ズルと年齢
誠「…おじさん待たせ過ぎたか…。」
ベル「みたいですね…。」
誠「まあ海楽しかったからいいけど。」
アイラ「反省しろよ…。」
俺は開き直ってクルールの馬車乗り場で、ダンジョンに向かう馬車の切符を買ってきた。そして馬車に乗りゆっくりとダンジョンに向かった。
誠「…帰ったら謝らないとな…。」
セナ「面倒…。」
誠「だな…。」
アイラ「お前らな…。」
誠「そう言うアイラだって面倒だろ?」
アイラ「…まあ…。」
ベル「反省しましょう…?」
そんな話をしていると馬車は止まり、目的地のダンジョンにたどり着いた。馬車から降りると、雲を突き抜けるほど高い搭が佇んでいた。その入り口には「高層のダンジョン」と書かれていた。…そのまんまだな…。
誠「高すぎじゃないか…?」
ベル「時間かかりそうですね…。」
アイラ「…私高い所苦手なんだけど…。」
誠「…とりあえず入るか…。」
セナ「待って…。」
誠「ん…どうした?」
振り返るとセナはロボットを装着していた。そして空中に浮遊して頷いてきた。なるほど…ショートカットして行こうってわけか。
誠「アイラ…目閉じとけよ。」
アイラ「えっ?ちょっ!」
俺はアイラを、セナはベルを抱き抱えた。そしてセナは空中に飛んでいって、ダンジョンの最上階を銃で撃ち抜いた。
誠「よし…行くぞ!」
アイラ「マジかよ…!!」
俺はアイラを抱えながらダンジョンの壁を走り登り、セナがぶち抜いた壁から最上階セナ達と一緒に入った。ダンジョンの中には驚いた表情のグロウルと、誰が落としたかもわからぬドロップアイテムが落ちていた。多分セナの銃撃に当たったんだろう…可哀想に。
グロウル「え、えっと…登ってきたんですか…?」
誠「そういうこと。」
グロウル「…できれば普通に攻略してほしいのですが…。」
セナ「ルール違反…?」
グロウル「…そういうわけでは無いんですけど…。」
セナ「ならセーフ…。」
グロウル「うーん…。」
グロウルは暫く考え込むように顔を落とした。そんなに極悪非道だったかな…何か悪いことしたな…。
グロウル「…まあ今回は許しますけど…次からはダメですよ…?」
誠「あ、はい…なんか…すみません。」
秒速でダンジョン攻略をした俺達は、グロウルの転移魔法でギルドに帰った。ギルドに入るといつものようにリディが待っていた。
リディ「あ、誠さん随分早いですね。」
誠「ま、まあな。」
グロウル「誠さんったら…ズルしたんですよ?どう思います?」
リディ「ズルなんてできるんですか…?」
誠「な、なんのことやら…。」
俺はスルーしてとりあえず近くの席に座った。それに続くように、三人とリディとグロウルが席に座った。
ベル「そういえばグロウルさん?」
グロウル「なんでしょう?」
ベル「ギルドにいて平気なんですか?一応魔王なんですよね?」
グロウル「まあ皆さん優しいですからね。」
アイラ「そんなもんなのか?」
グロウル「そんなもんですよ。賢者様も優しいお方でしたし。」
誠「…え?」
グロウル「はい…?」
誠「賢者様ってダンジョン創ったって人か…?」
グロウル「そうですけど…?」
誠「お前今何歳だ…?」
俺がその問いをした途端、俺はリディにげんこつを喰らった。…まあ確かに聞こうかどうか迷うような内容だったけどな…。
誠「痛てて…。」
アイラ「女性にそういう質問はよくないぞ?」
セナ「セクハラ…。」
誠「どうせ年下のくせに生意気言いやがって…もっと敬いたまえ全く…。…てかお前ら何歳なんだ?」
ベル「私は十四歳ですよ。」
誠「はい、年下~。セナは?」
セナ「十二…。」
誠「はい、年下~。アイラは?」
アイラ「十九だけど。」
誠「はい、年し…ええっ!?」
アイラ「なんだよ…。」
誠「十九…!?」
アイラ「そうだぞ。」
誠「俺より二歳も年上だなんて…!?」
あり得ない…!こんなちょっと発育途中の中学生みたいな胸の女が俺よりも二歳年上…!?こんなことあってはならない…!
アイラ「…どこ見てんだ…お前?」
誠「…はあ。」
リディ「テンション落ちすぎじゃないですか…?」
誠「…そういえばリディは何歳なんだ?」
リディ「私ですか?…二十八ですけど…。」
誠「へ、へー…。」
二十八…!?…この間リディの家にお邪魔したけど…いわゆる彼ピッピはいなかった。つまり独身…?二十八で…?
リディ「失礼なこと考えてますね…?」
誠「っ!?け、決してそんなことは…!」




