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俺だけが神速の異世界で  作者: apple_pie
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解放と転移魔法

俺達はリディとグロウルと一緒に、ギルドで飯を食いながら雑談をしていた。するとリディが何かを思い出したように紙を取ってきた。


誠「なんだその紙?」


リディ「新聞ですよ。」


そう言いながらリディは俺に新聞を渡してきた。そこには「裸の英雄、ゲルグ城を崩落。」と書かれ、俺のモザイクつき写真が載っていた。続きを読むとどうやらゲルグは国民に捕まったらしく、国王を辞めさせられたようだった。


リディ「この写真…誠さんですよね?」


誠「…そうだね…。」


グロウル「裸の英雄…ですか。」


誠「音読するなよ恥ずかしいな…。」


俺は新聞をグシャグシャと丸く潰してゴミ箱に投げ入れた。そしてそのまま立ち上がり、会計をして三人と家に帰った。


誠「ふう…帰ってきたな。」


ベル「ちょっと疲れましたね…。」


アイラ「だな…てことで風呂入ってくる。」


セナ「私も…。」


ベル「私も行ってきますね。」


誠「わかった。」


俺はコートと剣を外してソファーに座った。そして一息ついたあと、特に理由もなく部屋に向かった。するとすぐ横に怨念のようなものを感じ、俺は背筋が凍る感覚を覚えた。


誠「わ…忘れてた…。」


剣聖「お前…どういうことか説明しろ…!」


誠「い、いや…普通の性格に戻ったんだな…良かったな…あはは…。」


剣聖「誤魔化せると思ってるの…?とりあえずこの縄外して…!」


誠「わ、わかったって…。」


俺は剣聖の縄を解き説得を試みた。が剣聖は俺の言ってることを聞く素振りも見せず、俺に襲いかかってきた。


剣聖「お前よくも…!」


誠「お、落ち着けって…って臭っ!?」


剣聖が近づいてくる度に俺の鼻には痛い悪臭が漂ってきた。…放置したせいで風呂に入れなかったのか…!


誠「と、とりあえず風呂に入ってこい!!」


剣聖「私が臭いって言いたいのか…お前!?」


誠「お前以外にいないから!!」


俺は剣聖を払いのけたあと、部屋から出てリビングに入った。剣聖は俺についてくると思いきや、風呂場に真っ直ぐ向かっていった。…やっぱり女って臭い気にするんだな…。


誠「ふう…とりあえず一安心だな…。」


暫く待っていると風呂から上がってきた三人と剣聖がリビングに入ってきた。剣聖も風呂に入ったからか機嫌はそれなりに良くなっていた。


誠「じゃあ俺も風呂入ってくるかな。」


俺はリビングを出て風呂場に入った。そして頭と体を洗い風呂から上がると、三人と剣聖がリビングから出てくるのが見えた。皆眠そうにしていた。それを見届けていると、剣聖が俺の部屋に入っていくのが見えた。


誠「待てお前。」


剣聖「な、なんでしょう…?」


誠「そこは俺の部屋だが?」


剣聖「そ、そうでしたか…。」


誠「お前はソファーで寝ろ。」


剣聖「で、でも!お前だって私を縛り上げてたんだぞ!?」


誠「う…確かに…。」


剣聖「形勢逆転ね、てことで私はお前の部屋で寝るから。」


誠「…わかった…。」


あの野郎…いつか絶対に追い出してやる…。くそ…ソファーで寝ると体痛くなるんだよな…。まあ…仕方ないか…。

俺はリビングに戻りソファーに横になった。寝付きにくい感じはしたが、なんとか寝ることができた。


誠「…ん…うわっ!?」


俺はソファーの上で寝返りをしたせいで、地面に落っこちてしまった。…これだからソファーで寝たくなかったんだ…。


誠「…はあ。目覚めちまったよ…。」


俺は立ち上がって外を見た。まだ日は昇っていなかった。時間的は四時過ぎだな…まだ皆も寝てるみたいだし…。


誠「暇だな…。」


俺はボーッとしながら呟くようにそう言った。こんな時間に暇を潰すようなところといえば…ギルドか…?


誠「…行ってみるか。」


俺はテーブルに書き置きをしてギルドに向かった。ギルドの扉はあっさりと開き、中にはリディとグロウルがいた。すこし酒の匂いが漂っていた。


リディ「あれ?誠さんじゃないですか?」


グロウル「こんな時間に…珍しいですね?」


誠「俺が朝起きれない人みたいに言うんじゃない。」


俺はそう言いながらリディとグロウルが座っていた席に座り話に加わった。どうやらダイエットの話をしていたらしい。男の前でよくそんな話ができるもんだな…。


リディ「最近運動する機会がないんですよ…。」


グロウル「私もです…移動はついつい転移魔法を使ってしまって…。」


誠「…確かに転移魔法って凄いよな。」


グロウル「歩かないって良いですよね。」


誠「俺も転移魔法とか使ってみたいな…。」


リディ「速さカンストも転移魔法も変わらないような気がするんですけど…。」


誠「言っとくけど速く走るのって疲れるんだからな。」


リディ「…ならグロウルさんに転移魔法教えてもらえばいいじゃないですか。」


誠「そんなんで覚えられるのか?」


グロウル「まあ転移魔法は下位魔法なので簡単ですよ。」


誠「へー…。」


俺はグロウルの言う通りにした。まずスキルから転移魔法を覚えて、グロウルのレクチャーにより俺は数十分で行きたいところに行けるようになった。


誠「凄いなこれ!」


グロウル「喜んでいただけてよかったです。」


そう言うとグロウルは帰る支度をした。どうやらそろそろ帰らないといけないらしい。そしてグロウルは俺に教えてくれた転移魔法でどこかへ行ってしまった。


リディ「…あ。」


誠「ん?どうした?」


リディ「これ…グロウルさんの…。」


リディの手には財布が握られていた。どうやらグロウルがうっかり忘れていってしまったようだった。


リディ「届けないと…。」


誠「空の財布なんて届けなくてもいいんじゃないか?」


リディ「…確かにほぼ空ですけど…。」


誠「(冗談のつもりだったのに…!!)」


リディ「どうやって届けましょう…?」


誠「…俺に任せなさい。」


俺はリディから財布を受け取り、早速グロウルをイメージして転移魔法を使った。すると魔方陣が浮かびあがった。


誠「じゃあ行ってくる。」


俺は転移魔法の魔方陣の中に入った。するとそこにはシャワーを浴びるグロウルが立っていた。どうやら入浴中にお邪魔してしまったらしい。


誠「え…えっと財布です…。」


グロウル「ど、どうも…。」


誠「そ、それでは…。」

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