誤魔化しと変態魔王
アルス「入れてくださいよ…!」
誠「駄目だって言ってるだろ…!」
俺は今、パーティに入れてあげた魔法少女アルスちゃんと玄関で争っている。家で作戦会議なんてしていないとバレたら、きっと驚愕するに違いないからだ。まして魔王と一緒なんてもっとまずい。
アルス「…どいてくださいっ!!」
誠「うわっ!?」
アルスは魔法少女のくせに意外と力が強く、俺は玄関脇に弾き飛ばされてしまった。直ぐにアルスを止めに行ったが少し遅かった。アルスはリビングのドアを開けてしまっていた。
アルス「…何ですかこれは…?」
誠「え、えーっと…。」
アルス「何でお昼寝…?」
お昼寝のことか…良かった…まだグロウルのことは気づいてないみたいだ…。今アルスは俺の方を見ている。なら今の内にグロウルを転移魔法でどっかに移動させよう…。
アルス「…何でお昼寝なんか…はっ!?まさかそういうプレ…」
誠「違う違うっ!えーっと…これは…あれだ!英気を養ってるんだよ!」
アルス「英気…ですか?」
誠「そうそう!疲れがたまったらいけないだろ?」
アルス「…なるほど。」
良かった…信じてくれたみたいだ…。俺は額の汗を拭いながら、一息ついた。案外単純な子みたいだな…助かったよ本当に…。そんなことを考えていると、
アルス「では私も英気を養ってきますね!」
誠「…は?」
戸惑う俺を無視してアルスは布団の空いたスペースに入り、ゆっくりと目を閉じて寝息をたてはじめた。
誠「お、おい!…まじかよ。」
俺はため息をついてこれからどうしようか考えた。また英気でも養うか?うーん…でも目覚めちゃったし…。あ、とりあえずグロウルに事情を説明しないとな。そして俺はグロウルの近くに転移魔法を使った。そこはギルドだった。
グロウル「あ、誠さん!急に転移魔法使うなんて酷いじゃないですか!」
誠「ごめんごめん…色々あってさ…。」
グロウル「もう…使うなら高さを合わせてくださいよ…おかげで背中打っちゃったじゃないですか…。」
俺はギルドの天井を見上げた。すると一部に人形の穴が開いている。…かなり高いところから落ちたみたいだな…。
誠「ご、ごめん…。」
グロウル「全くもう…何があったんですか?」
誠「いや…まあ家に帰ってから説明するよ…。」
俺とグロウルは家に帰り、リビングのドアを静かに開けた。まだ皆寝ているようだった。俺とグロウルはアルスを前に来て、アルスのことについて話した。
グロウル「…つまり突然ここに入ってきたんですか?」
誠「まあそんな感じだ。」
グロウル「なるほど…。」
誠「これからは一緒に行動できなくなるかもな…。」
グロウル「魔王と一緒ってバレたらまずいですもんね…。」
そんな話をしていると寝ていると思っていたアルスが勢いよく起き上がってきた。どうやら今の話を聞かれていたらしい。
アルス「魔王と一緒ってどういうことですか!?」
誠「起きてたのかよ!?」
アルス「そんなことはいいんです!魔王と一緒にいることを説明してください!」
誠「え、えーっと…。」
なんて言い訳をすればいいんだ…!?アルスの疑問を晴らしつつ、グロウルと一緒にいられるような回答…!?えっと…うーんと…、
誠「…あ、あれだ!俺は強すぎるあまり魔王も従えてしまったのさ!」
グロウル「ええっ!?」
誠「ほ、ほら魔王!ワンって鳴いてみろ!」
グロウル「え…わ、ワンワン…!」
アルス「おお…!流石ですね!」
誠「だ、だろ!」
アルス「どんなに酷い命令でも聞くんですかっ?」
誠「あ、当たり前だ!」
アルス「じゃあ脱げって言ったら脱ぐんですねっ?」
おいおい…まじか…!こんなこと命令したら後で何されるかわかったもんじゃないぞ…!し、しかしアルスの期待の目を裏切るのも…!
誠「ま、魔王!ほら…ぬ、脱げ!」
グロウル「ええっ!?」
アルス「ワクワク…!」
グロウル「え、ええ…?」
グロウルは若干戸惑ったあと、顔を赤らめて上着を脱ぎ始めた。そしてゆっくりと下も脱ぎ、下着だけの状態になった。ああ…この後俺は殺されるんだろうし…しっかり目に焼き付けておくとしよう…。
グロウル「…こ、これ以上は…。」
アルス「凄い!本当に脱ぎました!」
誠「あ…そ、そうだね…。」
グロウル「うう…。」
誠「えっと…ほ、ほら魔王!ちょっとこっちに来い!」
俺はそう言いながらグロウルをリビングの外に連れ出した。無論謝るためだ。このまま謝らずにいれば殺される、いや謝っても殺されるか…。
誠「ご、ごめん…!」
グロウル「…別にいいですよ…こうするしかなかったんですし…それに…。」
誠「それに…?はっ!?」
グロウルの顔はさっきよりも赤くなっていた。羞恥というよりは興奮しているような感じだった。…まさかこの魔王…
誠「(変態だ…!!)」




