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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
鱗男と魔法幼女
2/55

キャラメイクには時間がかかる

 ログインすると、白い空間に立っていた。どうやら、ここでキャラメイクをするらしい。


『Another World Onlineへようこそ。今からプレイヤーのアバターを作成します。よろしいですか? Yes/No 』


 当然よろしいので、Yesを選択。すると目の前に凹凸の無いつるりとした人型、つまりはマネキンが現れ、操作ウィンドウが展開される。

 これでやれってことですよね。オーケーオーケー。


「へ~ずいぶんとパーツが多いなあ。これって目だけで30近くあるのか。……って、これ、ステータスの方を先に決めることも出来るのね」


 それなら、先にそちらからしておこう。はっきり言って見た目の自由度が高過ぎて、決めるまで一時間はかかりそうだ。

 ……え?長過ぎ?VRゲームのアバターってプレイスタイルと見た目が乖離し過ぎると、ギャグが一周回って恐怖になりますから。2メートルのマッチョアバターがキラッキラの甘ったるい声で魔法の詠唱とか、ヤバかった。うん……。ネタでやったけど、もう2度としたくない。


「……っとと、黒歴史はデリートデリート」


 気を取り直して、ステータスを開いてみる。


──────────────


名前:未設定

種族:未設定

職業:未設定

S職業:未設定

 HP 100/100

 MP 100/100

 STR 0

 VIT 0

 AGI 0

 INT 0

 MIN 0

 DEX 0

 LUC 0

 SP 50

〔スキル〕

 無し

〔称号〕

 無し


──────────────


 やっぱりというか、当然というか、殆ど何も埋まっていない。

 キャラ名はいつも使っている『ツクモ』にしよう……お、漢字入力も出来るのか。

 なら『九十九』にしとこう。あ、ちなみに、僕がこの名前を使うのは、リアルネームが『真白』だからだ。百から一足りないのあれね。安直とか言わないように!僕にはオサレポイント高そうな名前は思い付きませんって。


 種族は……どうやら、一部の種族にはキャラの体格に制限が掛かるものがあるらしい。後に回そう。


 職業は……多い!え、いや本当凄い多いよ、これ。40以上はある。

 《剣士》や《弓術士》に《魔法使い》なんかは定番だが、《遊び人》や《軽業師》なんてのもある。《遊び人》て……。説明にはLUCに補正がかかるらしいが、ギャンブルでもするのかな?札束で殴る(物理)的な。


 ま、《遊び人》は無いとして、だ。中々面白そうなジョブが多い。どうせなら、全て一度はプレイしてみたいと思うのはゲーマーの性かもしれない。

 だが、当然それは無理且つ無茶なので、メインは普通のジョブ、サブにネタ的なものを選ぶとしよう。特別、トッププレイヤーになりたいわけでは無い。僕はゲームを楽しみたいのだ。



 30分ほど時間がかかったが、ようやく種族と職業、ステ振りや初期スキル選びが終わった。


──────────────


名前:九十九

種族:蒼鱗族 Lv.1

職業:槌使い Lv.1

S職業:緊縛師 Lv.1

 HP 100/100

 MP 100/100

 STR 11

 VIT 5

 AGI 11

 INT 2

 MIN 5

 DEX 8

 LUC 8

 SP 0

〔スキル〕

『槌術 Lv.1』『捕縛術 Lv.1』『強打 Lv.1』『鑑定 Lv.1』『ダッシュ Lv.1』『投擲 Lv.1』『蹴り Lv.1』

〔称号〕

 無し


──────────────


 こうなりました。


 蒼鱗族は、腕や足に青っぽい鱗が生えていて目が爬虫類っぽくなっていることに目をつむれば、人間と代わり映えはしない。

 プラス値は、STRとAGIにそれぞれ+2、DEXに+1が着く。このプラス値とは、レベルアップごとにステータスポイントとは別で増加する数値のことだ。説明を見ると、


『蒼鱗族:力と俊敏性に優れ、手先もそれなりに器用。水の中では陸上よりも俊敏な動きを時おり見せる。鱗系種族の中でも、比較的冷気に対して強いが、鱗が乾燥すると動きが鈍る。』


となっていた。

 こんな説明が、数十種類もある種族全てに付いていた。この制作は、結構設定を凝っているようだ。

 僕が選んだジョブ的にはこの種族が一番合っているので、今さら変えようと思わないが、選択出来る組み合わせを考えると溜め息が出そうだ。


 人間、エルフ、ドワーフ、獣人。

 選択幅が大きいのはゲーマー的には嬉しいが、検証勢なんかは苦労しそうだ。なにせ、獣人の種類が多すぎる!

