教えて!院長先生!
来週も投稿します(宣誓)
先週投稿出来なかったので、来週はちゃんと投稿しようと思いまして。
ところで、デレステでSレア森久保と蘭子をお迎え出来ました。嬉しい。後、文香さんと楓さんとまゆのSレアをお迎えしたい。今狙ってるのはかな子ですが。
こういう所がダメだと自覚してます。治らんと思いますが。
ミールィさん達に見送られて、院長の元に行く。
ファイブスターに散々怒られた後。まず僕が行くべきと言い出し、ファイブスターがそれにお前だけでは不安だと分かりにくい肯定を示した。も~素直じゃないんだから~!とミールィさんと二人してからかった後に、僕、ファイブスター、おっぱいの人(ミールィさんがこっそり言ってた)、エルフの錬金術師さんの四人で、ようやく行くこととなった。
でも、おっぱいの人もといU・Uさんとエルフ錬金術師さんことマリエルさんはなんで一緒に来たのだろう?別に待っていてくれても良かったんだよ?本人達は、あくまで自分達は別個のパーティなのだからそれぞれから人を出した方が良いって言ってたけど。やっぱり信用が足りないんだろうか。信用ってほんと大事。
…………あ、そうだ。
「ねえ、結局3人は協力してくれるの?」
「ん?…………ああ。なんかあるらしくてな、死なない程度には手伝ってくれるっぽいぞ」
「なんか?ふーん…………。まあ、良いけど」
方向性は分かるしねー。僕達と同じくマリエルさんとやらがクエストを出したんだろう。なんで一緒に行動してるのかは予想はつかんけど。
そのU・Uさんとマリエルさんはと言えば、どういうわけか僕をじろじろと無遠慮に見詰めてきている。モテ期が来たぜっ!!とかはしゃげないレベルですっごい訝しげな視線が僕を突き刺してきているのはどういう意図があるんだろうか?視線だけで人を殺す練習?時の神と契約でもしちゃった?
てか、初対面の時とずいぶん態度に差がある気がする。君ら最初は凄く馴れ馴れしくなかった?…………まあ、正面から聞く度胸も何も無いから、確かめようがないんだけどね!
「あら?どうかしたのですか?」
っと。そんな事を考えてる内に目的地である院長の下に着いた。院長は、大量に干されてある子ども用の小さな衣服を一人で取り込んでいたらしく、その手には山のような………………マジで山じゃん!?え!?どういう事!
あ、ありのままに今起こったことを………………とか言いたくなるぐらいに、目の前に広がる光景は万国びっくり人間博覧会(形容詞)だった。つい二度見してしまった。
「うおぉ…………」
だって…………ねぇ?曲がり角を出たら見た目60代ぐらいのマダムが、彼女の3倍ぐらいの体積の衣類を片手で持ち上げてるんだぞ?
僕が抱いた所感はファイブスター達も共有してくれているらしく、ぽかんと口が開いている。
「あ、ごめんなさいね~!はしたなくて。ものぐさなんです」
頬を赤らめて、恥ずかしそうに手に乗っている衣服の塊を目にも止まらぬスピードで少し離れた場所に置かれた木編みの籠に安置する。頬が盛大に引き攣ってのいるを感じる。ほ、殆ど影しか見えなかった…………。
赤くなった頬に手を当てて、「あー恥ずかしいですねぇ…………」等とのたまっても可愛いだけだぞ!と嘯いておこう。そうしないと怖い。何がって?僕自身もよく分かってないから怖いんだよ!
「うわぁ…………」
あ。ファイブスターが思いっきり引いてる。U・Uさんも目元を押さえて、目の前で起きた事を否定しようと頑張っている。マリエルさんは…………未だに呆けたままだ。心なしか目の光が消えている気がする。僕をそっと目を逸らした。
「…………ていうかあの服の塊はどうなってるんだ?」
現実逃避気味に、視界の端で強烈な存在感を主張するその巨塊に視線と注意を送る。…………よく見たら、かなりおかしい。卵形に調えられているそれの外殻の殆どが下着や靴下といったものばかりなのだ。それが頂上付近なら、理解出来る。けど、そうではない。卵形である以上、地面に対して垂直となる面もある。そこに、ぺたりと貼り付くように下着や靴下があった。
どういう事だ?
「あ、これ気になりましたか?」
「あー、ええ。まあ」
「そうですか。霧人の方は魔法やスキルについてあまりご存知ではないという噂は本当だったんですね」
僕の視線に気がついたのか、院長は小首を傾げる。僕が肯定すると、にこりと微笑んで了承した。ていうかNPC間でそんな噂が流れたりするのか…………これ下手に名前が広まったら面倒なことなりそうだなー。気をつけよう。
院長が右手を掲げると、柔らかな風が頬を撫でた。気持ち良いー、じゃなくて。今の行動から察するに院長が風を起こしたっぽいけど…………。
「魔法…………?でも詠唱が……………」
「いえ、魔法ですよ。正確には魔法の亜種と言うべきものですが」
「亜種?」
何それ初耳。
「私、若い頃は冒険者をしていたんです。これでも結構強かったんですよ?」
むふふんと得意気に笑う院長を少し可愛いと思った。これが…………萌え…………?
……………いや、冗談だからな!?
