人の性と確認
誠「…はっ!?」
目を覚ますと俺はまた女神と見覚えのあるところで対座していた。その光景を見た瞬間、俺は全てを察した。
誠「俺…死んだんですか…。」
女神「死にましたね…。」
誠「やっぱりか…。てか俺どうやって死んだんでしたっけ…?」
女神「…死んだところ見ますか…?」
誠「お願いします…。」
俺が頼むと女神は映像を出してくれた。そこには股間に矢を受け、血を流しながら倒れる俺が映っていた。
誠「うわっ…。」
女神「痛そうですね…。」
誠「痛いってレベルじゃないぞこれ…。」
俺はそう言いながら立ち上がり、パンツのなかを覗きこんだ。見たところ息子はどうやら無事なようだ。
誠「よかった…。」
女神「…女性の前で息子の生存確認するのやめてもらっていいですか…?」
誠「…女のあなたにはわからないでしょうね!この痛みは!」
女神「ええ…?す、すみません…。」
誠「全く…それで?俺は生き返れるんですか?できれば急いで生き返りたいんですけど。」
女神「まあ…生き返らせることはできますけど…なんで急いでるんですか…?」
誠「…実は今俺のパーティにヤンデレ属性の子がいるんですよ…。」
女神「はあ…なるほど…?」
誠「だからあのまま俺の死体を放置するのは良くない…きっと息子を狩られる…。」
俺がそう言うと女神は腹を抱えて笑いだした。…俺の言っていることを冗談だと思っているんだろうな…。俺も冗談だと思いたいよ…。
女神「いやいや…人の息子を狩るなんて…フフッ…。」
誠「…冗談だと思うだろ…?けど冗談じゃないんだよ…。」
女神「またまた…フフッ…。」
誠「はあ…人の物を欲しがり妬むのが人間の性だ。」
女神「フフッ…急になんですか…?」
誠「だから今俺はあんたの胸が欲しいと思っている。」
女神「…え?」
誠「あわよくば型をとって家に飾りたいとも思っている。」
女神「え、え…?」
誠「これでわかったか?今俺の身に迫っている危険が。」
女神「わ、わかりました…。」
そう言いながら女神は俺を生き返らせてくれた。段々と意識が遠退いていく。薄れ行く視界には胸を腕で隠す女神が映っていた。
誠「…ん…。」
目を覚ますとオレンジに染まる夕時の空と、皆の顔が視界に映った。結構長い間倒れていたみたいだ。
千夏「うわっ!?お、おはようございます…。」
剣聖「また生き返った…。」
千夏「ぶ、無事みたいでよかったです…。」
誠「…ところでなんで俺のズボンが下がってるんだい?」
千夏「え、えっと…あれです!傷の処置をしてたんです!」
誠「ふーん…?」
俺は千夏を疑いながらズボンを上げようとした。すると、なんだかねっとりとした液体が手に付いた。血…じゃないな…だとするとなんだ…?
誠「…なんだこれ…?」
ベル「多分よだれですね。」
誠「…は?」
セナ「千夏、ズボン下ろしながらハアハア言ってた…。」
誠「……。」
千夏「……。」
危なかった…あと少し女神の説得が遅れてたら、俺の息子はお亡くなりになられていただろう…。この女…本当に油断できないぞ…。
誠「…とりあえず帰るか。」
アイラ「動いて平気なのか…?」
アルス「血凄い出てましたよ?」
誠「俺の息子は無事だぞ。なんなら確認するか?」
剣聖「うわ…。」
ベル「もう…そういうのいいですよ…。」
誠「す、すみません…。」
俺は皆とほぼ会話することなくギルドに帰った。ギルドに入ると、リディとグロウルが対座して楽しそうに話していた。
誠「よ。」
リディ「あ、誠さん…ってどうしたんですか!?」
グロウル「血が出てますよ!?」
誠「ああ、これは…まあ色々あってな…。」
グロウル「大丈夫なんですか!?」
誠「大丈夫だよ、なんなら確認…」
ベル「もういいですって…。」




