苦戦と新必殺技
俺達は強者の塔というダンジョンを前に、心の準備をしていた。なにせ復活の葉なんてアイテムが置いてあるくらいだ、相当強い敵がいるに違いない。
誠「…そろそろ入るか。」
アイラ「え!?ま、待って!深呼吸させて!」
誠「さっき散々やってただろ…ほら行くぞ。」
アイラ「うう…わかったよ…行くよ…。」
アイラを説得したあと、俺は強者の塔の扉を開けようとした。が扉に手をかけたところで俺は思い出したように振り返った。
誠「やっぱりアルスの支援魔法で防御力上げてから行こう…。」
剣聖「ビビってるの?」
誠「そ、そんなんじゃない!これは…えっと…保険だ!保険!」
セナ「かっこわるい…。」
誠「だからビビってるわけじゃないから!!」
俺は向けられた冷たい視線に言い訳を飛ばしたあと、アルスに支援魔法をかけるように促した。本当に、決してビビってるわけじゃない…んですよ…?
アルス「じゃあいきますよー!」
誠「あ、ああ頼む…。」
アルス「では…ハッ!」
アルスが俺達に手をかざすと、オレンジの光が全員を包んだ。防御力を上げたことを確認したあと、俺達はいよいよ強者の塔に入った。
中には一匹の狼が眠っていた。そして扉が閉まると同時に目を覚まし、遠吠えをすると雷を纏った。
ベル「早速強そうですね…!」
剣聖「そうね…!」
誠「とりあえず様子を…」
様子を見ながら剣を抜こうとした瞬間、俺は狼の突進を喰らい壁に激突していた。その突進の速さは俺並みに速かった。
誠「ゲホッ!ゴホッ!」
アルス「大丈夫ですか!?」
誠「防御力アップかけといて良かったよ…よっ。」
俺は立ち上がって狼を見つめた。狼は突進する気満々で俺を睨んでいる。どうやら俺以外に興味がないらしい。そのくせベル達の攻撃は華麗に避けている。なんなんだこいつ…。
ベル「速すぎて攻撃が当たらないですね…。」
剣聖「これじゃ体力消耗するだけね…。」
どうやら皆攻撃を避けられ過ぎて気力も体力も削られてしまったようだ。その気持ちは俺にもわかる…例えるならばゲームで経験値いっぱいくれるモンスターと戦闘するときのような感じだ…。
誠「はあ…。」
剣聖「…なんかもう、攻撃する気も起きないや…。」
アイラ「だな…。」
誠「お前は元々攻撃してないだろ。」
アイラ「うっせ。」
誠「…で、どうするよ…もう一時間くらいたったんじゃないか…?」
アルス「支援魔法も切れちゃいましたね…。」
ベル「ダンジョンだから無視もできないですしね…。」
セナ「先に進めない…。」
俺は困ってしまい深いため息をついた。攻撃は当たらないし、俺並みに速いし、どう対処すればいいんだか…。
誠「はあ…こうなったら新必殺技でも使うかな…。」
ベル「いつの間に新しいの作ったんですか…?」
誠「今考えた。」
セナ「適当…。」
誠「…てことでいくぞー!新必殺技、埋葬!!」
俺は狼に転移魔法を使って狼を地の底に転移させた。すると狼は窒息死したのか上の階に向かう扉が開いた。
剣聖「ええ…?」
アイラ「こんなんでいいのか…?」
誠「…俺も成功するとは思わなかった…。」
セナ「チートレベル…。」
ベル「ですね…。」
誠「とりあえず次行くか…。」
次の階には顔が二つあるワニがいたが、俺の新必殺技の餌食となった。その次も、その次の階も俺の新必殺技は猛威を振るった。
誠「つまんねー…。」
ベル「次で最後みたいですよ…。」
アルス「流石は誠さん!速いですね!」
誠「速すぎるよ…。」
俺はため息をつきながら最後の扉を開けた。すると一つ目のロボットとグロウルが待っていた。グロウルは驚いた顔をしていた。
グロウル「流石というか…速いですね。」
誠「まあな…。」
グロウル「でもこのロボットちゃんは自信作なんです!簡単に負けたりしませんよ!」
剣聖「ロボットちゃんって…。」
誠「…ま、一瞬で終わらせてやるよ!」
俺は埋葬を使ってロボットちゃんとやらを壁に埋めた。するとバキバキと音をあげながらロボットちゃんは粉々に散った。
アイラ「これは酷いな…。」
グロウル「またこういうズルして…。」
誠「…確かにこれはズルだな…認めるよ…。」




