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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
鱗男と魔法幼女
9/55

一日目の終わり

「「ごちそうさまでした」」


 フィナンシェを食べ終え、手を合わせる。ミールィさんの表情は、ご満悦の様子。どうやら満足気分のようで、やりきったような雰囲気を出している。


「で、この後どうする?」


「う~ん、1回ログアウトしておきたいよね……」


「だね。多分ゲーム時間(ここ)で明日の昼ぐらいから人がどかっと増えるだろうし」


「リアルの時間で9時ぐらいだからね~。0時からはキツいけど、今日は土曜だから、学生も来そうかな?その頃にはスレも充実してるだろうし」


「そう言えば、ログインしててもネット見れるんだっけ?」


 説明書にそんなことが書いてあったと思う。

 メニューを開いて確認すると、確かにある。早速接続して、AWOのスレを覗いてみる。

 ミールィさんも同じことを考えたのか、何か操作している様子だ。


 スレは、ログイン中とそうでない場合で、違う掲示板に変わるらしく、今はAWOの公式サイトのスレでしか呟けない。見る分にはどのサイトも問題無いようだが。何せ、ゲーム内とリアルでは時間の流れる早さが違う。

 ここはひねくれずに公式サイトのスレを覗こう。


 公式サイトと言っても、運営は特に規制しているわけでも無いようで、スキル考察スレ、ジョブ考察スレ、色物だと美人NPCを語らうスレなんかもある。

 ざっと一通り目を通して、スキル考察スレにまだ無かった情報を書き込んでおく。と言っても、『蹴り』スキルの【旋蹴】ぐらいだった。……なんと、メインジョブを《緊縛師》に選ぶ業の深い人もいた。ログイン中に書き込むと、メインジョブが自動で表示されるようで、思わず二度見してしまった。


「……おっと」


 気付けば、長い時間見てしまっていた。時間は、既に9時を回っていた。

 隣から、くつくつと笑いを堪える声が聞こえた。そちらを向けば、ミールィさんがにやにやと可視化されたウィンドウを見ていた。掲示板、だよな?見てるの。


「ミールィさん?」


「ん?ああ……いや、ちょっとね」


 なんでも、スキル・ステータス構成相談所というスレに、ミールィさんの魔法を当てられたゴブリンのスクショを貼って、大騒ぎになったらしい。呆れた。

 そりゃそうだ。ミールィさんの魔法は、INT極振りという他を全て捨てるような真似をすることで、間違いなく現時点での最高火力だと言える力を持っている。

 対して、他のプレイヤーはそんな無謀かつ無茶苦茶なステ振りはしない。物理攻撃を持たなくてもSTRに振っておこうと思うし、移動やモンスターと相対することを考えてAGIを上げておきたいと思う。後衛と言っても、攻撃がくることを考えてVITやMINにも振る。

 それらを全て放っておいて、威力のみを鍛えたミールィさんの魔法は、強い。


 スレではにわかにチートだ、極振りだ、と活気づく。そして、その原因たる爆弾を落とした犯人はというと、その様子をにやにやと眺めるばかりだ。

 完璧愉快犯です。はい。


 ……ま、文句は言わないよ。でもね。


「トラブルを起こすなとは言わないけど、迷惑はかけないでよ?」


「は~い♪」


 心配だなぁ……。


***********


 SP(ステータスポイント)を振るのを忘れていたことに気付いたのは、ログアウトする直前だった。二人揃って、である。咄嗟に顔を合わせ、苦笑いを共有してしまった。

 どうやら、僕達はAWOの世界にすっかり夢中になっていたらしい。まさかステ振りを忘れてしまうとは。


 ステータスを確認すると……うん。『槌術』より『捕縛術』のレベルが高いとか気にしない。『蹴り』のレベルにも負けてるけど気にしてはいけない。いけないんだ!

 ごめんね。明日からちゃんと使うから。……多分。


───────────────────


名前:九十九

種族:蒼鱗族 Lv.2

職業:槌使い Lv.1

S職業:緊縛師 Lv.2

 HP 150/150

 MP 140/140

 STR 14 (↑1)

 VIT  6 (↑1)

 AGI 14 (↑1)

 INT  2

 MIN  5

 DEX 10 (↑1)

 LUC  9 (↑1)

 SP 0

〔スキル〕

『槌術 Lv.2』『捕縛術 Lv.4』『強打 Lv.3』『鑑定 Lv.2』

『ダッシュ Lv.4』『投擲 Lv.2』『蹴り Lv.3』

〔称号〕

 無し


───────────────────


 INTとMIN以外に1ずつ振りました。VITやLUCも上げておきたいからね。僕のステータスは、はっきり言って中途半端で器用貧乏になっているけど、まあ仕方ない。

 そもそも相方が純魔(これ)だから、バランス的にはむしろ良いかも。無いか。


 ミールィさんは、当然INTにぶっぱだ。

 この人はこのまま突っ走って欲しい。サポートは僕がすれば良いからね。

 ま、この人AGI0だから僕が背負うなりしないといけないんだけどね。


「じゃあ、また後で」


「うん。また」


 最後に言葉を交わし、僕達は同時にログアウトした。


武技紹介

・『蹴り』Lv.1武技【旋蹴】

 足のどちらかを選択して発動。選択した足を任意の方向に突き出すようにに、もう片方の足で跳躍する。つまり飛び蹴り。攻撃力は低いが、移動力は高め。距離を一気に詰める場合に有効。

 跳躍中に任意で解除可能。


・『投擲』Lv.1武技【豪投】

 持っているものを投げる。それだけ。

 筋力値と器用値で、飛距離と命中率に+補正。

 主人公はハンマーを投げていたが、投擲に適した武器アイテム:投擲武器のカテゴリがある。


・『捕縛術』Lv.1武技【拘縛】

 専用武器(鎖・索条)を持った状態で発動出来る。

 対象に巻き付いて拘束する。対象の筋力値、もしくは器用値が使用者の器用値より格上の場合、普通に動ける。

 本編では、ひたすらゴブリンを縛っていた。


・『槌術』Lv.1武技【排纒】

 武器に淡い光が纏われ、その間攻撃1回の威力を上げる。時間経過で光は強くなり、最光量を纏っている時、最も威力が高い。時間切れ、もしくは攻撃を当てると、少しの間硬直する。

 本編では1回使われた後、使い勝手が悪いと産廃状態。



 多分次は、掲示板回です。

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