第Ⅸ章 幸福
9章は、みんなに青春を謳歌してもらう話で、物語はあまり進まない想定でした。
今まで戦いばかりだったので、たまには重たいこと考えず、年相応に好きなことやってほしいなと、ある日ふと思って作りました。
このように、あまり中身は決めてなくて、始めと終わりだけ考えていた章もあります。
作中人物や皆さんに、たくさん遊んで、いっぱい楽しんでもらうための話です。
ここから、辛い展開を描くことになる予定だったので……。
ゼクスと共に帰還したグレイたち。
クラウドであるゼクスの処遇について議論し、他の救世主へは正直に打ち明けることになった。
救世軍全員に、ゼクスがクラウドであること、彼女が預言にある少女であり重要人物であることを伝える。
だが反対派が、ゼクスを拒絶する。彼女が受け入れてもらえるよう、グレイは一案を投じた。
みんなで文化祭をしよう。
学院としての側面も併せ持つ救世軍で、初の青春をゼクスと共に送ることで、打ち解けるのではないか。
提案に対して温度差は様々だったが、最終的には実行が決まった。
試行錯誤の末、各隊で出し物を企画し、市民にも開放されたスコラ学院祭が始まる。
文化祭の準備と成功を経て、ゼクスは救世軍に受け入れられた。
そして、ラバルムもまた、学院の一員という実感をようやく得られた。
仲間を得た充足を噛み締めるラバルムに、異変が起こる。おもむろに備品の画材を取り、絵を描き始めた。
ラバルムが【預言者】として覚醒したのだ。