「初期職業に《拳士》と《魔法使い(風)》を選んだんですが、そうすると上位職に《風魔拳士》というものが出たんです」
えーと…………スキル「拳打」を覚える格闘系のジョブが《拳士》で、火や風といった属性魔法の特化職が《魔法使い》だったよな。そして、上位職は初期職業をカンストさせることで転職出来るようになる、いわば進化した職業。
今回の場合は二つの異なる系統の職業を極める事で、二つの特性を合わせ持つジョブが解放された…………
「…………という認識で合ってます?」
「はい!その通りです!」
「へえ…………」
おや?いつの間にかファイブスター達まで興味深そうに話を聞いてる。特にU・Uさんは魔法職だからか目に見えて話に聞き入っているのが分かる。
「《風魔拳士》に就いたからか、後日「拳打」が上位スキル「風拳術」に覚醒したんです。洗濯物の塊もその風拳術の武技の一つ、【風牢掌】の効果です」
「か、覚醒…………?」
「スキルの覚醒とはスキルレベルが100になり、条件を満たすことで上位スキルへと変化する事です。冒険者でしたらLv.70を越えている方は大抵一つは覚醒していますね」
お、おお…………。なんか色々新事実が発覚してとっても困惑している。上位職についてはβ版であるって話は聞いてたけど、スキルの覚醒とか初耳も初耳だ。でも…………うん。僕はともかくミールィさんには武術と魔法の組合わせは無理だろうなあ。魔法同士の組合わせが可能ならワンチャンだけど。
後、なにげに院長の最低レベルが分かってドキドキなんだけど!なんで序盤の街にLv.70越えのNPCがいるのかなーっ!?
院長は、僕の内心の動揺に気付くことなく話を続ける。
「【風牢掌】は掌で触れた対象を風の牢で拘束する武技です。ですので、その威力を調整すればこうして服が潰さずに纏めることも出来るんですよ。…………それに風魔法の上位スキルと比べても威力は若干弱いですし」
「…………そ、それじゃあ」
院長の話に口を挟んだのはU・Uさんだった。
「はい。なんでしょう?」
「あの、今の話の限りだと風拳術…………?に詠唱は必要無いんですよね?」
「はい。あくまで武技の一種なので詠唱は無用です。ですから亜種と表現しました」
「では、魔法と比べた長所はその利点を活かした速攻ですか」
「そうですね。ただ、デメリットとして特殊な効果を持っているのでMPを消費します。そこも通常の武技とは違います」
「後は、射程距離の差でしょうか。先ほどの【風牢掌】の制限を聞く限り、触れないと効果を発揮しないのでは?」
「いえいえ、そうでもありませんよ。遠距離攻撃もそれなりに揃っています。例えば、そうですね……………」
そう言って首を巡らした院長と目が合う。
「………………」
「………………」
「良いですか?」
「どうぞー」
「「ええっ!?」」
ハモるファイブスターとマリエルさん。「良いのっ!?」と顔に書かれているのが見えるぐらいに露骨に顔に出ている。良いんだよ。僕が良いって言ってるんだから。ほら、U・Uさんを見なさいよ。目だけで「早くしろやおらぁっ!!」って言ってるぞ。なんか彼女の本性をうっすらと察することが出来た。
アイテムボックスから武器をずるりと抜き出し、構える。
「では、いきますよ」
「おーらい」
「【疾風撃】」
僕のことを考えてくれたのだろうか。殊更にゆっくりと紡がれた言葉に応じて僕は、速すぎてぼやけて見える右手に合わせてスプーンハンマーの腹の位置を微調整。
き、を彼女が言い切ったと思った瞬間、不可視の衝撃が僕をばあっっ!!
うえしたちじょうそらぐるっと回って大回膝転!!
スプーンハンマーで受けたからか空を仰いで左回転しながら上下反転、左手を地面について衝撃を殺し、片膝を接地して減速。4割のHPを犠牲にして、ようやく停止した。膝いてぇ。
「こんな感じでしょうか」
「………………すご」
「おぉぉぉおおお前大丈夫か!?九十九!?」
「ひえ…………」
一瞬の静寂の後、一気に騒がしくなった。煩い彼ら──というかファイブスター──を傍目に、喉に詰まっていた息を吐く。深く、深く、深々と。
「いやー。強いなー」
分かってたことだ。レベル差がある。スキルの質に差がある。僕が勝てる要素なんて一つも無いのだと理解している。でも。
それを理由に勝つのを諦めるということをしたくない、んだと思う。や、僕が自分の感情をまだ定めきれてないっていうね。言葉で言い表しにくいもやもやは胸に蟠っているのにその解消方法が思い付かないから困ってるのだ。
とにもかくにも、ずっと蹲っている状態ではいられないのだから立ち上がる。っとお、膝の皿割れてないこれ?
「えーと、え?大丈夫か?九十九?おい?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら大丈夫じゃないけど、大丈夫だと思えば大丈夫になるんじゃないかな?」
「??…………つまり大丈夫じゃないと…………?」
「うん」
「ダメじゃねえか!?」
そう吠えるとアイテムボックスからポーションを取り出してどばどば掛けてきた。つい苦笑いが溢れる。こんなことが前もあったなあ。ミールィさんと一緒に瀕死になって。
…………なんか忘れてる気がするけど…………なんだろう?




