☆メインストーリー2-7「亡者の力」※挿絵有
親友の目的は電脳生命体を絶滅させることだった。
~仮想空間・天空都市スカイキャッスル 地下牢
電脳生命体の織姫とぽち。
彼らから引き離された少年淘汰。
彼は今暗い牢屋にいた。
仮想空間最大組織【猩騎士団】
その騎士団長であった親友のチャラ民。
一緒にいた時彼は心優しい印象であった。
考えに耽ていると牢屋の監視をする騎士団幹部。
金髪坊主サングラスの男じゃもが声をかける。
じゃも「ここは団長宅の地下牢。
主に電脳生命体と罪人のために用意されとる。
屋上は電脳生命体の処刑場でもある。
しかし圧政者があんな表情見せたの久しいで。
余程お前さんの事が気に入ってたんやろうな」
淘汰「そうなのか?」
じゃも「圧制者チャラ民。
名前自体はふざけとるがそう恐れられている。
仲間と自分の人生を滅茶苦茶にした電脳生命体GM。
奴らと電脳王彦星に憎悪の感情を燃やした。
そして執念で構成員4000万人の騎士団のトップに。
レベルも見たと思うが断トツで序列1位。
異常な強さで誰も逆らわん。
寄らば大樹の陰、どうするか慎重に考えとき」
あの優しい印象からは全く想像が付かない話だ。
現実世界でモニタリングをしているスミス達から
俺個人宛の秘密チャットが届いている。
内容はサポートAIノアによる補足説明のようだ。
ノア『戦闘力の総合値について説明するね。
この世界では3つの要素で構成されてるんだ。
反射神経等の戦闘技術、仮想空間での特殊能力スキル、敵を倒した証であるレベル。
特殊ステータスにも左右される。
けど基本こんな感じ。
レベルは純粋な総合値に繋がり最も影響が大きい。
これはハッキングした統計データの情報だけど
独自のレベルを持つGMを除くと
Lv1000以上の人口は1%。
1500以上は10人に満たない』
その中でレベル5300。
確かに誰も敵対しようとしない。
彼にとっての執念はその値に匹敵するものなのか。
スミス『大丈夫か淘汰。
こちらも仮想空間接続以降、随時情報を集め更新しておる。
情報不足の件不手際の連続ですまない』
仮想空間の事前情報がない状態からサポートをしているのなら仕方ないと思う。
監視にバレない返事の仕方は分からなかったがあちらの方で話を進めるようだ。
スミス『お前さんに現状、問題、解決について。
三つの話をしたい。
ショックな内容も含まれるが静かに聞いてほしい』
息をのむ。
牢屋の檻に背中を預けている騎士団幹部じゃも。
彼にはやはりこの声は聞こえていないようだ。
スミス『現状お前さんはここを出ることが出来る。
データ解析を進めお前さんの能力が分かった。
それを利用し試作段階の兵器を考案しとる。
次に問題、戦闘不能を放置した場合。
人間は復活するがGMの場合は死ぬ』
チャラ民は織姫達を処刑すると言っていた。
仮想空間においての死の概念が分からなかった。
だがそれはまずい。
このままだと本当にあいつらは死ぬのか。
スミス『解決についてお前さんの力を使う。
お前さんの能力は【亡者】と呼ばれるものだ』
スミス『その特性の1つとして
【ダメージ判定時無条件ですり抜ける能力】だ。
それは敵へのダメージ対しても適応される。
無敵であり無能。
要はお前さんは誰にも傷付けられんし傷付かん。
アバターを渡した000(ゼロ)の仕業じゃのう。
お前さんをどうしても生かしたいらしい』
なんだって。
ステータス0というのはそういう意味なのか。
しかしこれをどう利用して……。
スミス『この原理を利用すると仮説が立つ。
壁にタックルすればすり抜けるはずじゃ。
だがまだ問題点がある。
落下時に地面にすり抜け地中に吸い込まれる危険性があるということじゃ。
まだ不確定要素が多く詳しいことが分からない。
よって兵器について使用許可を出すのは正直怖い。
解決においてまず000と交渉する事。
【亡者】の能力を管理者に確認する必要がある』
仮想空間にダイブするのにアバター。
それを提供した本人に直接話をする時が来たか。
前回彼女に強く言ってしまった事を思い出した。
本来は彦星による攻撃から守ってくれたことを感謝しなければいけなかったのに。
彼女に会う方法が一つある。
頭の上にある天使の輪を掴むことだ。
もう時間がない。
緊張し俺はその手を震わせた。
その様子を見たのか、じゃもが急に話しかけてきて心臓が跳ね上がった。
じゃも「決断できないでいる顔しとるで。
生半可な覚悟ならやめとき。
過去の淘汰ならおまえさんに言うやろな」
覚悟か。
気付けばその天使の輪を握りしめていた。
~???
