やる気と本気
誠「よし…片付いたことだし次行くか。」
ベル「ですね!」
アイラ「えー…疲れたし少し休憩してから…」
誠「お前なにもしてないだろ…。」
セナ「足が痺れた…」
誠「まだ言ってんのかよ…。」
俺は下を向きため息をついたあと、セナとアイラの後ろに回り背中を押した。セナとアイラは嫌な顔をしながらも階段に向かって歩き始めた。
誠「ほら、お前らも行くぞ。」
アルス「出番もないのに何しに行くんですか…?」
女神「同感です…。」
剣聖「私はほら、活躍したし…?」
千夏「凄いひねくれちゃってますね…。」
誠「全く…いいから行くぞ。」
俺は半ば置いていくように歩きだし、階段にいるセナ達の方に向かった。すると、アルス達も俺についてくるように歩き始めた。
誠「そうだセナ、それとアイラ。」
セナ「…?」
アイラ「なんだよ突然…?」
誠「お前ら次活躍しなかったら飯抜きな。」
セナ「…!!」
アイラ「なん…だと…!?」
誠「じゃあ頑張ってな。」
俺はそう言いながら酷なことをしていると理解していた。二人共ご飯大好きだからな…ほらもうこの世の終わりみたいな顔してるもん…。
アイラ「セナ…。」
セナ「うん…。」
アイラ「活躍するぞ…!」
セナ「わかってる…!」
誠「おお…!」
二人の表情が、目付きが変わった。まるで虎の様な鋭く、獲物を見るかの様な目をしていた。あれ…?急に目から汗が…。
誠「じゃあ行くぞ。」
アイラ「オッケー…!」
セナ「活躍しないと飯抜き…!」
ベル「き、気合いが凄いですね…!」
誠「この分だと次は楽勝かな。」
俺が気を抜きながらゆっくりと階段を上っていると、両脇からセナとアイラが俺を抜き去っていった。
誠「あ、おい!あんまり張り切りすぎるなよ!」
千夏「聞いてませんね…。」
誠「はあ…。」
俺は少し速く階段を上り、セナとアイラを追いかけた。階段を上りきり部屋を見ると両手を虹色に光らせ、魔物を殴り倒していくアイラとその背中を追うセナがいた。
セナ「アイラ、少し伏せて…。」
アイラ「わかった!」
アイラが伏せるとセナはその背中を踏み台に外に飛び出した。そしてそのまま空中でロボットを装着し、外から魔物を撃ち抜いた。
ベル「二人共カッコいいですね!」
千夏「さっきまでとは別人みたいです!」
誠「本当…夢でも見てるみたいだ…なっ!?」
二人を眺めているとセナの銃弾が俺に向かって勢いよく飛んできた。俺は咄嗟に剣を抜き斬り裂いたあと、周りをよく見た。俺の周りに魔物はいない…完全に狙いやがったな…あいつ…。
アイラ「よし、結構余裕だったな…。」
戦闘が終わりアイラはベルと千夏の方へ、セナは俺の方へ歩み寄ってきた。二人共やりきったような顔をしていた。
千夏「凄かったですよアイラさん!」
アイラ「お、おう…!」
ベル「…というか虹色の指輪なんてありましたっけ?」
アイラ「ああこれか?これは五個の指輪を同時につけてるだけだよ。」
俺は楽しそうに話すアイラ達の方を見つつ、セナとの会話を始めた。セナはいつの間にかロボットを脱いでいた。もう戦う気ないんだな…。
セナ「これで飯抜きにされない…。」
誠「それはそうだけどさ…さっき俺に向かって撃たなかった?」
セナ「気のせいだと思う…決して無理矢理に戦わされたからとかじゃない…。」
誠「ああ…そう…なんかごめん…。」




