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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
鱗男と魔法幼女
27/55

冷や麦を食べながら、二次元に思いを馳せる

「…………」


 ヘルメット型の接続機を外し、何度か目を開閉する。ベッドから体を起こすと、筋肉を伸ばしてほぐす。ぐぅっと伸びをすると、ぺきぽきと鳴って、じんわりと背骨の辺りが温かくなる。

 ん~。ずっとログインしてたのに、現実だと時間がそれほど経ってない。変な気分だ。一日目が終わった時はまだ、朝の3時頃で外が暗かったけど、今は朝の8時手前。新しい朝だ。希望の朝だ。ラジオ体操でもしようかな?夏休みだし。


「ふんふふーふ、ふーふーん、ふーふんふふんふー」


 やってみた。うん。どういうリズムだったか忘れました。とりあえず適当に覚えてることをやってみる。


 5分ほど体をぷらぷらと動かすと、朝ごはんを食べに部屋を出てキッチンに向かう。エアコンの効いていない廊下に出ると、夏のむわっとした空気が僕を包む。


「うへぇ」


 この気温の落差はどうも好きにはなれそうにない。


 両親は既に出かけているようだ。夏休みと言えど、教師に休みは無いらしい。

 僕の両親は学校の教師をしている。母は小学校、父は僕とは別の高校の教師だ。両親が教師だと言うと、よく締め付けが強いんだろうと勝手に誤解されがちだけど、実際は別段そんなことはない。母さんは眼鏡をかけてるけどキリッとはしてないし、父さんは厳つい顔をしてるけど調理部の顧問をしている。僕がゲームばかりしていると小言を言ってくるけど、それはどこの家庭も一緒だと思う。


 キッチンには僕の分の朝ごはんは見当たらない。夏休みだから自分でやれということだろう。何かないかな、と……冷や麦があった。これで良いだろう。


 冷や麦を茹でながら、さっきまでしていたAWOについて考える。

 ゲーム内で二日経ったわけだけど、僕のレベルは未だに一桁。フェルト達はどうなのだろう?僕と別れた後もレベリングをしただろうし、Lv.8か9にはなってるかもしれない。

 雑談の一つで聞いたけど、フェルト達は『暗視』のスキルを持たずに夜間行動を行えるらしい。その方法はと言うと、『闇魔法』の初期魔法の一つ、【キャットアイ】をかけることだとか。


 【キャットアイ】はその名前の通り、猫の目のような夜目を付与する魔法とのこと。

 ミールィさん闇魔法覚えてくれないかなー?無理か。あの人魔法は威力が第一、希少さが第二、それ以外の要素が基本無視だ。だから、INTに極振りしたり、召喚魔法や精霊魔法なんかを取っていたりしてるわけだし。ま、今回はそれが良い方に出たから良かったけど。


 ログアウトする前に、僕達はスキル屋で買い物をした。スキル屋とはその名前の通り、スキルブックを取り扱う店だ。当然僕達はそこでスキルブックを買った。て言うかそれ以外売って無かったし。

 そこの店頭に並んでいた魔法のスキルブックは、かなりあった。基本の土、火、水、風の四大魔法に、雷、氷、の派生属性魔法、闇や光の攻撃よりも状態異常系統が得意な魔法に、召喚魔法や精霊魔法、付与魔法、治癒魔法と他と違った特殊な魔法だ。ちなみに、無属性魔法は売られていなかった。


 かなり多い。けど、それは、まだ良い。問題なのは、魔法毎でかなり値段に差があるという所だ。はっきり言って、万単位で違う。確か、こんな感じ。



土、火、水、風魔法…………1万ジル

闇、光魔法…………1万5千ジル

雷、氷、治癒魔法…………2万ジル

召喚、精霊、付与魔法…………3万ジル



 ここで驚きなのが、ミールィさんは売られていた魔法の中で高価値な魔法の殆どを既に習得しているという事だ。

 曰く、「後から魔法を覚えるのに一番手っ取り早いのはお金をかけることだって、ネットで分かってたんだからさ。初期に多少使い勝手悪くても習得しとこうって思ったんだよ!」。とっても素敵なドヤ顔でむふふんと笑っていた。可愛かったので頬を引っ張ると笑えるぐらいに伸びた。柔らかかった。


 冷や麦が茹で上がった。冷水で冷やして、皿に移し、つゆを用意する。

 冷や麦は、そのままが好きだ。わさびとか生姜とか、そんな物は要らない。僕は冷や麦その物の味を味わうのだ。……単純にわさびとかを冷や麦に付けて食べたくないだけだけです。子ども舌じゃないからね!好き嫌いの問題だから!


