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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
中二召喚士と盗賊団
44/55

旧知との再会

最近よく遅れてすいません……。

来週は……来週は遅れずに投稿出来る、と思います!……多分。

「あのー、少しよろしいでしょうか……?」


「ん?……ああ」


 僕とミールィさんの話が一段落した所に、玲奈(たまな)ちゃんが声をかけてきた。見計らったかのようにタイミングが良い。いや、玲奈ちゃんはそう言えば僕達のやりとりを横から見ていたわけだ。事実、見計らっていたのだろう。

 僕は一度、瞑目して呼吸を整える。

 …………。

 よし。切り替え完了。にしても、これって催眠術みたいでちょっと面白い。自分にかける催眠術っておかしい気もするけど。意識の切り替えって意味では、ルーティンみたいに考えると良いのかな?うん。催眠術よりは外聞は随分良さそうだ。催眠術師って胡散臭いしねー。自称超能力者と同レベルの胡散臭さだ。ハンドパワーとか。

 ……流石に古いか。


「催眠術も超能力も手品も似たようなもんだとは思うけどさ」


「九十九君?」


 なんでもないと首を横に振り、ミールィさんを見る。


「とりあえず、ミールィさん。この手をどかしてくれませんかねえ?」


「えー?良いのー?九十九君泣いちゃったりしないー?」


「しないしない」


「ちぇー。ま、良いけど。んで。玲奈ちゃんどったの?」


 口を尖らせて若干不服そうながらも、意外とあっさり手を離してくれる。僕は立ち上がり、手櫛で乱れた髪を直す。

 ミールィさんに問われた玲奈ちゃんは、立ち上がった僕に少しだけ気圧された様子だ。そう言えばと、僕が少女達に怯えられていた事を、脳がサルベージした記憶の中から思い出す。離れといた方が良いかな…………おや?


「…………っ!」


 腰がひけていた玲奈ちゃんが、意を決したように背骨を真っ直ぐ立てて、胸を張る。目は真っ直ぐに僕を射抜き、その表情に怯えは無い…………とは言わないまでも、空気中の酸素濃度ぐらいには、目に見える恐怖の感情は薄まっている。

 …………これなら、僕が離れる必要は無い、かな?なんでいきなり僕への恐怖心が希釈されたのか分からないけど、別に怯えられて嬉しくもなんともない。このまま慣れるんなら是非そうして欲しい。


「玲奈ちゃーん?」


「あ、はい。実は私の師匠(せんせい)が遅まきながら駆けつけてくれたんです!」


()()()()?」


「はい!」


 ジャッジャーンと玲奈ちゃんが(君そんなキャラだったっけ?)身ぶり手振りで示す方向に視線を向ければ、いつの間にやら10メートルぐらい先に、黒マントを纏った怪しげな男が壁にもたれて立っている。フードを被り、サングラスをかけているせいで顔はよく見えない。けど、その見える部分だけでも、顔がとても整っているのが理解出来る。


「…………」


「…………」


 サングラス越しに、目が合うのが分かる。あ、やっぱりイケメンさんだ。…………ん?


「師匠は私が危なかった時に、颯爽と助けてくれた恩人であり、私の先生なんですよ!」


「ふー!カッコイイじゃん!」


「はい!師匠は格好良いんです!」


「九十九君、これだよこれ。私が求めるのは、こういうオンナゴコロが分かってる対応だよ…………九十九君?」


 僕と男は、お互いに視線を交わらせ続ける。

 なーんか既視感?デジャブ的な…………。でも僕、こんなハロウィンの先取りですみたいな怪人コーデをした顔面偏差値高い男なんて知り合いにいませんが……。いや、普通の、それこそハンサム王国があったら平民階級で移住出来そうなぐらいのイケメンな知り合いなら一人いた。

 ……ん?


「……ん?あー何?」


 ミールィさんの声に、我慢比べのようになっていた僕達の空気が縦に裂かれた。それに内心ほっとしながらミールィさんに向けば、彼女は“私は不機嫌です!”と頬を膨らませて感情を伝えてくる。わざとらしいから、いつものポーズなのだと察せられる。


「何って話聞いて無かったのー?」


「自身の心と向き合い、真なる声と対話していただけだよ」


「それは一般的に話を聞いて無かったって言うの」


「世界との通信に少々気力を割いたのさ」


「今日はもう寝て、明日病院行こうね」


「夜はこれからだ!」


「そりゃあ今は昼だもんね」


「何おう。近所での渾名が吸血鬼さんと名高い僕にとって今は夜に過ぎない!」


「それって君がケチャップ好きだからじゃないの?」


「確かに」


 ケチャップ美味しいよね。マヨネーズも好きだけど。そう言えば、僕ってばオムライスとか以外にもケチャップやマヨネーズかけたりする人種だった。流石にオムライスにマヨネーズはかけないけどさ。あったら良いけど、無くてもまあまあ美味しく食べれるのが僕の美点だと思います、まる。

