第19章 APOCALYPSE
最後のトゥルムを破壊するため、冥府へ乗り込んだグレイたち。
これまでの情報で得た、最後のトゥルムの座標へ向かう。
だが、そこはかつて救世軍の別動隊100人近くが全滅した場所――そんなところへたった3人で向かう緊張が漂っていた。
4つ目の『水のトゥルム』に到着した一行。
万一のためか、そこにはクラウドの防衛網が敷かれていた。
死闘の末、ネルシスの犠牲と引き換えに、最後のトゥルムを破壊した。
一方、クロムたちはボスタフを守るため、大軍と戦っていた。
雑兵にクロムたちを任せ、ナザレは単身、氷漬けとなったチルドを直接破壊しようとしていた。
それを阻んだのは、ブルートだった。
全ての敵を倒し、満身創痍でブルートの元へ向かう、クロムとスノウ、そしてボスタフ。
そこには、青い粒子と化していくブルートと、凍ったチルドの破壊を試みるナザレの姿があった。
即死魔法の使い手ナザレ……当たったら終わりという、絶望的な戦いが始まった。
戦いの中で、クロムを庇い命を落とすボスタフ。
それによってチルドの魔法が解け、装置が無防備になってしまう。
絶体絶命の、その時。
グレイとレインが、冥府から戻ってきた。
4対1でナザレに立ち向かう。
苦闘の果てに、4人の力を合わせた技【浄火】で、ナザレを撃退する。
侵攻してきた敵は全て倒した。
侵攻手段であるトゥルムは全て破壊した。
世界は守られたのだ。
生き残った救世主は、たった4人だった。
グレイ、レイン、クロム、スノウ。
他の仲間は、全員死んでしまった。
正規軍も、民間人も、たくさんの犠牲があった。
その果てに掴み取ったのだ。
これ以上の襲撃を受ける恐怖のない、安息の世界を。
グレイたちは、街の夜明けを眺め、平和の訪れを噛み締めていた。
だが、グレイの心にはしこりが残った。
まだ、クラウンが残っている。
彼を止めなければ、戦いを止めたことにならないのではないか。
しかし、この世界を守る救世主としての戦いは、もう終わっている。
もう、これ以上の犠牲は出さない。
最後の決意を胸に、グレイはレッジの元を訪ねた。
ポルタを開けてほしい。グレイの頼みに、レッジは警告する。
装置の動力を考えると、使えるのはあと1回……これは、冥界への片道切符だと。
それでも構わない。グレイの真意を悟り、レッジは装置を起動する。
別れは、あえて告げなかった。
グレイは単身、最後の戦いへ臨んだ――。
総力戦と最終決戦を分けたいというのと、総力戦を2章丸々使いたいというこだわりでこのような構成を予定してましたが、19章は18章に統合してもよかったかもしれません。
1章を小説の1巻分と想定していたので、こうして19章の内容を文章化してみると、1巻相当の密度は出せなさそうだなあ、と思ったり。
ともあれ、次回20章が最終章となります。
物語の終焉、最終決戦を描きます。