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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
中二召喚士と盗賊団
41/55

野郎には野郎を、ロリにはロリを(side:ミールィ)

遅くなってすいません!!

後、ちょっと短いです。

 九十九君を追い払って、ようやく3人娘ちゃん達が落ち着きを見せ始めた。一応、彼女達の精神面に気を遣って、九十九君の犯行現場から少し離れた所で私達は腰を落ち着けた。……地味に石畳がお尻に痛い。ロリ体型な事で体の肉付きが悪いのは困ったものだ。いや、私が肉付きが悪いのは現実(リアル)でもだった。ロリじゃないけど。ロリじゃないけど!


 私はアイテムボックスから飲み物を適当に選んで渡してあげる。これは……なんかの果物のジュースだね。露店で売ってたやつを衝動買いしたんだっけ?私は『鑑定』スキルを持ってないから、詳しくは分かんない。

 ……余談だけど私のアイテムボックスに、食品系のアイテムは飲み物しか入っていない。私が持っていたら、ついつい食べちゃってすぐに無くなると九十九君が危惧した結果だ。私そんなに自制心無いように見えるかなぁ!?でも、何故か飲み物は良いそうだ。意味分かんないぜ、九十九君。


 それはさておき。

 3人娘ちゃん達は一人一つずつ飲み物を手にして、お互い視線を交わし合う。はて?と思ったけど、遠慮しているのだと察しがついた。よし!こういう時こそ九十九君に、お姉さんの大人の威厳を見せつけてあげようじゃない!この子達をでれでれにするぐらい仲良くなってやるぜ!


 私はアイテムボックスから追加で自分の分の飲み物を取り出して、3人に見せつけるように飲む。リンゴジュースだ。若干味が薄いけど、飲みやすい。

 ぺふーと一息ついて、戸惑った風に私を見詰める少女達に微笑むと、ジェスチャーで飲むように促す。私が目の前で飲んだのを見て、遠慮が消えたようで、少女達は「ぁ、ありがとう、ます……」と気弱そうな声で感謝の言葉を贈ってくれた。それぞれジュースを飲んで、可愛らしい笑顔を溢す。緊張がちょっとは解れたようで、内心ほっと息を吐く。


「美味しい……!」


「甘い……。うれしい…………!」


「…………カシスオレンジ」


 う~ん、素直で良い子達だこと。九十九君に見習わせてあげたいよ。でも、カシスオレンジ?


「どう?落ち着いた?」


「はい…………あ、あの、あなたは?」


「私?私は通りすがりは女の子さ!」


「はあ……?」


「ほらほら、お姉さんにあなた達の事話してごらん。聞いてあげるよ?ついでに助けちゃうかも!」


「っ!?」


 私の言葉に、分かりやすく顔を喜色一杯にする。これは結構簡単に話聞けそうだ。

 でも、3人の内唯一のプレイヤーで、おかしな……いや、不思議な……じゃなくて、個性的……?うん。そんな感じの見た目の少女が悲しそうに顔を俯かせる。はて?

 少し気になったけど、プレイヤーということはゲームシナリオの本質には関係無いって事だし、まあ今は放置で良いよね。


「助けてくれる、っんですか?」


「話によるけど、悪くはしないよ?」


「あの、実は…………!」


 そう言って、ぽつぽつと自分達の都合を話してくれた。うわーちょろーい。お姉さんちょっと心配になるレベル。

 おや、何故か頭の中で呆れた目で九十九君が「あなたが言わないで」と言ってる。…………無視だね!

