運と風呂
俺は今、ギルドの中で謎の女の子からパーティに入れてほしいとお願いされている。この子は謎が多すぎる…正直パーティに入れていいものか…。と考えていたのだが俺の口からは、
誠「わかった。歓迎するよ。」
女の子「本当ですか!?ありがとうございます!」
誠「……えっ!?ちょ、俺今なんて言った!?」
剣聖「はあ?歓迎するって言ってたけど…?」
なんだと…!?俺はまだ入れるかどうか考えてたはずだ…一体何が起こったんだ!?一人で困惑する俺を無視して、女の子はいつの間にか皆と仲良くなっていた。
リディ「誠さん?なんで困った顔してるんですか?」
誠「い、いやパーティに入れるつもり無かったから…。」
リディ「…?自分で歓迎するって言ってたじゃないですか?」
誠「そうなんだけど…なあリディ、この子の凄いところってなんなんだ?」
リディ「あ、そういえば言ってませんでしたね。実は…運のステータスがカンストしてるんですよ!」
なるほどな…。その脅威的な強運で無理矢理に俺の心を動かした…と。やばいなこれは…下手に刺激したら殺される…いや、この世界ごと消し飛ぶ可能性も…!?
誠「え、えっと…とりあえず飯食おうぜ。」
ベル「そうですね。」
俺達は空いた席に座り飯を食べながら、自己紹介を交わしていた。次々と自己紹介をしていき、ついに女の子の番になった。俺は注意深くそれを聞いた。
千夏「えっと…私は坂本千夏っていいます。誠さんと同じ高校に通ってた一年生です。」
誠「後輩か…だから名前知ってたのか。」
千夏「はい!…まあ誠さんは私のことわからなかった見たいですけど…ね。」
誠「あ、いやっ…その、すみません…。」
千夏「えへへ…いいんですよ、気にしてませんから。」
剣聖「でも誠が名前知らないってことは…そんなに仲良くないんだ?」
千夏「まあ…片想いでしたからね。」
誠「ブッ!?ゲホッ!ゴホッ!」
俺はそれを聞いた途端、飲んでいた水を吹き出し咳き込んだ。片想い…!?知らなかった…俺のことを好いてる物好きがこの世にいたなんて…。
アルス「誠さんモテモテですね!」
誠「あのな…茶化すなよ…。」
リディ「モテる男は辛いですね~。」
誠「だから…。」
一通り自己紹介が終わると、話の内容は次第に雑談に変わっていた。暫く話していると、アイラが水の入ったコップを倒してしまった。
アイラ「あっ…誠、ティッシュ取って。」
誠「ん?ああ、わかった。」
俺はテーブルの端に置いてあるティッシュに手を伸ばした。すると奥からもう一本手が伸びてきた。千夏のだ。ティッシュに伸びる二本の手は途中でぶつかり、俺と千夏は顔を赤らめた。
誠「あ、えっと…ごめん。」
千夏「い、いえ!私こそすみません…。」
セナ「ヒューヒュー…。」
誠「だ、だからそういうんじゃないからっ!」
アイラ「…わかったからティッシュ…。」
誠「ああ…そうだった…。」
俺はティッシュを取りアイラに渡した。今の少女マンガ的な展開も千夏の強運によるものなのか…?だとしたらギルドの外でぶつかったのも強運の仕業か…。いやまあ嬉しいからいいけど。
誠「…ていうか運ってそんなに大事なステータスなのか?」
リディ「大事に決まってるじゃないですか!」
誠「そうなの?」
リディ「そうなんです。クリティカルとかドロップアイテムとか、色々なものが運で左右されるんですから。」
誠「ああ…なるほどな。」
ベル「まさしく期待の新人ですね。」
千夏「あはは…そんなことないですよ。」
そんな話をしたあと俺達は飯を食べ終えて、家に帰り俺は風呂に入った。そして頭を洗っていると風呂のドアが開く音が聞こえた。
誠「え…まさか…!?」
千夏「あ、あれっ!?入ってたんですか!?」
誠「やっぱりか…!」
これも強運の仕業か…!?いやいや…服は脱衣場に置いてあるからそれで気づいたはずだ…。だとしたらこれはわざとか…?強運に見せかけてるのか…?俺は股間を隠しながらそう考えた。
誠「え、えっと…」
千夏「こ、これは…その…あっ!背中流しますよ!」
いやいや…!後輩に…しかも女の子に背中を流してもらうなんてよろしくない!なんか、こう…危ない気がする!と思っていたのだが、
誠「ああ、頼むよ。」
強運の野郎め…また俺の心を無理矢理に動かしやがって…!これで変なやつとか思われて嫌われたらどうするんだ…。
千夏「わ、わかりました!で、では後ろ失礼しますね…!」
誠「(千夏の方が変なやつだったー!)」
千夏「よいしょ…っと。」
そう言いながら千夏は俺の後ろに座った。そして俺の背中を流し始めた。風呂で会うまで気づかなかったが、千夏は想像以上に胸が大きかった。そのせいで背中を流している途中、胸が背中に当たり続けていた。
誠「…うう…。」
千夏「…?もしかして痒いところありますか?」
誠「いや…そういうんじゃないよ…大丈夫。」
千夏「…あっ、もしかして…。」
千夏はそう言うと背中を流すのをやめて、俺に抱きつくようにくっついてきた。俺の聖剣は胸の感触に耐えきれず、少し元気になってしまった。
誠「お、おいっ!?」
千夏「えへへ…股間押さえてどうしたんですか?誠さん?」
誠「な、なんでもないっ!なんでもないから離れてくれっ!」
千夏「えー…本当に離れてほしいんですか?」
誠「いや、離れてほしくない。」
しまった…!またしても強運のせいで口が勝手に…!!…でもまあ…本心じゃないと言えば嘘になるけどな…。だけどこれ以上は本当にまずい…俺の聖剣が完全硬直エクスカリバーになってしまう…!
誠「お、俺もうあがるから…!」
千夏「…あっ!待ってくださいよ!」
俺は千夏から逃げるように風呂からあがり、すぐに体を拭いて服を着た。そしてリビングに飛び込むように入った。
アルス「どうしたんですか?」
剣聖「疲れた顔してるけど…風呂入ってきたんじゃないの?」
誠「それが…千夏に襲われた…。」
アイラ「…はあ?」




