脱出とお仕置き
遅れてすみませんでした。
誠「よし…これでオッケーかな。」
アルスの支援魔法により知力の上がった俺は、あっという間にパズルを解いてしまった。そしてついに最上階、
アイラ「…なんかあっという間だったな。」
アルス「ですね。」
誠「俺の頭がいいからな。」
剣聖「それはちょっと違うでしょ…。」
セナ「アルスのおかげ…。」
誠「いやまあ…そうだけどさ…。」
俺は一切褒めてくれない仲間に対してため息をこぼしながら、最後のパズルに挑んだ。そのパズルには手形の窪みがあった。
ベル「…手をはめればいいんでしょうか?」
千夏「パズル…なんですよね?」
誠「んー…まあ、物は試しだろ。」
俺は警戒することなく窪みに手をはめた。するとパズルは妖しく輝きだし、俺の手には謎の力が働きだした。
誠「な、なんだ!?手が離れない…!」
千夏「だ、大丈夫ですか!?」
誠「大丈夫じゃな…」
俺が千夏に返事をしようとした時、俺の耳は誰かの声を聞き取った。今まで聞いたことのない声が「脱出せよ…これが最後のパズルだ。」と囁いた。
誠「(…パズルじゃねえ!!)」
ベル「ま、誠さん!また壁が…!」
アイラ「ま、まだパズル解けないのか!?」
誠「い、いや…ここから脱出するのがパズルらしいんだよ…。」
剣聖「パズルじゃないじゃん!」
誠「俺もそう思ったよ…。」
壁が迫ってくる中そんな話をしていると、すぐそばで轟音が鳴り響いた。驚きながらそこを見ると、穴の空いた壁と銃を持ったセナが映った。
誠「…何してるんすか…?」
セナ「脱出する…。」
誠「あっ、おい!!」
セナは空いた穴から一人で飛び立ち、空中でロボットを装着して何処かへ行ってしまった。取り残された俺達はというと、全員驚愕の表情を浮かべていた。
誠「…あの野郎…。」
千夏「け、結構ゲスいですね…。」
ベル「…ってそんなこと話してる場合じゃないですよ!どうするんですか!?」
誠「だ、大丈夫だって、とりあえず転移魔法で脱出するぞ!」
俺は咄嗟に転移魔法を使い、とりあえず家に向かった。家に着くとロボットを脱ぎ涼しい顔をするセナと、顔色の悪い皆が立っていた。
誠「…ふう。なんとか帰ってこれたな。」
アルス「ま、誠さん…それ…。」
誠「え?なに…?」
アルスは俺の右腕を指差して身を震わせていた。俺は不思議に思い腕を見つめた。すると俺の右手が無く、更にそこから大量の血が流れ落ちていた。
誠「…え?あ…ああ…!?」
どうやら俺の右手はパズルに残されたまま、俺の体と離れ離れになってしまったらしい。…あ…視界が暗く…
誠「…ど、どうも…。」
女神「…最近死にすぎじゃないですか…?」
誠「べ、別に死にたくて死んでるわけでは…。」
女神「そうですけど…でも命は大切にするべきですよ?」
誠「…まあ確かにそうだけど…でもほら、俺には優しい女神様がいるし?何回死んでも大丈夫みたいな?」
女神「はあ…言っておきますけど、私も他の神様から怒られるんですよ…?」
誠「えっ!?そうなの!?」
女神「そうなんです。死んだ生き物を勝手に生き返らせるなんて、本当はダメなんですから。」
誠「じゃ、じゃあ…俺はもう…」
女神「ああ…な、泣かないでくださいよ…。」
誠「だ、だって…」
女神「わ、わかりましたから!今回だけ、今回だけですからね!」
そう言うと女神は俺を生き返らせてくれた。段々と視界が暗くなっていく中、ため息をこぼしながら頭を抱える女神が映った。…流石女神…優しすぎぃ…。
誠「…ん…。」
目を覚まして立ち上がり回りを見ると、皆が俺から離れていることに気づいた。俺は不思議に思い皆に聞いてみた。
誠「お、おい…なんでそんなに離れてるんだよ…?」
剣聖「だ、だってあんた…右手…。」
誠「え…?」
俺は言われたままに右手を見てみた。するとさっきまで無かったはずの右手があり、自由に握ったり離したりできる。…てかなんかヌメヌメしてるぞ…?
ベル「そ、その右手…生えてきたんですよ…?ついさっき…。」
アルス「ズルズルって音たててました…。」
アイラ「お前…本当に人間か?セ○とかじゃないのか…?」
誠「違うわ!完全体とかじゃねーわ!これはその…神の力だ!」
俺はヌメヌメとした右手を握り、親指を立てて皆の方に突きだした。相変わらず皆は嫌悪の表情を浮かべていた。酷いな…全く…。
誠「…っと危うく忘れるところだったぞ、セナちゃん?」
セナ「な…なにが…?」
誠「セナちゃん…さっきのダンジョンで一人だけ逃げ出したよね?」
千夏「そういえばそうでしたね…。」
セナ「ち、違う…あれは…」
誠「問答無用っ!!」
セナ「…っ!」
俺達は全員でセナを地面に押さえつけて首、脇、腹、太ももをくすぐり倒した。普段は無表情なセナが、目に涙を浮かべながら笑っている。…なんだかいいシチュエーションだな…。
セナ「うぅ…くふっ…わ、わかった…あやっ、謝る…んんっ…ふぅ…。」
俺達は段々くすぐることが楽しくなってきてしまい、十分間ずっとセナをくすぐり続けてしまった。休む間もなくくすぐられたセナは、地面にぐったりと倒れ涎を垂らしていた。
セナ「はぁ…はぁ…。」
誠「ご、ごめん…大丈夫か?」
セナ「大丈夫じゃ…ない…。」
俺は無気力に体を開いて吐息を荒げるセナから目を離して、逃げるようにリビングから抜け出した。