 ぶっちゃけ、ゲームなんだし聴き込みぐらいはちょろくて良いしねー。


*************


「はーぁ。なるほど、大変だったねー」


 少女達の話が一段落して、私の最初にそう溢した。少女達は、私の言葉に悩ましげな溜め息で同意する。

 そう言えば、この少女達の名前も聞いた。

 10歳ぐらいの飴色の髪と蜂蜜色の瞳を持つ、甘そうな少女サリア。敬語を使おうとして、少し失敗してる感じが微笑ましい。

 サリアと同い年ぐらいで、藍髪と赤眼の綺麗な女の子ティーカ。単語だけで思ったことを正直に言うから、話してて面白い。

 そして、見た目12,3歳程の黒髪黒目の大和撫子風プレイヤー、玲奈(たまな)。丁寧な口調がデフォっぽいから、もしかしてリアルはお嬢様なのかも。詮索はしないけどね。


 話の経緯は、どこかで聞いたことのあるような、ありふれた話だった。

 少女達は、孤児だった。孤児院で、自分と同じような子ども達と共に暮らしていた。けど、境遇はともかく衣食住については孤児院が余裕を持って世話をしていたから、問題無かったらしい。ただ、孤児院自体を疎ましく思っている人物がいたようだ。それが、九十九君が殺っちゃったヤクザとかが所属する『夜狼の巣』という()()盗賊団とのこと。そう、自称。

 なんでも、[盗賊団]という括りは、世界の理(システム)でしっかりと線引きがあるらしい。この線引きを越えない以上は、自分達や周囲がいくら認めようと盗賊団とは別物らしい。私的にはふーんって感じだけど、この差は結構大きいとのこと。


 まあ、それは置いといて、ね。

 『夜狼の巣』の男たちはサリアちゃんとティーカちゃんに、「これは俺らのしまを荒らした罰だ!」と言ったらしい。そして、「スリをするなら、もう少し相手を考えるべきだったな」とも。しまを荒らした……スリ……。なーんか記憶の端っこに引っ掛かってる気がするけど、それがなんなのか分からない。後で九十九君に相談かなぁ。


「私達は孤児です。だから、いなくなっても偉い人はちょっとしか気にしない、です」


 孤児だから。それだけで彼女達は蔑ろにされる。ゲームとは言え、あまり良い気分にはなれない。このゲームも、中々重いことをぶっこんでくるねー。全年齢だよ、これ?

 『夜狼の巣』は、孤児達をどうしようと大して問題にならないと理解していたようで、彼女らを見せしめ──つまり殺そうとした。


「………………」


 ちらりと九十九君の方を盗み見る。九十九君は私に背を向けて、何やらあの斧を持っていたハゲ男と話している。……おかしい。なんか九十九君が不気味なオーラを発している。あの雰囲気は確か、そう。『ニューサーガ・クロニクル』で、二徹した時ぐらいにあんな感じのオーラを出してた。あれは、12月20日から25日までのクリスマス限定モンスターが落とすアイテムが目標数直前で四時間落ちなくて、深夜二時までかかったんだよねー。

 九十九君は両親が教師だからか、あまり夜更かしをしない。基本的に早寝早起きなのだと自分で言っていた。だからだろう、彼は徹夜が苦手らしいのだ。プレイは11時までには基本止めるし、それ以降の時間に起きようとすると寝落ちか深夜テンションでクリスマス(さっき言った)みたいに不気味なオーラを発して、狂笑する。…………めちゃ怖いね、この子!ちょっとハゲ野郎に制裁してあげようかと思ったけど、任せても良い気がした。気がしただけだけどね。


 閑話休題。

 サリアとティーカの二人は、男6人に追い詰められた。絶体絶命、そんな所に現れたのが、玲奈(たまな)ちゃんだ。彼女は『調教術』のスキルを持っていたようで、ゴブリンを使役していた。そのゴブリン──ゴブ助というらしい──で助けようとしたものの、敗北。そこに乱入したのが、私と九十九君だった。

 ここ問題なのは二つ。『夜狼の巣』が標的としているのがサリアやティーカではなく孤児院であること。そして、私達で追い返した分が『夜狼の巣』にとって一部に過ぎないってこと。


 サリアちゃんは私を真っ直ぐ見詰め、口を開く。


「お願いするいえ、します。私達の孤児院を助けてください……!」


《条件を満たしました。NPC『サリア』からクエスト『孤児院の守護』が発行されました。受諾しますか? Yes/No 》


「あーー………………」


 九十九くーーん!カモーーーン!!

ちなみに、見た目小学校低学年のミールィがサリアとティーカに容姿で舐められてないのは彼女の種族が長命で有名なダークエルフだからです。

「こんな見た目でも長生きなのかも」と思ったからですね。


ちなみに、玲奈はミールィがプレイヤーだと分かってます。

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