兵士と牢屋
誠「…全然寝れなかった…。」
剣聖「寝不足は体に悪いぞっ?」
誠「…このやろう…。」
俺は眠い目を擦りながら剣聖の口にガムテープを張り直してリビングに向かった。リビングにつくと既に三人がソファーに座って待っていた。
ベル「あ、おはようございます。」
誠「うん…。おはよう…。」
アイラ「寝れなかったのか?」
誠「寝れると思うか…?」
セナ「確かに…。」
誠「だろ…?」
俺はため息混じりに背伸びをしたあと、コートを羽織り腰に剣をかけた。そして頬を手で叩いたあと三人の方に振り返った。
誠「…よし!行くか!」
ベル「剣聖さんはどうするんですか?」
誠「ええ…?連れてくの…?」
アイラ「放置でいいだろ…。」
セナ「同感…。」
ベル「皆さん冷たいですね…。」
俺達は剣聖を部屋に残したまま外に出た。そして一通り準備をしたあと俺達は馬車乗り場に来ていた。あまり時間が経っていないのに馬車乗り場はかなり復旧していた。金を払いに行くとこの間のおじさんが笑顔で待っていた。
おじさん「おっ!またダンジョン行くのか?」
誠「あ、はい。」
おじさん「頑張ってこいよ!」
誠「はは…頑張ってきます。」
俺はおじさんに気圧されたあと馬車に乗って次のダンジョンに向かっていた。ゆっくりと動く馬車に乗っていると、俺はいつの間にか寝てしまっていた。そして運転手のおじさんの声で俺は目覚めた。
運転手のおじさん「ここで休憩挟むぞー。」
誠「…んー…?」
馬車から身を乗り出して前を見るとそこには大きな城が立っていた。その城門には「クルール」と書かれていた。
誠「なっ!?クルール!?」
アイラ「どうしたんだよ…大きな声だして…。」
誠「クルールって確か…この間リディをナンパしてたやつの国じゃなかったか!?」
ベル「それがどうかしたんですか?」
誠「どうも何も俺達はあいつに顔覚えられてるかも知れないんだぞ!?」
そんな話をしていると馬車は止まり、城門にいた兵士から怪しいところがないかの確認を受けていた。そして馬車を確認したあと乗客の確認をすると言い出し、馬車の窓から俺達を覗き込んできた。
誠「…ど、どうも…。」
兵士「ん…?お前確か…。」
誠「き、気のせいですよ!」
俺は怪しむ兵士を誤魔化すために精一杯のスマイルをかました。が兵士は俺達の正体に気づいたのか、無理矢理に俺達を馬車から降ろした。
誠「痛てて…。」
アイラ「何だよ急に…。」
兵士「お前達、この間ゲルグ様の邪魔をしたとかいう奴等だろ。」
ベル「だったらなんなんですか…?」
兵士「ゲルグ様がお怒りだそうだ。」
誠「短気すぎるだろ…。」
兵士「とにかくついてこい。」
俺達は兵士に連れられて城の中に入った。そして装備していた剣やら防具やらを外され、牢屋に閉じ込められてしまった。
ベル「参りましたね…。」
アイラ「まさか装備とられるとはな…。」
セナ「寒い…。」
誠「俺よりマシだろ…。」
男の俺だけはほとんどの装備をとられてしまい、残されたのはパンツ一枚だけだった。…俺の装備とったやつ絶対に許さん…俺と同じ目にあわせてやる…。
ベル「どうします…?」
誠「待つしかないな…。」
セナ「何を…?」
誠「兵士が開けに来るのをだよ。」
アイラ「来るのか…?」
誠「絶対来るよ、回りを見てみろ。」
回りにはいくつか牢屋があるが、どの牢屋にも人はいなく異様に静かだった。ゲルグは確か死刑大好き野郎だったはず、なのに牢屋に人がいないということは…。捕まえたあとすぐに処刑するってことだろう。
誠「ま、来るまでゆっくりしてようぜ。」
ベル「落ち着いてますね…。」
アイラ「パンツ一丁なのにな。」
誠「それを言うな。」
暫く待っていると四人組の兵士が牢屋の前に現れた。そして鍵を開き牢屋を開けた瞬間、俺は四人の兵士の首の後ろを手刀で叩いた。すると兵士は気を失い倒れ、泡を吹いていた。
誠「…ふう、さてと…。」
俺は兵士の一人を担いで牢屋に投げ入れた。そのまま二人、三人と投げ入れ続けた。そして最後の一人を担ごうとしたとき、俺はその兵士の顔を見て担ぐのをやめた。
ベル「…?知り合いですか?」
誠「いや、こいつは…。」
セナ「…?」
誠「俺の装備をとったやつだ…。」
アイラ「…そんなことかよ…。」
俺はおもむろに兵士の着ていた服を剥ぎ、俺と同じパンツ一丁にしてあげた。が俺の怒りは収まらなかったので、パンツも剥ぎ取ってから牢屋に投げ入れてあげた。うん、なんか…凄いスッキリした。




