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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
鱗男と魔法幼女
5/55

ガワだけ幼女は恐ろしい

「ドナドナド~ナ~ド~ナ~♪」


「それ今歌う?」


 僕の頭上、正確に言えば肩車されているミールィさんが、ドナドナを歌い出す。止めて、それ聞くとすっごい悲しい気持ちになるから。

 ミールィさんは、僕の言葉に抗議するように、小さな手でぺしぺしと頭を叩いてくる。


「君のレディの扱いがなってないからさ」


「どうしろと?」


「良いかな?世の中にはお姫様抱っこっていうものがあってだね……あ、九十九クンあれ買って。あのお菓子」


「お金無いから今は駄目。お姫様抱っこは……初めてが幼女ってのは、ちょっと」


「あ!酷いなあ、君は!こんな可愛らしい子と触れ合えるんだよ?顔中から体液を噴き出させながら、土下座で感謝するぐらいのことはしても良いと思うんだ。だから、ほら」


「いやそんな、やってみなみたいに言われても……僕幼女は対象外なので。でも、さっきの人たちならそのぐらいはしそうだね」


「今の光景を見たら、君を嫉妬でPK(プレイヤーキル)して来そうだね」


「それはやだなあ」


 ゲームによってはPK禁止のものもあるが、AWOは普通にルール無用のPvPをセルフで出来る。負けてもデスペナルティの付かない〈決闘(デュエル)〉システムもあるにはあるが、正々堂々とかPKするのには無用どころか邪魔だ。


 さて、そんな無駄話をしてる間に着きました。平原です。

 プレイヤーのログイン地点である門のある方の平原から、街を挟んで反対側。フィールド名は、広域マップで《始まりの平原》となっていた。運営の怠慢かな?


 一旦、ミールィさんを下ろす。


「ふぅむ、君に乗せられるままにここまで来たわけだけど、当然狩りだよね?」


「だね。それで、今の内に確認するけど今回も魔法特化?」


「いえーい」


 指二本でブイサインをつくるミールィさん。

 この人は、どのゲームでも魔法特化のキャラを作る。魔法しか覚えようとしないし、魔法しか鍛えようとしない。僕とミールィさんが初めて会ったゲーム(そのゲームでは、名前はミールィでは無かった)でも、魔法威力に全ステータスを注ぎ込んでいて、この人の魔法なら魔法抵抗力の低いプレイヤーなら一撃死もよく見る光景だった。

 何故そんなに魔法を?という疑問に、この人は「魔法幼女に……魔法幼女に成りたかったんだ!!」と言ったふざけた解答しか返してこないので、気にしないことにしている。


 そんな、魔法厨の幼女変身趣味をお持ちのミールィ(変態)さんは自慢気に自身のステータスを教えてくれる。


「ふっふっふ。今回は九十九クンも驚きの威力の魔法を見せられそうだよ!」


 僕はミールィさんから、自身のステータスのスクショのデータが送られて来たので確認する。


───────────────────


名前:ミールィ

種族:ダークエルフ Lv.1

職業:妖術師(ソーサラー) Lv.1

S職業:魔道師(メイジ) Lv.1

 HP 100/100

 MP 100/100

 STR 0

 VIT 0

 AGI 0

 INT 50

 MIN 0

 DEX 0

 LUC 0

 SP 0

〔スキル〕

「無属性魔法 Lv.1」「雷魔法 Lv.1」「氷魔法 Lv.1」「精霊魔法 Lv.1」「召喚魔法 Lv.1」「付与魔法 Lv.1」「精神統一 Lv.1」

〔称号〕

 無し


───────────────────


 これはひどい。極振りするだろうなとは思ったけど、INT以外はオール0という突き抜けたステータスになっている。ここまで行くと、むしろ期待してしまう。

 すなわち、これはどれ程の威力を出すのか、という。


 所で、ソーサラーやメイジって?


「ソーサラーやメイジって?」


「ソーサラーは魔法威力に特化したジョブだよ。メイジは、バランス型かな。他にも魔法使い(マジシャン)魔法士(マジックキャスター)なんかもあったんだけどね、どうやら私には合わないっぽかった」


「合わない?」


「マジシャンの方は、属性毎の特化職っぽいんだよ。マジシャン(属性:火)みたいな。私としては魔法は万偏無く育てたいから、方向性の違いで却下。マジックキャスターは普通にダメ。これ支援職っぽいから」


「あー……」


「だから、バランス型のメイジで妥協したって感じだね。ジョブを重複出来るなら、ソーサラー二枚でいったんだけど」


「それは流石に……。ダークエルフの特性は何ですか?」


「INT+4、MIN+2、STRとVITに(マイナス)補正」


「デメリットが息してない」


「エルフがAGI、INT、DEXに+2だから、ダークエルフは魔法に特化した種族ってことなんだろうね」


「これは大分ヤバそうだな……。僕のステータスも送るね」


「ほいほい」


 僕自身のステータスをスクショで撮り、ミールィさんに送る。ついでに、武器の方も出しておこう。

 アイテムボックスから取り出したるは、ハンマーと縄。それぞれ、鑑定した結果はこれだ。


───────────────────


[初心者のハンマー] 武器アイテム:槌 レア度:1

 属性:無し  耐久値 ∞

 STR+1

 初心者でも扱いやすいように造られたハンマー。決して壊れず、手荒に扱っても文句を言わない素敵な武器。


───────────────────


[初心者の縄] 武器アイテム:鎖・索条 レア度:1

 属性:無し  耐久値 ∞

 DEX+1

 初心者でも扱いやすいように造られた縄。決して壊れず、手荒に扱っても文句を言わない素敵な武器。


───────────────────


 なんだろうね、初心者の縄って。縄を扱うのに手慣れた人とかいるんだろうか?……カウボーイ?

 アイテムの説明文も、中々にユニークだ。


「九十九クンの武器?ハンマーと……縄?」


 ミールィさんは不思議そうな顔をしたが、僕の説明とステータスを見て、理解はした。


「そうかそうか。君はソフトSだと思ってたけど、ハードの方だったんだねぇ。ほら、私を縛って精一杯凌辱しなさい!」


「誰がするか」


 僕が好きなのは歳上のお姉さんだ。ロリに興味など無いわ!


「全く、君はこれだからいけない。格好のシチュエーションで目の前に極上の獲物がいるのに、手を出さないのはヘタレと言うんだよ!()()()獣のように幼女の体に、もて余している性欲をぶつけるぐらいしたらどうだい?」


「少なくとも、幼女の姿をした今のあなたに言われたくない言葉なので、せめてリアルのあなたにチェンジで」


 幼女が凌辱とか性欲をぶつけるとか言わないで欲しい。なんか情けない気分になる。


 僕の顔はきっと、何とも言えない表情をしていたのだろう。ミールィさんは勝ち誇ったような、向日葵のような、笑顔を浮かべた。


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