白い空間が広がる。
目の前には椅子。
そこに座る000が見下していた。
何か言う前にビンタを受けた。
000「私にも意思はある。
女の為に利用される女の身にもなってみてよ」
ここでは先ほどの能力が適応されないのか。
頬が痛い。
確かにそう言われて仕方ないだろう。
俺は恩知らずだった。
淘汰「彦星の攻撃から守ってくれた件ありがと。
そしてごめん。
前回この当たり前のことを言えなかった」
000「それだけ?」
淘汰「後はお前にありがとうって織姫が言ってた。
もしかしたら会うのはこれで最後だからそれだけ」
000「待って、それだけって言っているの」
俺は目をつぶった。
他に思い当たることがすぐに思い浮かばない。
俺が未熟なあまり見逃している事もあるだろう。
淘汰「ああ、覚悟はしているんだ。
俺がこれから使う兵器は不確定要素が多い。
だから色々手一杯で言い忘れがあるかもしれない」
その時だ、強い声が鼓膜に響いた。
000「ああもういい!
全く変わらない分からず屋!
困った時は頼ればいいのに!
分からなきゃ聞けばいいじゃん!
なんでそんなこともできないの!?」
淘汰「え」
俺は突然の言葉に固まってしまった。
000「確かにぶしつけに頼まれたら突っ返した。
でもここまで来るともう頭にくる!
じじいにはこっちで伝えとくから!
帰れ分からず屋!」
俺は強い風に吹き飛ばされた。
~仮想空間・天空都市スカイキャッスル 牢屋
真っ暗な中体を揺さぶられる感覚がする。
じゃも「大丈夫か?
うなされておるようやったけど」
気が付くと元の牢屋であった。
監視をしていたじゃも。
彼は心配そうにこちらを見つめる。
乱れた呼吸を整え俺は一つの質問を投げかけた。
淘汰「織姫達は生きてるのか?」
じゃも「まだ数分しか経っとらんがすぐに屋上で処刑が始まると思うわ。
団長の性格上お前に諦めて貰う為わざと早める。
さてそいや。
仮想空間でもバグによる発作はあるらしい。
検査のために医者呼ぶわ、そこで好きにしとき。
もう一度言うわ。
俺は医者呼ぶ為ここを離れるからな」
じゃもはわざとらしく最後の言葉を強調した。
そして言い終えると鍵を閉め牢屋を出た。
なんだあいつ?
その直後にじいさん達から焦る声がした。
再び俺あての秘密チャットが届いたようだ。
ノア『数秒間電波がジャックされた!
相手は000、そしてこう言ってきた。
"自身の足元以外はすり抜ける。
後は好きにやれ"
他は何の説明もなくて、淘汰どうしたの!?』
淘汰「怒らせてしまった。
伝えるべきことは伝えたが多分俺が悪い。
その亡者の力っていうのを試していいか?」
スミス『ああ。
ここまで来ると覚悟を決めるしかない』
俺は立ち上がると深呼吸した。
そして覚悟を決める。
目の前の壁に突っ込むと不思議な現象が起きた。
痛みはなく別の牢屋の中に出たのだ。
目の前の男がぎょろっとした目で俺を見る。
三下A「お、おおう!
一体どうなってるんだ!?」
巨漢が座っている。
ノアから声がした。
ノア『あ!分かった!
淘汰、その男に飛び乗って天井にぶつかって!
上の階層以降は足場になるものは多い!
天井にぶつかるの繰り返して!』
もしかしてこれは天井にも適応するのか。
ダメージの判定が出るとすり抜ける。
しかし足元はすり抜けない。
そういう事か!
淘汰「わ、わりい!」
三下A「な、なんだよ急に!?」
俺はその男の肩を足場に天井を殴った。
振り上げた拳が天井に吸い込まれる。
~団長宅1階
一度コツを掴み、近くの家具などを用い天井を殴ってすり抜けていくことを覚えた。
道中メイドや執事が悲鳴を上げていたがもう悠長にしている時間は無い。
スミス『淘汰!
織姫達とは連絡は取れている!
落ち合い次第秘密兵器を使うぞ!』
淘汰「分かった!」




