海とタコ
ベル「着きましたね!」
グロウル「綺麗ですね…!」
誠「俺は二回目だけどな…。」
セナ「私も…。」
アイラ「何で雰囲気落とすんだよ…。」
話をしながら俺達はまずパラソルの下で準備をした。俺達というより、女組が準備をしていた。海の風物詩、日焼け止めだ。
ベル「リディさん…背中塗ってくれませんか?」
リディ「もちろん、いいですよ。」
誠「俺がやろうか?」
リディ「…誠さんは遊んできてくださいよ…。」
誠「ちっ…セナ行こうぜ…。」
セナ「わかった…。」
俺とセナはゆっくりと砂浜を歩いて海に入った。そして腰まで水が来たところで、俺とセナは海に浮かんだ。
誠「あーあ…除け者だな…。」
セナ「誠が悪い…。」
誠「うーん…あっ!じゃあセナのやってやろうか?」
セナ「私は自分でやったから平気…。」
誠「よくできたな…あ、スク水だもんな…。」
こんなにもつまらない展開でいいのか…!?今俺は五人の女と海に来てるんだぞ!何かこうウハウハな感じの展開は無いのか!?
誠「あーあ…。」
憂鬱な気分に浸っていると、複数人が走りよって来る音が聞こえてきた。海に浮かびながら音の方を見ると、皆がこっちに来ているようだった。
ベル「誠さーん!」
セナ「皆準備できたみたい…。」
誠「やっとか…。」
俺は地面に足をつけて皆の方を振り返った。…よく見るとアイラがいなかった。どうやらパラソルに籠っているようだった。
誠「…アイラは?」
グロウル「私は行かないの一点張りで…。」
誠「どうせ泳げないだけだろ…。」
アイラ「泳げるっつーの!!」
誠「…地獄耳だな…。」
そんなことを言っていると、突然辺りが影に覆われ暗くなった。さっきまで晴れていたのにと思い、背後の空を見ると巨大なタコが太陽を遮っていた。
誠「タコ…っ!?」
俺達は巨大なタコ足にあっという間に巻き付かれ、締め上げられてしまった。俺は皆を心配するように辺りを見回した。
誠「皆大丈夫か!?」
ベル「だ、大丈夫ですけど…。」
リディ「うう…ヌメヌメしてて気持ち悪い…。」
グロウル「何で私まで…。」
セナ「いやー…。」
皆平気そうだな…それにしても、こんなところにまでモンスターを配置するなんて…魔王様も性格悪いな…。
誠「……。」
グロウル「に、睨まないでくださいよ…。」
グロウルを睨んでいると巨大タコの口から、黒い墨が滝のように流れてきた。口の近くにいた俺は滝行の如く墨を喰らってしまった。
誠「……。」
グロウル「す、すみません…。本当にすみません…。」
誠「はあ…。…アイラー!助けてくれー!」
俺はパラソルにいるアイラに大きな声で助けを求めた。がアイラはグッスリと寝てしまったらしく、俺の声は届かなかった。
誠「おいおい…マジかよ…。」
セナ「ピンチ…。」
誠「そうだ!セナのロボットがあるじゃないか!」
セナ「錆びるから嫌…。」
誠「気にしてる場合か!?…もういい!」
俺は嫌々に最終手段を使うことにした。俺は自分の歯にギアブレイクを発動させ、巨大タコの足に思いっきり噛みついた。すると巨大タコは皆に巻き付けていた足を緩め、どこかへ行ってしまった。
誠「うえっ…ぺっぺっ!」
ベル「海には入らない方がいいですね…。」
グロウル「うう…すみません…。」
リディ「浜辺でも遊べないことはないですし、気にしなくて大丈夫ですよ。」
誠「ま、浜辺で遊んだ方がアイラも楽しめるしいいかもな。」
アイラ「だから泳げるって言ってるだろ!!」
それから俺達は浜辺でビーチバレーにスイカ割り、日光浴に埋葬と色んなことをして遊んだ。日が暮れるまでがあっという間だった。こんなに充実した海遊びは何年ぶりだろう…。やべ、涙が…。
リディ「もうこんな時間ですか…今日は楽しかったですね!」
ベル「はい!またいつか遊びたいです!」
誠「だな。」
グロウル「…では私はそろそろ仕事に戻りますね。」
リディ「あ、私も戻らないと…それでは誠さん、ダンジョン攻略頑張ってくださいね!」
誠「あ…。」
アイラ「…忘れてたのか…?」
誠「…行くか…。」
俺達はリディ、グロウルと解散してクルールの馬車乗り場に向かった。しかしそこに俺達が乗ってきた馬車の姿は無かった。
誠「あ、あれ…?」
セナ「おじさんがいない…。」
俺は馬車乗り場の受け付けにいた男の人に、俺達の馬車がどこにいるか聞いてみた。すると男の人はこう答えた。
男の人「ああ、その馬車ならさっき帰っちゃったよ。」
誠「…やっぱりか…。」




