溢れるジルと二つ名
俺達は今グロウルの城でモンスターを創る手伝いをしている。ちなみにモンスターの素材は俺のジルだ。全く…どれだけ金をむしれば気が済むんだこの魔王は…。
グロウル「では創りますよ!」
誠「俺のジルがどんなモンスターになるのか楽しみだなー。」
ベル「まあまあ…。」
そんなことを話していると地面に魔方陣が浮かび上がり、中心からジルの塊のようなモンスターが現れた。そいつは出てくるなり尻からジルを撒き散らした。
セナ「ジルがいっぱい…。」
グロウル「誠さん!誠さんの言った通りですよ!」
グロウルは俺の方を見てモンスターの尻から溢れ出てくるジルを掬ったり、頭から被ったりした。…あえてもう一度言おう、あのジルはモンスターの排泄物だ。
誠「お、おう…。良かったな…。」
ベル「誠さん…あのジルってモンスターのウ…じゃなくて排泄物なんですよね…?」
誠「そうだけど…お前今ウン…」
ベル「言ってません!」
誠「いやでも…」
ベル「言ってませんから!!」
誠「…そうかい…。」
俺は詰問するのをやめてグロウルの方を向いた。するとグロウルと一緒に剣聖がいることに気づいた。剣聖もジルを頭から被っていた。
剣聖「ねえ誠!こいつ家に持って帰ろう!」
誠「持って帰るわけないだろ汚いな…。」
グロウル「…え?ジルが汚いわけないじゃないですか?」
誠「…言っておくけどそれはウンコなんだぞ?」
グロウル「ウンコって…少しは言い方を変えましょうよ…。」
誠「でもベルはさっき…」
ベル「言ってません!!」
グロウルの手伝いを終えたあと俺は腹を鳴らしてしまった。どうやらそろそろ昼らしい。そういうわけで俺達は、グロウルを連れてギルドに向かった。
リディ「あ、誠さん方にグロウルさん。」
誠「よっ。」
俺達は空いていた席に座ってそれぞれ注文をした。そして全ての注文を運び終わったリディは、俺達の席に座って話に加わった。
リディ「さっきまで何してたんですか?」
誠「グロウルの手伝いしてたんだ。」
グロウル「ジルを出すモンスターを創ったんですよ!」
誠「尻からだけどな。」
リディ「…え?それって排泄物ってことですか…?」
セナ「そういうこと…。」
グロウル「凄いですよね!」
リディ「ええ…?まあ…そうかも知れないですね…?」
誠「引いてんじゃねーか。」
俺達は飯を食べながら話をした。雑談やら明日の予定とかだ。ちなみに明日はダンジョンに行くことになった。
誠「ふう…ごちそうさま。」
セナ「美味しかった…。」
リディ「…そういえば今日の夜もご飯食べに来ますか?」
誠「ん…?来ると思うけど…それがどうした?」
リディ「実は今日イベントがあるんです!楽しみにしていてくださいね!」
アイラ「イベント…?」
リディ「夜になってから説明しますよ、それでは!」
俺達は疑問を抱えながらギルドを出た。そしてグロウルは城に、俺達は家に帰った。そして夜までゆっくりと過ごして時間を潰し、ギルドに向かった。その道中、
誠「…イベントって何なんだろうな?」
剣聖「私は知ってるよ。」
ベル「どんなのなんですか?」
剣聖「んー…力試しって感じかな?」
アイラ「力試し…?」
剣聖「そう。一番強い人には二つ名がもらえるの。」
セナ「二つ名…。」
誠「かっこいいな。」
剣聖「実は私の剣聖も二つ名なの!」
剣聖は突然俺達の前に仁王立ちしてそう言った。その顔は自信に満ち溢れ、これでもかというくらいのドヤ顔だった。
誠「…そうか。」
剣聖「…なんでそんなに興味なさそうなのよ…。」
誠「お、着いた着いた。」
剣聖「ねえ!なんで無視するの!?」
俺は黙り混みながらギルドのドアを開けた。すると中にはガチムチの野郎共がうじゃうじゃと溢れていた。…なんか凄い暑いんだけど…。
リディ「あ、来ましたね!」
誠「えっと…二つ名を決めるんだっけ?」
リディ「剣聖さんに聞いたんですね、なら話は早いです!」
そう言うとリディは俺にペンと紙を渡してきた。エントリー表のようだ。俺は紙に自分の名前を書いたあと、振り返って皆にエントリーするか聞いた。
ベル「私はいいです…。」
アイラ「同じく…。」
セナ「私やりたい…。」
誠「ギルドでロボット装着する気か?」
セナ「うん…。」
誠「壊すからやめとけ。」
セナ「そんな…。」
俺は全員を確認したあと紙とペンをリディに返した。そして暫くすると掲示板に対戦表が貼られた。それを見てみるとどうやら俺はトップバッターらしい。
誠「…緊張するな…。」
リディ「それでは!一回戦を始めます!選手は前に出てください!」
誠「行くか…!」
俺は一歩前に出て回りを見渡した。するとガチムチの男が一人、ニヤけながら前に出ていた。俺は一度深呼吸をして真ん中に歩を進めた。
男「手加減はしてやるから安心しな!」
誠「そりゃどうも…。」
リディ「…それでは…始め!」
俺は合図と共に男に思いっきり突進を喰らわせた。吹き飛ばされた男はよろめきながらも立ち上がってきた。
誠「…まだ戦うのかよ…。」
俺は気が引けたが転移魔法を使って、男の顔だけを俺の方に持ってきた。そして目の前の男の顔を、男がギブアップするまで殴り続けた。
リディ「し、勝負あり…。」
男「…うぐ…痛いよお…。」
リディ「えっと…そ、それでは二回戦…ってあれ…?」
気づくと観客は逃げ去り、ベル達だけになってしまっていた。…そんなに酷かったか…いやまあ自覚はあるけど…。
リディ「で、では優勝者の誠さんには後からギルドで二つ名を決めますので…。」
誠「わかった…。」
遅れました。すみません。




