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第Ⅹ章 PURGATORIO

 ラバルムはサンボダイ同様、無我夢中で預言を絵に描き起こした。

 しかし、我に返るとその預言を誰にも見せず、破り捨ててしまう。

 何を描いたのか訊ねても、ラバルムは頑なに口をつぐんだ。


 一方、ゼクスは今まで言い出せずにいた事実を告げる。

 それは、同族(クラウド)に対する裏切りだった。

 ゼクスが告白したのは、クラウドが侵攻に用いる門『ポルタ』にまつわる真実だった。


 ゼクスは、クラウドが侵攻に使う赤い門『ポルタ』の仕組みを告げる。

 クラウドが棲まう異界には、【トゥルム】というポルタを発生させる塔が4つある。

 トゥルム1つにつきポルタが1つ開かれ、全て破壊すれば侵攻を阻止できる。


 救世軍の司令部では、ゼクスの罠を疑いつつもトゥルム破壊作戦を起案。

 グレイたちが所属する第2中隊D小隊を、実行部隊に任命した。

 また、トゥルムの在処を1つだけ知っているというゼクスも同行し、グレイら作戦部隊はかつて使用した擬似ポルタ装置で異界――冥府(タルタロス)へ向かった。



 ポルタが閉じる間際、ラバルムが「気をつけて」と、1人を見つめて言った。



 ゼクスも異界の全てを知っているわけではない。今後の作戦行動を考え、実行部隊は地図作成班とトゥルム破壊班に分かれた。

 グレイたちトゥルム破壊班は、ゼクスの案内で『土のトゥルム』へ向かう。


 道中、ゼクスはグレイに話す。

 数ヶ月前の【首都防衛戦】に、ゼクスもいたという。だが抜け出して、弟を探し出し、島へ逃れた。

 クラウドは人類の敵だ。弟と生きるためには、人目を逃れる他なかった。


 ――家族。グロウは、おもむろに語り始めた。この世界に来る前、自分にも家族がいた。夫、子ども。

 幸せとは言い難かった。家事がうまくできず、子育てもままならなかった。自分はだめな妻で、母だったと。

 救世主になって、守る強さを知った。どんな姿でも、家族は絆で結ばれている。たとえクラウドでも、弟は姉と一緒に過ごせて幸せなはずだ。グロウはゼクスを励ました。



到着したトゥルムには、クラウドの軍勢が待ち構えていた。

 クラウドは無数にいる。侵攻の要であるトゥルムには、常に防衛のため相応のクラウドが配置されている。事前のゼクスの申告通りだった。

 グレイたちは奇襲を仕掛け、ポルタの発生装置がある中枢へ向かう。


 中枢の発生装置は、マスター級のクラウドが守っていた。

 グレイたち総出でも苦戦を強いられ、徐々に劣勢に陥っていく。

 すると、グロウが我が身を犠牲にトゥルムを崩落させ、ポルタ装置もろともクラウドを下敷きにする。



 崩壊したトゥルムの瓦礫の前で、チルドが泣き叫ぶ。

 グレイは空を見上げた。

 青い粒子が、グロウの死を明白に告げていた。

 グロウ推しの方、本当に申し訳ございません。

 グロウは10章終盤で退場する予定でした。 

 かなり前から決めていたことです。


 全20章の本作折り返しにして、ここから主要人物が死亡する可能性があるという切迫感を表現する役割も兼ねていました。

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