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朝8時
僕はその封筒から少し離れた位置で動くことが出来ないでいた。その真っ白な封筒は、その小ささからは信じられないほどの存在感を発していた。ただの白い封筒、しかし、それが気づかないうちに一瞬にして現れたとなればそれはもはやただの脆弱な紙切れではない。ふう、と息を吐き自分の加熱しすぎた脳を落ち着かせる。落ち着け、きっとあの手紙は初めからあったのだ。朝寝ぼけていたせいでその存在に気づかなかっただけに違いない。その考えが現実的でありこの摩訶不思議状況を納得するのに最も適している。そうか、そうだ、そうに違いない。僕は自らが超えなければならないハードルを下げ、勢いをつけその封筒に手を伸ばした。