始動、私の青春!
「ほ、本当ですか!?」
肉まん事件から3日、ついにバイト先から面接の合否の連絡が入ったのだ。
結果は合格、初めてのバイトなだけにやはり嬉しかった。
「じゃあ来週の月曜日から頼めるかい?」
「わかりました!よろしくお願いします!」
喜びにより少し口角があがってしまうのを抑えながら電話をきった。
「やったー!やっと私も、青春始めれる!」
正直青春青春と言っているものの自分でも何が青春かはよくわからなかったがその時はとにかく嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「来週の月曜日だよね、挨拶ちゃんとしないとね、あと笑顔!接客業なんだから、あとはー…………」
その日は1日バイトのことばかり考えて1日が終わっていった。
そしてその日はすぐに、しかし楽しみな気持ちでワクワクしている私にとっては遅く長く焦らすようにやってきた。
「よーし、今日が初めてのバイトだ!頑張ろう!」
私はいつもよりも軽く感じる足で何かいいことのあった子供のように跳ねながらコンビニへ行った。そしていつものように聞きなれた音に少しの間身を任せ、そして店の奥へと進んでいった。
「こんにちは!今日から勤務させていただきます、鈴村 詩織です!よろしくお願いします!」
大きな声で挨拶!まず1つ目成功かな?
「遅かったね、私が一番」
まず最初に帰ってきた言葉は店長さんからの挨拶でも店員さんからの歓迎の言葉でもなく、肉まん事件で大活躍?をしたあの女の子の呆れ顔から繰り出された勝利宣言だった。
「あ、あれ?あなたは」
だ、誰だっけ?やばい、名前よりも他のことのインパクトが強すぎて忘れちゃったよ〜
そんな私の考えを見透かしたかのように本日早くも2度目の呆れ顔を披露しつつ名前を教えてくれた。
「橘 香織、あなたと同じ日に面接を受けて私も合格したから。まさかこんなに早く名前を忘れられると思ってなかったけど、唯一の同期なんだし一応よろしく」
「あ、あはは。ごめんね、鈴村 詩織ですよろしくね」
「よろしく」
前の事件の時もそうだったが自信満々な顔を見せたり、呆れ顔を見せたりと感情の表現は豊かなのだがどうも態度は素っ気ない。
(仲良くなれるかなー?まずは1人友達になっておきたいし上手く関わらないと!)
そんな不安まじりの期待もしくは期待まじりの不安のような微妙な感情でいると、ちょうど店長さんが入ってきた。
いろいろな諸事情により本来の4話が5話にもかかり半分に分かれてしまいます、申し訳ございません。
読者の皆様には不便をおかけします。