんな聞こえていない。

そこに居ないはずの織姫もいた。


「天裁。

あんたはいつも口だけ。

努力してるって言っても結果はない。

才能がない癖天才なんて馬鹿じゃないの」


挿絵(By みてみん)


顔を下に向ける天裁。

彼の肩は小刻みに震えていた。


怒りのあまり俺は自分の机を思いっきり叩いた。


「やめろ!」


「いえ、正しいんです」


その声は静かだった。

振り向くと俯いた天裁がいた。


「私のせいでみんなが不幸になった。

望む世界で生きることができるなら」


彼は顔を上げると真剣な眼差しを俺に向けた。


「この地獄で自責の念を果たしましょう。

それが私に出来る贖罪です」


「俺は少なくともそれは望まないよ。

みんなも死んだ訳じゃない。

仮想空間に閉じ込められてるだけだ。

こんな所からさっさと出よう!」


「淘汰さん……」


説得できるか分からない。

でもこの苦しみを彼に味合わせたくない。


しかしその途端だ。

天裁は俺の肩を掴み怒鳴った。


挿絵(By みてみん)


「あなたは私の気持ちが分かりますか!

恐怖を乗り越えず挫折し

打ちのめされた私の気持ちが!」


黙ってしまった。

俺には記憶が無い。

本物の天裁と話した記憶は失われている。


「無理だ!彦星を倒すことは出来ない!

私が尊敬したあなたが倒せなかった!

しかも記憶を失い今更何を言うんだ!」


天裁の言葉は重かった。

記憶を失った俺は元の俺とは違う。

だがやらなきゃいけないことがあるんだ。


その為なら彦星もフェンリルも超えなきゃいけない。


「確かに俺は記憶を失った。

それでも取り戻したいものがある。

だから現状を変えたいんだ」


天裁は俺の事を見下ろした。

周囲の生徒からも視線を感じる。


「それは一体何ですか!?

記憶とでもいうのか?」


正直彼の表情もこの状態もとても怖かった。

俺は極度に追い詰められ唇を噛む。


「おい、言ってみろ!」


強く太い声に思わず頬を引き()らせる。

天裁の目を強く見つめやっと口が開いた。


「本当の日常だ」


心の底から出た声。


後は殴られようが構わない。

俺は何があろうと言ってやろうと思っていた。


これは記憶を失った俺にとって

ただ一つの望みだからだ。


手が振り上げられる。


それでも天裁を最後まで見つめる。


「!」


突然強く抱き締められた。

彼は嗚咽に混じり何度も強く頷いた。


挿絵(By みてみん)


「ええ絶対に。

絶対に、取り戻しましょう!

私も失ったその日常を取り戻したいっ!」


肩が濡れるのを感じた。

俺も頷き確固たる決意で答えた。


「ああ!」


その時だ。

突然ガラスが割れる音が響く。


ぞっとする誰かの声がした。


「なら超えてみろ」


その声の主を探す。

周囲に居た生徒達は消えていた。

嫌な予感がした。


「淘汰さん!

教卓です!あの先に誰かがいる!」


天裁の言葉に先程烏丸先生が立っていた場所。

教卓の方を向いた。


空間にヒビが入っていた。

それは徐々に大きくなり吹き飛んだ。

強い風と共に空間が裂けたその先にいた存在。


それを見た瞬間身の毛がよだつのを感じた。


巨大な機械、巨体な双腕、巨大な躰。

その内部にいる白髪の男。


挿絵(By みてみん)


彦星「我こそが電脳王彦星である!」


紛れもない最大の宿敵であった。

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