 後、チーズとかバターも好きだ。乳製品らぶ。熱々ご飯にチーズとバターとケチャップとマヨネーズ全載せとかしたら結構美味いんだよねー。


 うん。なんの話だ。


「ま。冗談は程々に」


 脇に置くポーズで、話を切り替える。

 ミールィさんもふざけた会話の打ち切りに執着を見せることなく、僕に質問を投げかける。作者としては中々心に切ないものが込み上げて来る(嘘)。九十九先生の次回作にご期待ください!(大嘘)。

 だから、冗談も程々にしろとね。


「で?なんで話聞いて無かったの?」


「いやー、あの……せんせいさん?がなんか見覚えある気がしてね」


「お知り合いなんですか!?」


「え。あ、いや、見覚えがあるだけね。見覚えが」


 玲奈ちゃんが意外にも話しかけてきてくれた。お兄さん嬉しいよ。とは言っても、お師匠さんのことが気になるからっぽいけど。まあ、そんなもんで充分さ。


「見覚え?ふーん……。じゃあ聞いてみよっか」


「あ?」


 僕の言葉にはてなと首を傾げたミールィさんだったけど、即断即決でイケメン次郎(勝手に命名)さんの元に駆け寄る。

 むう、こういう時は物怖じしないんだから。全く……。


 玲奈ちゃんを見ると、丁度あちらも僕を見たようで、ばっちり目が合った。心構えが出来ていなかったのか、玲奈ちゃんの頬が引き攣る。あははーと苦味と酸味と塩味が撹拌された笑みで場を濁して、ミールィさんの方に足を動かす。


「へーい、おにーさーん!顔見っせてーっ!」


「…………」


「おー……?んー……?おにーさん名前は?」


「ファイブスター…………」


「タバコみたいだね」


「デュエマじゃない?」


「「…………」」


 ミールィさんと僕は見つめ合う。


「タバコって、ミールィさん吸ってたっけ?」


「いや、吸って無いけど。デュエマって?」


「あれだよ、あれ。残り3桁が500だったら無敵になったりするやつ」


「知らないよ」


 ミールィさんから呆れ顔を頂戴してしまった。

 おほんと咳払い一つ。


「僕達の方も自己紹介しておこっか」


「あ。誤魔化した」


 うるさいよ。


「僕は九十九。こっちの小生意気な幼女がミールィさん。よろしくかな?」


「おいこら。誰が小生意気な幼女だ」


「ミールィっていう小生意気で可愛らしい僕のパートナーだよ」


「………………ぉぅ」


「どうしたの?」


 何故に声が小さくなる?

 僕とミールィさんが話す横で、ファイブスターはしきりに僕の名前を呟く。


「つくも……九十九………………九十九?」


「えと、はいうん?…………まあ、いいか。何?僕に何か?」


「我と友の契りを交わしたまえ」


「はい?」


《プレイヤー『ファイブスター』からフレンド申請が送られて来ました。了承しますか? Yes/No 》


「えと……」


 意味が分かっても意図が分からない。こんなに出会ってすぐに、対して打ち明けてもいないのに普通フレンド申請を出すのか?僕は出さないけど、そういう人もいるんだろう。この人みたいに。


「どうしたの?」


「あー、ちょっと待って」


 ミールィさんからの声に、待てをかける。相談しても良いけど、これは僕とファイブスターの問題だ。ミールィさんを巻き込むのは違うだろう。ミールィさんも何かを察してくれたらしく、口を挟まないでくれた。ミールィさんはやっぱり察し良い。そういう所も好きなのだ。

 ちらと見れば、ファイブスターはこくんと頷く。いや、なんだよ。喋れよ。今のやり取りで意思疏通出来る程僕達親しくも付き合い長くも無いだろうに。

 でも……。


「Yes、と」


「…………」


 フレンドになっても、デメリットは別段無いだろうとYesを選択。もし地雷プレイヤーだったとしても、フレンドになったからといって出来ることはメッセージを送れることぐらいだ。ブロック機能も付いてるし、全くもって問題無い。

 そう思っての申請了承だったけど、存外嬉しかったようで口許が笑みを作っている。

 嬉しいのならなにより。


《プレイヤー『ファイブスター』からメッセージを受け取りました。今すぐ閲覧しますか? Yes/No 》


「へ?」


 勢いよくファイブスターを見ると、またもやこくんと頷く。いや、だから喋れよ!

 はぁ…………。

 意味分からんけど、とりあえずメッセージを開く。


『九十九ってあの九十九だよな!?そうだよな!?

オレだよ、オレ!フィスフィス!あの「ニューサーガ・クロニクル」でオフ会したフィスフィス!

な?分かるよな?』


 驚きで目を剥く。フィスフィスって……あのフィスフィス!?


「フィスフィスさーーんっ!?!」


 僕の驚声に、ファイブスターは出会って一番の爽やかな笑顔で親指を起てるのだった。

何故か前話の最後のシーンまで辿り着けなかった不思議。

次話でちゃんとやります。本当に。

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