降下と言い訳
俺はグロウルに注意を受けたあと一度剣をしまい、従うように皆のいるところに転移魔法で戻った。
ベル「あ、誠さん!よかった…無事で…。」
千夏「銃声が聞こえたからビックリしましたよ…。」
誠「ああ、ごめんごめん…。」
アイラ「…で、なんで戻ってきたんだ?」
セナ「そのまま攻略してくればよかったのに…。」
誠「…君たちは協力という言葉を知らないのかい?」
俺はアイラとセナを睨むように見つめそう言ったあと、さっきグロウルに言われたことを皆に伝えた。
剣聖「えー…。」
誠「えーじゃない。ほら行くぞ。」
女神「ダンジョン攻略…ワクワクしますね!」
誠「ほらお前ら、女神を見習って元気出せよ。」
アルス「…でも女神さんって攻撃手段あるんですか?」
女神「え?どういうことですか?」
アルス「私の経験談ですけど支援係って魔物倒せないから結構退屈ですよ?」
女神「…やっぱり行かなくていいんじゃないですかね…。」
誠「アルス…お前余計なことを…!」
アルス「ご、ごめんなさい!」
こうしてテンションだだ下がりの状態のまま、俺達はダンジョンに歩を進めた。そして入り口の前まで来たとき、
誠「よし。じゃあアルス、支援魔法よろしく。」
アルス「はい、わかりました!」
返事をしたアルスは皆に支援魔法を使い、ステータスを上げた。そして一仕事終えたように一息ついた。
アルス「ふう…。」
女神「ア、アルスさん…アルスさんの仕事ってもう終わりなんですか…?」
アルス「え?まあ…そうですね…。」
女神「そ、そうなんですか…。」
アルス「…誠さん、帰っていいですか…?」
誠「お、落ち着けって!!」
ベル「だ、大丈夫なんですか…これ…?」
誠「絶対大丈夫じゃない…!」
やる気を取り戻すどころか失っていく仲間たちを俺はダンジョンの前で説得し、なんとか攻略できるような雰囲気まで持ち直すことに成功した。
誠「…行くか…。」
アイラ「オー…。」
セナ「ガンバロー…。」
ベル「…持ち直したんじゃなかったんですか!?」
誠「これが限界だった…。」
ベル「悪くなってる気がするんですけど…?」
誠「気のせいじゃない…?」
ベル「えぇ…?」
俺はやっとのことでダンジョンの扉に手をかけた。扉を開くと中には上にいた魔物と同じ魔物共が、剣を両手に待ち構えていた。
誠「よし…!」
俺は少し口元を緩ませながら魔物に斬りかかった。それと同時にベルと千夏も武器を取り出し、他の魔物に向かった。
剣聖「がんばれー…。」
誠「お前も戦えよ!!」
剣聖「いや…だって敵強そうだし…?」
誠「バハムート使えや!!」
俺は剣聖にそう言い放ったあと、アイラとセナの方を向いた。が、相変わらず二人は死んだ目をして立ち尽くしていた。
誠「戦えって!!」
セナ「残念ながら充電切れ…。」
誠「言う割に腕輪めっちゃ光ってるけどな!!」
セナ「気のせい…。」
誠「ああもう…アイラも戦え!!」
アイラ「いや…戦うの怖いし…。」
誠「あ…ごめん…。」
アイラ「…反論しろよ!!」




