武器屋と素振り
俺達はダンジョン攻略を済ませたあと、日も暮れたのでギルドで飯を食っていた。すると突然、アルスが勢いよく立ち上がった。
アルス「攻撃手段がほしいです!!」
アイラ「び、ビックリした…急にどうしたの…?」
アルス「攻撃手段がほしいんです!!」
女神「じゃ、じゃあ私もほしいです!」
アルスの会話の波に乗るように、女神も立ち上がり大きな声でそう言い放った。なんとなく嫌な予感がした俺は下を向きため息をついた。
誠「また面倒事を…。」
アルス「面倒事とか言ってる場合じゃないんですよ!」
女神「そうなんです!」
ベル「と、とりあえず座って落ち着いてくださいよ…。」
千夏「今日のこと相当根に持ってるんですね…。」
セナ「確かに…。」
剣聖「まあ…ほとんど何もしてないしね…。」
アルス「それを言わないでください!」
剣聖「ああ…ごめんなさい…。」
アルスは剣聖を軽く睨み付けたあとその顔のまま、俺の方を向き机を叩いて顔を近づけてきた。
アルス「という事で誠さん!」
誠「な、なんでしょう…?」
アルス「明日武器屋に行きましょう!」
女神「私も行きます!」
誠「お前は杖買っただろ!」
俺達はギルドで存分に騒がしくしたあと、ゆったりと家に帰った。そして一通りすることを済ませた俺は布団に潜り込んだ。
誠「明日…面倒だな…。」
俺はため息混じりにそう言ったあと、ゆっくりと目を閉じて眠りについた。そして次の日、俺は案の定アルスと女神に無理矢理に起こされた。
アルス「誠さん!起きてください!」
誠「…頼むからもう少し寝させてくれ…。」
女神「ダメです!時間は限られてるんですよ!」
誠「そうだな…だから寝させてくれ…。」
アルス「もう…ほら行きますよ!」
布団を剥ぎ取られた俺は目を擦りながら立ち上がり、出掛ける準備を始めた。準備も済み外に出ると、待ちくたびれた顔で皆が待っていた。
女神「遅いですよ!誠さん!」
誠「はいはい…今行きますよ…。」
ベル「眠そうですね…。」
剣聖「いつも通りでしょ。」
誠「うっせえ。」
俺は小走りで皆の輪に加わり、武器屋に歩いて向かった。武器屋に入った途端、アルスと女神は様々な武器を見始めた。
アルス「無難に剣なんてどうでしょう?」
千夏「い、いいと思いますよ。」
アイラ「試しに振ってみたら?」
アルス「そうですね!…はっ!」
誠「うぉ危ねっ!?」
な、なんとか避けられたが少し遅れていたら喉を裂かれていただろう…ナチュラルに殺しに来るところがまた怖いな…。
アルス「避けられてしまいましたか…。」
誠「俺に向けてやるなら前もって言ってくんね…?」
アルス「でも当たらなきゃ意味無いじゃないですか。」
誠「は…?じゃあなに…俺が死なないと今日帰れないの…?」
女神「当然じゃないですか!次私ですからね!」
誠「ちょ…待て、待てってば!」
俺は一日中アルスと女神の素振りに付き合わされ、ひたすら避ける作業は夕方まで続いた。
アルス「はあ…はあ…。」
女神「ぜ、全然当たらない…。」
誠「も、もういいか…?俺も疲れたし…。」
アルス「うう…。」
誠「アルスも女神も気にしすぎなんだよ…。」
女神「気にしすぎ…?」
誠「そう、アルスにできることは皆にはできないだろ?女神だってギルドで凄い凄いって言われてたじゃないか。」
アルス「ま、誠さん…!」
俺は少し笑みを浮かべながらため息をつき、二人に手を差し伸べた。二人は俺の手を掴む…かと思いきや
女神「チャンス!」
誠「危ねっ!」
女神「くっそ…!」
アルス「惜しかったですね…!」
誠「お前らな…。」