 定番のイヌ、ネコ、ウサギ、キツネなんかは良いが、ゾウやイタチ、タカの獣人まで用意されていて、ちょっと笑えた。


 他にも、僕も選んだ鱗系種族なんかも多い。赤や青の色でそれぞれプラス値が異なる。

 イメージで言えばリザードマンと言った種族で、爬虫類だからか、全体的に冷気に弱い。詳細を見ると、氷属性のダメージが1.3倍になるようだ。これは中々に痛い。ま、僕の選んだ蒼鱗族はその中で例外で、少しだけ冷気に強くてダメージが1.2倍になる。


 本当に『比較的』だね!


 種族は、まあ良い。僕の好み的にもSTRとAGI高めが使いやすいので選んだのだしね。


 ジョブは、《槌使い》と《緊縛師》を選んだ。

 いやー、自分で選んだことにあーだこーだ言う気は無いが、改めて見るととっても変態チックだね!

 このゲーム確か一応全年齢対象のはずだったと思うんですけど……?


 《緊縛師》を選んだのは、ある試みの為だ。上手くいくかは分からないが、出来たらラッキーぐらいの気持ちなので問題は無い。個人的にも面白そうなジョブだとは思うし。

 そういう性癖があれ的なのじゃないからね?


 尚、《槌使い》は近接職&今まで使ったことの無いもの、と言う思考回路の元で、刃物だと縄を切りそうだと思い打撃系武器職(格闘系は別ゲーでしたことあるのでパス)の中から選んだ。

 使ったこと無いものの方が楽しそうじゃん?


 だから、ステータスもSTR、AGI、そして『捕縛術』はDEX参照らしいので高めに。VITはあった方が安心なので5くらい、INTは気持ち程度、MINは状態異常なんかの抵抗を表すそうで、VITと同程度。LUCはドロップ率やクリティカル発生率に寄与するっぽいので、それなりに振った。


 スキルは選べる5つのスキルと、《槌使い》と《緊縛師》のジョブに就いた事で得た『槌術』と『捕縛術』である。どうやら、ジョブに着くことでそれに関するスキルを取得出来るらしい。


 『鑑定』は、言わずもがなで便利だから。別ゲーでも鑑定系のスキルや魔法はあったらかなり便利だった。ゲームの種類では、自力で鑑定出来ないと9割の商人プレイヤー及びNPCにぼったくられるのでマジ大事。アイツラゼッタイユルサン。

 でも、残り1割のいかにも胡散臭くて怪しいNPCに、藁にもすがる思いでアイテム売りに行ったら、見た目の割りに適正価格でちゃんと買い取ってくれた人も中にはいたりして。あれはちょっと感情の起伏的なあれでゲーム内で泣きそうになった。


 閑話休題。


 『強打』は打撃攻撃の威力上昇スキルだ。つまり補助スキル。

 『ダッシュ』はAGIの強化スキル。これも補助スキル。

 『投擲』は戦闘系スキルの一つだ。投げ縄とか思い付いたからしょうがない。

 『蹴り』も戦闘系スキルの一つ。縄で相手を縛るとすると、両手が塞がるのでじゃあ足を使おうと思った。ので。『強打』はこれの強化もしてくれる。


 あ、見た目の方も設定を終えた。

 身長は180ぐらいの高めで、顔付きはリアルの方を若干変えたくらい?蒼鱗族を選んだことで強制的に爬虫類っぽい青目になったので、地味目の顔が少し派手になった気がする。

 腕や足には蒼鱗族の特徴である鱗が生えているが目に付くのはそれぐらいか。


『アバターの作成を終了しますか? Yes/No 』


 終わろうとしたら、こんなメッセージが出たので、見直す。うん。


「Yes、と」


『了解しました。それでは、プレイヤー九十九様。Another World Onlineを、どうぞ心ゆくまでお楽しみ下さい』


「楽しみますよ~」


 そして、光に包まれて僕はAWOの世界へと降り立った。


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