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僕と彼女のVRMMO記(旧題:AWO、始めます)  作者: 炬燵ミカン
鱗男と魔法幼女
12/55

ウサギをぶちのめす最も賢いか分からない方法

サブタイトルに特に意味はありません

 ゴブリンは即刻始末しました。もう手慣れたもので、縛って転がして蹴る、のパターンでさくさくと光の粒子へと変えていった。あ、もちろんハンマーはもう投げてないよ。見晴らしの良い平原ならともかく、視線の通らない森で武器を手放す気は無い。



 その後、森の散歩もとい散策をした。……ん?散歩と散策って一緒では?具体的に何が違うの?知らんなぁ。……どうでもいいか。

 移動をしながら、遭遇するモンスターを狩っていった。ゴブリンだけじゃない。イヌやネコ、トリなんかもいた。

 と、考えたそばから早速。


「ブーー!!」


「ブフゥッ!」


「ブッハッ!」


 僕達の目の前に飛び出たモンスターの鳴き声に、二人して思わず吹き出す。

 こ、これはやっぱり……!


「私これ何回聞いても笑える……」


「同じく……」


 ミールィさんのポツリと呟いた声に同意する。

 僕達の目の前で警戒の声を出すのは、()()()()()()()()()()()

 ファンタジーものでいつも何故か序盤の所で出て来て、四、五話ですぐに蹂躙の対象にされる一角ウサギ(動く的)さんだ。

 本当、何処にでも出て来るよね、君。

 そのウサギさんだが、鳴き声がまた可笑しい。


「ブーー!!」


 ブーー!!である。

 そこはキュウ、とかピィ、とかではなく、ブーー!!である。

 ウサギ、もといホーンラビットは、額に生える捻れた角を除けば、リアルのウサギと変わりなく女子の好きそうな見た目をしている。だからこそ、思う。


 絶妙に可愛くない!と。

 これがまた、僕達のツボに見事に嵌まった。

 初戦闘時なんか、笑い過ぎてウサギの攻撃をミールィさんに当ててしまい、死なせかけた。


 あ、でも瀕死の時の鳴き声は結構可愛いよ?キューキューってね。

 真っ直ぐに突っ込んでくるウサギの角を半身ずらして避け、その胴体部分に下から打ち上げるようにハンマーを叩き込む。


「このウサギって、直線攻撃しかしないから、慣れるとむしろゴブリンより楽なんだよなぁ」


「魔法防御もさほど高く無いようだしね」


「だね」


 空中に一時的に滞空するウサギに、更に左手の鎖で()()()、そのまま背中に鞭の如く叩きつける。そして、バウンドするのを足の裏で押さえつけ、地面との熱い抱擁を交わしてもらう。ほら、地面さんは優しいからお前でも受け入れてくれるってよ。たっぷり味わいな。ぐ~りぐ~り。


 その行程でHPの半分が減っていることを確認し、狙いを定めて素早く踵落としを頸椎に落とす。ゴキリと骨の折れる感触が響き、ウサギのHPバーが0になり、光の粒子に変わる。


 最近、と言っても本当に最近で数十分前、ゴブリンをいつもの如く蹴って殺していて、気付いた。

 首の骨折ったら死なないかなぁ、と。

 で、試してみたのだが、さすがにHP全損とはならなかった。最高でも8割、最低だと5割ほどだ。ま、それだけでも十分凄いんですけど。


 突出した1体は倒したが、現れたのは3体。まだ2体……いや、1体か。


「【サンダーアロー】」


 僕の肩の方から突きだされる杖の先より、ミールィさんの言葉とともに雷の矢が発射される。僕はそれが()()()()()()()前へ進む。雷の矢は、狙いから違わず。


 一撃死したウサギを視界に納めつつ、残り1体のウサギの顎に、蹴りを入れる。

 「ンビャ!」と悲鳴をあげて吹き飛び、木の幹にぶつかる所に追撃のハンマーで押さえつける。このコンボで、HPが4割は削れた。

 鎖を肩にかけ、角を左手で掴み持ち上げる。そしてがら空きの腹に膝蹴り。二度、三度とすると、限界を迎えた角が根元からボキリと折れる。


「わ」


 へー、部位破壊も出来るのか。これは色々出来ることが増えそう……あ、て言うかよく考えたら頸を折るのも部位破壊の一種か。抜けてたな……。

 僕の左手には角が残っていて、光の粒子になって消える様子は無い。

 ……んー?これはどういう扱いなのだろう。このままドロップアイテムの一つとして残る?それともゴブリンの持つ武器のように殺せば消える?


 ま、どちらでも良い。また手に入れるなら今のを繰り返せば良いだけだ。たいした手間でも無い。

 というわけで。


「【豪投】」


 地面に転がる瀕死のウサギに向けて、角を投げつける。距離も短いので、外れることもなく右目に吸い寄せられる。


「あ」


「うわぁ……」


 その結果、顎を砕かれ角を折られ、その角が目に突き刺さっているという冒涜的な絵面が完成した。

 これはヤバい。

 何がヤバいって、この光景を作ったのが僕だってことだ!


「九十九クン……」


「い、いや、わざとじゃないからね!?」


「それは分かるよ。分かるけど……」


「な、なんとなく武器として使えないかなって……」


「君って前から敵対者に容赦無いっていうか、動きに躊躇が無いよね」


「やられる前にやれ的な?」


「なーんでそこで疑問系になるのかな?かな?君ってちょいちょい言動が謎だよね」


「はあ」


「例えばさ、ほら。これだよこれ。私を背負う移動方法とか」


「いや、効率的だし……」


「それ言う前に、人ってのは恥や外聞を気にするんだよ。君このままだと、幼女を常に連れ回す変態(ロリコン)だと思われるよ?」


「僕ロリコンじゃないし。幼女と触れ合っても性的興奮とか覚えない至極真っ当な人間だからね」


「知ってるけどさ……」


 なんでそこで不満げなの?

 内心ミールィさんの、いや女性全般の考え方に首を傾げていると、ようやくウサギの体が粒子となって消える。今回はずいぶんと消えるのが遅かった。


 不思議に思いつつも、ドロップアイテムを回収する。あれ?

 僕が倒した3体目のウサギのドロップアイテムの量が多い?と思ったが違った。僕が武器として使った角だった。部位破壊で分離させた一部は、入手できる?

 もしそうだとすると嬉しいが、なんだか違う感じだ。


「これは……」


「怖いね~」


 なんと言うか、全体的に禍々しい。まず、角の捻れがより上がってる。回転数が上がって突き刺さりやすそうだ。次に、折った時には無かったが、角の先に血っぽいというか明らかに血だと思う赤いシミが付着している。


「………………」


 アイテムボックスからホーンラビットのドロップアイテムの一つの『一角兎の捻角』を取り出す。見比べると、一目瞭然だ。捻れ具合も血っぽいシミ等誰が見ても明らかだ。

 ミールィさんにも両者を並べてみせると、神妙な表情を作る。見た目が幼女なので緊張感0だけど。


「ま、鑑定すれば分かるでんぼあ?」


「え。何?」


 え、いやちょっと待って。え?これって……え?


───────────────────


[呪われし一角兎の捻角] 武器アイテム:投擲武器 レア度:3

 属性:兎特効  耐久値150

 自身の角によって殺された兎の、死に際の怨念が込められた捻角。その怨念は今も生きる自らの同族へと、向けられる。


───────────────────


 えっと……これは、もしかしなくてもヤバい物なのでは?


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