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【挿絵400枚】2055~ステータス0の亡者  作者: 烈火
第3章 没落軍師 天裁
32/83

・番外編 ぽち+主人公 『犬』※挿絵有

挿絵(By みてみん)


~現実世界・住研究 犬小屋


「わん!」


俺の名前は淘汰。

訳あって犬小屋の前にいる。


ここは住研究所というスミス博士の家だ。

彼の発明でとんでもないことが起きた。


俺は犬のぽちと合体してしまったのだ!


思考までは犬に染まってない。

考えることが出来るだけ幸い……。


という訳にはいかない。

めちゃくちゃ厄介な事に


"主導権は犬に握られている"


事情を説明され黒髪の少女がこちらに向かってきた。


「ぽちご飯あげるわね。

犬の体が混じってるからエサはこっちで」


俺は突然何かを出された。

これは!


ペットフード!?

おいやめろ、人間の所業じゃない!


しかし俺の体の犬は涎を垂らしその飯に食らいついていった。


不思議なものだ。

犬と半分半分のこの体。


味は薄いが不味くは感じない。

全部を食べ水を与えられる。


俺は飯を食うことが非常に苦手だ。

まともにとった食事という行為。

それはこれが久々である。


もしかしたらドッグフードって美味しいのか?


犬から戻ったしても食べてみたくなった。

与えられた水をごくごく飲む。


飯を食ってパサパサになったこの口に入る水。

ただ飲む水に比べ格別の物だった。


犬というのは質素な食事をしているように見える。

しかし嗅覚も冴える分味覚を楽しんでいるのかもしれない。


そういえば首が鎖に繋がれている。

嫌な予感がした。


「博士に言われたのだけど

体をぽちが動かしている分

このまま放置するわけも行かないらしいの。

ストレスで何かイタズラしないように

だからリード繋げて散歩する必要がある」


おい待て今なんて言った?


突然首を引っ張られ二足方向で歩きだす体。

そこは犬じゃないのかよ。



~現実世界・散歩道



「この世界にいる人間はあんただけ。

みんな体は電脳生命体に乗っ取られてる。

あいつらはロボットみたいなものだし誰も見てはいないわ。

そうそう首苦しくない?」


怪しい光景だが周りの人間はロボットのように通り過ぎる。


首の苦しさを問われたがそもそも返事をする奴は犬である。


「わんっ!」


「良い感じね!

じゃあいつものペースで走るわよ!」


喜んでるのと勘違いされ引っ張られる。

意外とそこまで苦しくはない。


犬の方も喜んでるのか心臓の鼓動が早くなり、俺も不思議と心地よく感じた。


元々無駄に外に出ないタイプで走るのは大嫌いだった。

だが悪くないかもこれ。


~仮想空間・電信柱


しかし最大の悪夢がおきた。


「ぽち、しー」


おいそれはやめろ!

人間としての尊厳が失われてしまう!


足を振り上げるように見せ、なんとか持ちこたえた。


「服が汚れてまう」


「そっかぽち、わかった。

帰ってからにしましょか」


いや普通にぽち喋れるんかよ。

しかし相手自然に受け流したが違和感に気付いていないな?


またリードもとい鎖の首輪を引かれ走る。


~現実世界・交差点


ある程度走っていくと交差点で止まる。


ぽちが体を動かし視界に織姫が入る。

口が勝手に動き彼女に話しかけた。


「なぁ我は思うんだ。

いつか人間と電脳生命体が仲良く出来る。

そんな世の中が来るといいなって」


「へぇぽちはそんなこと思ってるの」


現実世界というのは電脳生命体と呼ばれる生き物によって支配されている。


彼女も電脳生命体と呼ばれる生き物だ。

スミス博士によってアンドロイドの体を貰っている。

この犬も電脳生命体だ。


織姫はいつもの不機嫌そうな顔を緩めた。

俺の口はまた勝手に動き出す。


「人間は電脳生命体を恨むものも多い。

逆に電脳生命体の多数は人間が嫌いだ」


「多いってだけで総意ではないわ。

みんなそうだから私もそうって嫌いなの」


信号が変わり呼吸を合わせ走り出す。


~現実世界・帰り道


すっかり夕暮れとなってしまった。

織姫の体力は思ったより凄かった。


俺も半分が犬のおかげが楽々に走っているが5kmはずっと走っている気がする。


「いつもは朝方に走るんだけど遅れてごめんなさいねぽち」


「まぁいいんだぜ」


体が言う事聞かないのは不便であった。

だがだんだん映画等を観ている感覚になってきた。

誰かの視点から物を見るのは悪くないな。


住研究所を前に織姫が一言告げた。


「現状を変えたい。

その言葉は私も賛成よ。

今日は手網で引っ張って申し訳ないけど

あんた達人間と寄り添える仲でありたい。

次は淘汰あんたがちゃんと早起き出来たら

二人と一匹で散歩しましょ」


現状を変えたい。

俺が織姫達と出会った時に口にした言葉だ。


ある者に記憶を奪われ、混濁とした状態。

そんな中唯一燃え上がった感情。


殆ど何も話すことは出来なかったがまた話すことが出来たら悪くない。


~仮想空間・住研究所



「結局解除の方法は分からんかった。

こりゃ数日犬で居てもらうっきゃない」


なんだって!?


スミスじいさんの絶望的な言葉

俺は骨をかじりながら心の中で叫んだ。


でも思い返してみると割と悪くないものだった。


ぽちは基本犬なので話せない。

織姫もあまり自分の事を話さなかった。

そもそも俺自体能動的に話す性格ではない。


その為みんなが何を考え行動しているのか分からない面が多かった。


"電脳生命体は人間の敵だ"

とよく言われてるらしい。


だが織姫達は違った。


人間達と電脳生命体が共存できる世界を望むからこそ電脳王彦星に立ち向かおうとしている。


人間全てが電脳生命体を憎んでいるという訳では無い。

スミスじいさんも元々は人間だが織姫たちと手を取り合っているし仲もいい。


なら逆に電脳生命体全てが彦星のように人間を憎んでいる訳ではない。


大まかに彼らがどういう目的で行動しているかは知っていたがその真意を知ることが出来た。


ぽちという電脳生命体の視点に立ってこそ分かった事であった。


だけど


戻りたい。


不意に俺の頭の中で声がした。


『そこまで分かりゃ我も満足だ』


この声はぽちか?


『ドタバタ続きの我らの旅だ。

言葉足らずですれ違う時もある。

だからこそお前にとって普段から無意味と先入観を持つ行為。

散歩とか誰かとの会話とか。

普段しない事だからこそ意味があると伝えたかった』


そうか確かに俺がしない事ばかりを今日は経験した。

食事もなかなか出来ずにいたがここまで良いものとは思わなかった。


『さてここまで来ればヒョロガキ。

お前と我の心は同じだ!

与えられた権利を使うぞ』


そう言えば俺たちはとある出来事で小さな夢を叶える権利を得ていた。


「おう!」


~現実世界・遊び場


「っていう夢を見たんだ」


テレビゲームをしながら俺、淘汰は織姫に冗談半分にその話をした。


織姫は俺の顔を怪訝そうに見るとこう言った。


「それ正夢よ?」

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