機械の国と美少女ロボ
誠「やっと解けたか…疲れた…。」
俺は門の外で一時間立ち尽くしたあと、重い足を引きずりながらギルドに向かった。そしてギルドに着き扉を開けると、異様に静かな空間が広がっていた。
リディ「あ…誠さん…。」
誠「…あれ?宴会じゃなかった…け?」
リディ「えっと…実はですね…。宴会を始めて三十分でアイラさんが倒れてしまって…ですね。」
誠「……。」
リディ「えっと…どうしましょう…?」
誠「…と、とりあえず飲み物で…。」
リディ「わ、わかりました…。」
飲み物を頼んだ俺はリディと二人で寂しく飲んだあと、一人で寂しく家に帰った。はあ…何故こんなことに…。
誠「…もう寝よ…。」
部屋に入った俺はベッドに横になり、明日は何をしようか考えながら眠りに着いた。そして次の日、
誠「ん…朝か…。」
俺は布団から出てリビングに向かった。リビングに入るとすでに皆がいた。時計を見ると昼過ぎを指していた。
誠「昼だったか…。」
ベル「あ、誠さん。やっと起きましたか。」
セナ「遅い…。」
誠「悪い悪い。」
アルス「それで、今日は何するんですか?」
誠「んー…今日はダンジョンに行こう!」
千夏「ダ、ダンジョンですか!?昨日戦ったばかりなのに大丈夫なんですか…?」
誠「大丈夫!…だと思う!」
アイラ「本当かよ…。」
誠「時間も無いし、とりあえず行くぞ!」
剣聖「時間が無いのはあんたが寝てたか…」
誠「シャラップ!」
俺は皆を連れてギルドに向かったあと準備をして、クルールの馬車乗り場に向かった。そこに着いてから気づいたが、次のダンジョンにはサエザルという国を通るらしい。
誠「サエ…ザル…?」
セナ「サエザル…機械の国…。」
誠「へー…。」
ベル「たしか…人口が少ない国でしたね。」
誠「ふーん…ま、行ってみてのお楽しみだな。」
俺達は馬車に乗り、次の目的地に向かった。一時間くらい揺られたあと、馬車は止まった。辺りは背の高い建物が建ち並んでいた。
誠「都会って感じだな…!」
剣聖「こういう国もいいかもね。」
アルス「ですね!」
俺達は馬車から降りて暫く観光を楽しむことにした。機械の国と言われるのがよく分かる程に、辺りには色々な機械が動いていた。
誠「すっげ…!」
俺が驚いたのは建物だけではない。そこらを歩いていた、買い物帰り風の女の子にも驚いていた。凄い美少女なのだ。俺はつい皆を置いて話しかけてしまった。
誠「あ、あの…。」
美少女「はい?なんでしょうか?」
誠「え、えっと…その…。」
美少女「…?あの…そろそろ主様のところに戻らないといけないんですけど…。ナンパなら他でやってください、このゲス野郎。」
誠「えっ…あ、あ…。」
突然の暴言に戸惑う俺を無視して美少女は道なりに沿って真っ直ぐ歩いて行ってしまった。残された俺は心の底から恨みを覚え始めた。
誠「…あの女…可愛いからって調子乗りやがって…。」
ベル「ナンパなんてするからですよ…。」
セナ「誠…どうしたの…?」
誠「…あの女に暴言吐かれた…。」
セナ「女…?あれはロボット…。」
誠「…え?ロボット…?」
セナ「そう…お手伝いロボット…。」
誠「ほう…それはいいこと聞いた。セナ、ちょっと来い。」
セナ「…?」
千夏「誠さん!?どこ行くんですか!?」
俺はニヤニヤしながら、さっき俺に暴言を吐いたロボットに近づいた。そしてロボットの口を押さえ、目にも止まらぬ速さで路地裏に連れ込んだ。
アイラ「路地裏で何やってるんだ…誠?」
剣聖「…さあ?あ、帰って来た。」
誠「…ハッハッハ…完璧だ!!」
アルス「…なにがですか?」
俺は路地裏からさっきのロボットを連れ出した。そのロボットの目には光がなく、口を半開きにしたまま吐息を漏らしていた。
ロボット「私なんて…ただの使えない…能無しの○○○で○○○な女です…すみません…。」
ベル「何したんですか…?」
誠「セナに内部をいじらせてみました。」
俺はセナの頭を撫でながら、親指を立てた。最高だ…内部をいじるだけでこの変わり様。…帰りにこのロボット買って行こう。