 スキル屋で買ったスキルブックは、僕が一つ、ミールィさんは二つ買った。と言うのも、僕達の軍資金はそれなりにあったがその殆どはミールィさんが自力で稼いだ物だ。僕が使って良い物では決してない。ミールィさんは別に良い、気にしないでと言うけど、僕が気にする。だから、ミールィさんに稼いだ分の2万ジルは好きに使ってもらう事にした。すると、『火魔法』と『水魔法』の二つを取得した。ミールィさんは魔法コンプを目指すらしい。魔法が後々アホみたいに多くなりそうだけど大丈夫だろうか?

 そして、僕は『強力』というSTR強化スキルを取得した。これはミールィさんが稼いだお金ではなく、昼にビーストエイプ他多数を狩ったお金だ。個人的に使える分が1万ジルだったから、僕は半分の5000ジルで買った。カテゴリとしては『ダッシュ』なんかの補助スキルだから、安い。今は大して欲しいアクティブスキルも無かったので、さほど迷わなかった。次はDEX強化スキルの『精密操作』を取ろう。


「ごちそうさま、っと」


 冷や麦を食べ終わった。たまに食べる分には良いけど、毎日はちょっと……となる、変わらない味だった。僕はこれから、この味をどうにかして一週間ほど耐える必要がある。冷や麦が、ざっと10人分以上あったんだよ。どうせ貰い物とかだろうけど、そんな要らないって。

 父さんも母さんもあまり積極的に食べることは無いから、必然的に家にいることが多く、外食する金を持ち合わせていない僕が処理に回ることになる。……同じ味の食事をひたすら繰り返すって下手なマズ飯よりも精神力削るよね。外食しようにも、僕は今それほどお小遣いを持っていない。

 それに、僕はインドア派である。夏休みは買い物と登校日以外は外に出たくないなぁと思っていたり。クラスに特別仲良い友達がいるわけでも無いし。あ、別にぼっちじゃないよ?単純によく話す人はいるけど、友達と言えるほど仲が深くないってだけ。コミュ障でも無いし。むしろコミュ障なのはミールィさんもとい仄香(ほのか)さんの方だろう。あの人大分拗らせてるからなー。


 ちゃちゃっと皿洗いなんかの後片付けを済ませて、考える。

 今の時間は朝の9時過ぎ。外は雲ひとつ無い晴天だ。外に出たらそれはそれは暑いだろう。その上熱いに違いない。だから外に出るのは却下。出てもする事は……無くはないけど、せめて夕方か雲が少しはある日が良い。

 じゃあ、AWOの続きを早速しようか、と言えばこれも却下だ。只今ゲーム内は夜の12時頃、真夜中だ。暗視能力を持たない僕は、ログインしても店の閉まった街を散策するか、天体観測をして暗視の熟練度を上げるしかない。それなら、昼の時間にログインした方が楽しい。

 では何をするか。宿題だ。学生の本分たるお勉強である。やっぱり高校生なんだから、勉学に励まなきゃね!……まあ、そういう冗談はともかく、ゲーム内の時間はリアルの四倍速だ。現実(こっち)の一時間はゲーム(あっち)の四時間、二時間ほど時間を潰せばゲーム内は朝の8時頃になる。と言うわけで、勉強と書いて暇潰しと読む時間の始まり始まり、である。



名前:九十九

種族:蒼鱗族 Lv.5 

職業:槌使い Lv.4 

S職業:緊縛師 Lv.5 

 HP 300/300

 MP 300/300

 STR 23 

 VIT  9 

 AGI 23 

 INT  2

 MIN  7 

 DEX 15 

 LUC 11

 SP 0

〔スキル〕

『槌術 Lv.11』『捕縛術 Lv.11』『投擲 Lv.7』『蹴り Lv.12』『鑑定 Lv.7』『強打 Lv.14』『ダッシュ Lv.9』『強力 Lv.1』

〔称号〕

 無し


──────────────


名前:ミールィ

種族:ダークエルフ Lv.5

職業:妖術師 Lv.4

S職業:魔道師 Lv.4

 HP 220/220

 MP 460/460

 STR  0

 VIT  0

 AGI  0

 INT 86

 MIN  8

 DEX  0

 LUC  0

 SP 0

〔スキル〕

『無属性魔法 Lv.4』『火魔法 Lv.1』『水魔法 Lv.1』『雷魔法 Lv.6』『氷魔法 Lv.5』『召喚魔法 Lv.4』『精霊魔法 Lv.2』『付与魔法 Lv.2』『精神統一 Lv.9』

〔称号〕

 無し




一章終わりのステータスです。

スキルの並びを種類毎に変えました。

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