女神(小)と復活魔法
女神「乾杯~。」
今俺達はギルドで、新たに仲間に加わった女神と歓迎会をしていた。俺は全くと言っていいほど歓迎してないけどな…。
アルス「…そういえば女神さんの名前聞いてませんでしたね。」
剣聖「あ、確かに。」
女神「私の名前ですか?名前はБИЁыΩΡです。」
誠「……。」
アイラ「…え?」
千夏「…はい?」
女神「ですからБИЁыΩΡですよ。」
ベル「そ、そうなんですか!でも呼びにくいので女神さんって呼ぶことにしますね!」
女神「え?でも、せっかくですし…」
ベル「いや、女神さんがいいです!」
女神「は、はあ…。」
強引に女神の呼び名を決めたあと、俺達は会計を終えてギルドを出た。家までの帰り道、俺は隣にいたセナになんとなく質問を投げ掛けた。
誠「さっきの何語だと思う…?」
セナ「知らない…。」
誠「だよな…。」
セナ「誠と女神は知り合いじゃないの…?」
誠「知り合い…なのかな…?」
そんな話をしていると、さっきまで隣にいなかったはずの女神が隣に現れた。そして明るい声で話しかけてきた。
女神「なに話してるんですか?」
誠「うおっ!?ビックリしたな…。」
女神「む…人をお化けみたいに言わないでくださいよ。」
誠「人じゃないだろ…。」
女神「もうほとんど人だと思いますけどね…ってそうじゃなくて、なに話してたんですか?」
セナ「誠と女神が知り合いかって話…。」
女神「え?知り合いもなにもパーティメンバーじゃないですか。」
誠「…俺は認めてないぞ。」
女神「何を今更、是非って言ってくれたじゃないですか!」
誠「…本心じゃない。」
女神「ツンデレってやつですか~?可愛いですね~?」
女神はそう言いながら身を屈め、肘で俺をつついてくる。…なんなんだこの女神…妙に馴れ馴れしいぞ…?
誠「お前…なんか軽くなったな…。」
女神「軽く…ですか?まあ上司がいないっていうのは気が楽ですね!」
誠「ああ…そう…。」
セナ「女神も大変なの…?」
女神「大変ですよ!規則がありすぎてもう何がなんだか…。」
誠「クビになってよかったな。」
女神「それはないです。」
誠「す、すみません…。」
そんな話をしながら歩き、家についた俺達はとりあえずリビングに集まった。特にすることもないので適当に話したりしていた。
誠「…そういえばギルドで男共に群がられてたけど女神って強いの?」
アイラ「姿が見えなくなるくらい囲まれてたな。」
女神「んー…綺麗だからじゃないですか?」
誠「真剣に聞いてるんだけど…?」
女神「割りと真剣に答えたんですけど…?」
誠「ステータスとかその辺を聞いてるんだよ!」
女神「美貌もステータスだと思いますけど…。」
ああ言えばこう言う女神に腹が立ってしまった俺は、怒りを抑えつつちょっと強めに聞き直した。
誠「それで…どこが強いんだ?」
女神「ギルドでは回復魔法を褒められましたね。」
アルス「回復魔法…ですか。」
女神「回復と言うよりは復活ですかね。ほぼ詠唱なしで生き返らせることができるそうですよ。」
アイラ「へー…凄いな。」
女神「試してみますか?」
女神は凍りつくような視線で俺を見ながらそう言い放った。かと思うと突然立ち上がり、ドア付近に立て掛けてあった俺の剣を手に取った。
誠「お、おい待てなんで俺なんだよ!?」
女神「誠さん死に慣れてるじゃないですか。」
誠「そんなことないから!てか皆も止めろよ!」
アイラ「誠なら大丈夫だろ。」
セナ「そんな気がする…。」
誠「お前ら人間じゃねえ!」
その言葉を最後に俺は大量の血を流し、意識を失った。目を覚ますと俺は、いつも通り何処かもわからないところで椅子に座っていた。いつもと違うところは、女神がこの前の女の子になっていたことだ。
女神(小)「あれー?もしかして君が誠さんって人?」
誠「ん…そうだけど…!?」
女神(小)は椅子から降りると俺に走りより、顔を俺の顔に近づけた。互いの呼吸が当たるほどに。見かけによらず大胆だな…。
女神(小)「へー…先輩が目をつけるのもわかる気がするなー…。」
そう言いながら女神(小)は俺の頬に手で触れようとした。小さな手が触れかけた瞬間、俺の意識は飛んでしまった。
誠「…はっ!?」
アルス「凄いです女神さん!あっという間でした!」
女神「て、照れますね…。」
俺は目をパチクリさせながら、目の前の光景を見つめていた。さっきまでの幸せ空間がまるで夢だったかのようだった。
誠「……。」
女神「どうですか誠さん?私の復活魔法凄いですよね?」
誠「…あっという間すぎるよ!」
女神「そこが売りなんですけど!?」




