表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけが神速の異世界で  作者: apple_pie
43/84

イイコトと新人

誠「…なんか面白いことないかな…。」


俺達はギルドで暇を持て余していた。ダンジョン攻略したあとはすることがなくなるから困るんだよな…。


グロウル「面白いことというと…例えばなんですか?」


誠「んー、そうだな…イイコトしたいなー。」


ベル「うわ…正直者ですね…。」


セナ「流石に引く…。」


剣聖「最っ低…。」


次々と俺に向けられる冷たい視線と罵声を掻い潜るように、俺は言い訳を考えて強めに言い放った。


誠「…仕方ないだろ、俺だって男の子なんだぞ。」


アイラ「だからって…。」


アルス「リディさん、イイコトって何ですか?」


リディ「…さあ?」


誠「イイコトっていうのは…」


そこまで言ったところで俺の言葉は、リディのげんこつによりうめき声に変わった。リディのげんこつ毎回毎回痛いんだよな…。


ベル「そもそも何で男の子ってイイコトしたくなるんですか…?」


誠「なんでって…しないと生きていけないから?」


剣聖「なら勝手にやってればいいじゃん…。」


誠「相手がいないから困ってるんだよ…。」


グロウル「ならサキュバス作ってあげましょうか?」


誠「いらないよ…他人の聖剣にイイコトとかしてもらいたくないっつーの…。」


アイラ「相手なんかいなくても自分で済ませればいいじゃん…。」


誠「自分で済ませるってどうやるのかな?教えてほしいな~?」


アイラ「…お前本当に最低だな…。」


…確かに今のは酷かった…。まずい…イイコトができなさすぎて理性を失いつつあるみたいだ…。結局俺はどこに行っても非リア充な存在みたいだな…。


誠「ああ…。」


ベル「急にテンション下がりましたね。」


誠「あ~あ…彼女欲しいな…。」


リディ「彼女なんかいても疲れるだけだと思いますよ?」


誠「彼氏いないやつに言われてもな…。」


リディ「はい?」


誠「な、なんでもないです…!」


俺は殺気を感じて立ち上がり後ろに退いた。このままバカにし続けたら、いつ殺されるかわかったもんじゃないぞ…。


誠「じゃ、じゃあ俺はそろそろ帰ろうかな…!」


俺は逃げ去るようにギルドのドアを開けて外に出た。するとドアを出た直後、ギルドに入ろうとしていた茶髪の女の子とぶつかってしまった。


誠「痛てて…ハッ!だ、大丈夫!?」


俺は女の子とぶつかって倒してしまったことを理解し、すぐに立ち上がって無意識に手を伸ばしていた。


女の子「す、すみません…。」


女の子は俺の手を握って立ち上がった。女の子と手を握る体験が無かった俺には、とても貴重かつ驚かざるを得ない状況だった。


誠「あ…えっと…。」


女の子「えへへ…ありがとうございます。…誠さん。」


誠「ど、どういたしまして…。」


胸がドキドキしている…!こんな感覚初めてだ…!この世界に来て女には出会っているが…こんな出会いは初めてだ…ん…?なんだ?何か変だ…。


女の子「…それでは。」


誠「あ、うん…また…ね。」


女の子は顔を赤らめて笑顔でギルドに入っていった。ギルドの外で俺は女の子を見ながら立ち尽くしていた。するとギルドから皆が出てきた。


ベル「誠さん?何やってるんですか?」


誠「……。」


アイラ「おーい…?」


誠「…ハッ!?ご、ごめん…ボーッとしてた…。」


アルス「どうしたんですか?」


誠「…えっ?い、いやなんでもないよ!ごめん…もう帰ろう。」


家に帰ったあとも俺はあの女の子の謎を抱えて、他のことに集中できなかった。でもその謎がなんなのかピンと来てはいなかった。


誠「……。」


剣聖「ちょっと誠…?本当にどうしたの?」


誠「いや…ごめん、なんでもない…。」


セナ「…?とりあえずお腹空いた…。」


誠「え…?」


俺は驚いたように窓の外を見た。するといつの間にか日は暮れて、月が昇っていた。考え事が過ぎたようだ。


誠「もう夜か…。」


アイラ「ギルド行こうぜー。」


誠「ああ、わかった…。」


俺はモヤモヤを抱えたままギルドに向かった。ギルドに入ると、大勢の人で賑わっていた。話の内容からすると、どうやら凄い新人が現れたようだった。


リディ「あ、誠さん!聞いてください!凄い新人が現れたんです!」


誠「凄い新人…?」


俺は人の波を掻き分けて中心に向かった。するとそこにはあの謎の女の子が立っていた。その女の子は俺を見つけると走りより、


女の子「また会いましたね、誠さん。」


誠「…っ!?」


これだ、この子から感じた違和感は。この子は知るはずもない俺の名前を知ってる…なぜだ?ギルドの外から聞こえたのか?いや、この大勢の声もギルドの扉を開ける前は聞こえなかったし…


女の子「あの…誠さん?」


誠「えっ!?な、なに…?」


女の子「私をパーティに入れてくれませんか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