相談と狂乱
誠「はあ…。」
俺は風呂から上がり、可愛い服を着て自分の部屋のベッドに横たわっていた。…まさか自分が女になるとは…女体に興味はあったがなりたいとは言ってないぞ…。
誠「…寝るか…。」
愚痴をこぼしても意味がないと思った俺は、ゆっくりと目を閉じて眠りに着いた。次の日、俺は変わらず女のまま目を覚ました。
誠「いつになったら戻るんだよ…。」
俺はため息をつきながら立ち上がり、リビングに向かった。リビングには珍しく全員が集合していた。
ベル「あ、誠さん!」
誠「どうした?皆揃って…珍しいな?」
千夏「誠さんの寝起きを拝もうかな…と。」
誠「俺は見世物じゃないぞ…?」
アルス「まあまあ…可愛いからいいじゃないですか!」
誠「嬉しくねーよ…。」
わざわざ俺の寝起きを見るために早起きするパーティメンバー…か。…駄目だこいつら…早く何とかしないと…。
誠「アイラ…お前も寝起き見るために早起きしたのか…?」
アイラ「ん?当たり前じゃん。」
誠「普段から早起きしろよな…。」
剣聖「人のこと言えないでしょ。」
誠「いやいや…俺はもう早起きできるようになったし。」
セナ「…でも今日は皆より一時間も遅い…。」
誠「…え?お前ら…一時間前から待ってたのか!?」
俺がそう言うと皆はタイミングを揃えて首を縦に振った。その光景を目の当たりにした俺は開いた口が塞がらない状態だった。
誠「お前ら…頭おかしいぞ…?」
ベル「どこがですか?」
誠「俺は男なんだぞ…?」
アイラ「そのなりで言われてもな…。」
誠「心は男なんだよ!」
アルス「それはわかりますけど…それがどうしたんですか?」
誠「どうしたって…もういい…君達に話しても無駄みたいだ…。」
何を言っても理解してくれない皆に不満を持ちながら、俺は自分の足元に転移魔法を発動させた。
千夏「どこ行くんですか!?」
誠「グロウルのとこだよ…魔王様ならなんとかしてくれるだろ…。」
ベル「ええっ!?そんな!もったいないですよ!」
誠「何がだよ…。」
アルス「せっかく可愛いのに…。」
誠「だから俺は男なんだって…じゃあな。」
俺は寂しそうな顔をする皆を無視して、グロウルさん家に向かった。俺が着いたときグロウルは仕事中なのか、眼鏡をかけて本を読んでいた。
グロウル「誠さん…いつも思ってるんですけど来るときは言ってくださいよ…。」
誠「…なんで?どうせ暇でしょ?」
グロウル「ひどい偏見ですね…。」
誠「偏見じゃなくて事実でしょ?」
グロウル「…怒りますよ?」
誠「す、すみません…。」
グロウル「全く…それで、今日は何の用で来たんですか?」
誠「ああ、それがさ…女体化が全然解けないから困ってるんだよ…。」
グロウル「…え?解きたいんですか?」
グロウルの「解きたいんですか?」という反応に疑問を感じた俺は、少し険しい顔つきで聞き直した。
誠「…解きたいんですかってどういうこと?」
グロウル「え?可愛くていいじゃないですか。」
誠「グロウルさん…?」
グロウル「はい?」
誠「俺は本気で悩んでるんすよ…半端な気持ちで答えないで頂きたいんすよ…。」
グロウル「は、はあ…。」
誠「お願いしますよほんと…。」
楽観視するグロウルを説得した俺は、まずこの女体化の原因を探ることにした。暫くグロウルと考えた結果、
グロウル「…状態異常の一種なんじゃないですか?」
誠「なるほど…じゃあ死ねば解けるってこと?」
グロウル「極端すぎじゃないですか…?」
誠「だって他に解く方法ないし…。」
グロウル「もう少し考えてみましょうよ…。」
誠「いや、もう死ぬ以外考えられない。」
そう言いながら俺は壁にかけられていた、若干ボロい剣を手に取り喉元に突き立てた。…自分で言うのも何だが最近死に慣れてきた気がするぞ…。
グロウル「ちょ、ちょっと!お、落ち着いてくださいよ!」
誠「落ち着いてるからこうするんだよ!邪魔しないでくれ!」
グロウル「ま、まだ死んだら解けるって決まった訳では…」
俺は腕に掴みかかって邪魔してくるグロウルを押し退け、ボロい剣で喉元を斬り割いた。俺の喉から出る大量の血がグロウルを濡らす。
グロウル「…え、えぇ…?」




