キミにありがとう。
一年で、一番大切な日。
その日を、自分が祝えなくてどうするの?
この世界に、この時代に選ばれ、生まれてきたキミ。
泣いていないで、顔をあげて?
大丈夫。
生まれてきた意味は、此処にある。
キミの中にあるから。
だから、焦らなくてもいいんだよ。
これからも、「キミはキミ」であり、他の誰でもないのだから。
「命」はめぐる。
「とき」はめぐる。
「記憶」はめぐる。
「キミ」はめぐる。
キミが生まれてきた本当の意味を、いつか知る、そのときまで。
この人生を、めぐるの。
大丈夫、怖がらないで。
さぁ、目を開けて。
時間は戻らないのだから。
目を閉じている間にも、時間は過ぎていく。
平等に、時間は過ぎていくもの。
怖いこともある。
辛いこともある。
目をそらしたいこと、たくさんあるね。
でも、目を閉じていたその瞬間に……。
とっても「良いこと」が、あるかもしれないんだよ?
そう思うと、ワクワクしない?
今日は、キミのルーツをたどる大切な日。
キミがこの世界に足を踏み入れて、何年目かな。
年の数だけ、ろうそくの火を灯しましょう?
それは、あなたがこれまでに歩んできた記憶。
煌々と燃えるその火は、命の灯火。
「生きている証」
ふっと……消し去る煙は、また来年。
一本、灯火を増やすための約束を交わすため。
ひとつの、「おまじない」。
どうかまた、ひとつ年を重ねられますように。
どうかまた、ひとつ生まれてきた意味に近づけますように。
キミが、キミを好きでいられますように。
キミが、キミを受け入れられますように。
キミが、キミを大切に想ってくれるものと、共にいられますように。
どうか……。
どうか……。
キミに、幸多からんことを……。
ハッピーバースディ……。
生まれてきてくれて、ありがとう。
最初に贈る言葉。
キミへの祝福。
キミにありがとう。
こんばんは、はじめまして、お誕生日おめでとうございます。9月1日。
私の誕生日であります。
私の祖父の誕生日でもあります。
ときは巡る。
私が生まれてきたときには、まだ祖父は生きていました。
ですがもう、この世には居ません。
私が小学校三年生になる春に、亡くなりました。
弟は、小学校一年生になる春……そのため、祖父はランドセル姿の弟を知りません。
祖父が買ってくれたランドセルで、弟は小学校生活を送りました。
私は、祖父がくれた自動鉛筆削りをつかって、今も絵を描いています。
祖父の身体はもう、ないけれども……。
私の母も、もう亡くなっているけれども……。
泣いてばかりは、いられません。
昼間には、この世に生まれてきたことを悔やんで、涙しました。
でも今は……この、物語の主人公に導かれるように、この世界、この時代、この家族のもとに生まれてきた意味を知りたいと思っています。
いつも、支えてくださっている方々、すべてに感謝します。
それから、今日同じくして誕生日の方。
いえ。
毎日が、誰かの誕生日です。
だからこそ、日々は尊いのかもしれません。
無駄な日なんて、一日たりともありません。
毎日が、特別なのです。
どうか、すべての方に幸多からんことを……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また、次の作品でもお会いできれば幸いです。




