【Book】(※第一部まとめ)
どうも、abyss 零です。年末年始の更新を怠ってしまい、申し訳ありません。すっかり休んでしまいました。
また、第六章と共に第一部が終了し、それに伴って第一部のまとめも急遽作ることに決めてしまった関係で、2話続けてのまとめになっております。ストーリーの更新は次話からとなります。
第Ⅱ部へ進むにあたって、最低限必要な事柄を列挙したものが、今回の第一部まとめです。
【これまでの物語】
『第一章』……少年は電車に乗っていた。幼馴染みの少女と再会するが、咄嗟に名前を思い出すことが出来なかった。そこへ突如、異変が生じた。倒壊する線路。破砕される電車。繋がれた手。2人は気を失い、上空に展開された魔法陣へ吸い込まれていった。
気がつくと、そこは異世界だった。世界は『クラウズ』という異形からの侵略を受けており、各国が連合を組んで戦っていた。迷い込んだ少年とその幼馴染みは、新たな魂に新たな名――グレイとレインと名付けられ、彼らを召喚したという【救世主】――イーヴァスは既に討たれており、2人は彼の代わりに救世主となった。そこで知った諸悪の根源の名は、『クラウン』だった。
グレイたちが異世界へ来てしばらく経つと、各地から同じく別の世界から突如現れたという人々の情報が続々と集まってきた。そうした人々が集い、戦える者はすべからく救世主となり、総勢785名の救世主部隊が誕生した。
戦いの日々が続くある日、グレイら第2中隊D小隊α分隊は、世界連合最高意思決定機関ケントルムを擁する重要施設パラティウムの職員を名乗る男から、とある町の調査を依頼される。αD2一行は現地へ赴くが、それはメシアという人物の罠だった。メシアは人の命を奪い、名を与えられたクラウズが人の形に進化した存在『クラウド』だった。敗北を喫したグレイは、更なる力を得る修行のため、仲間たちと別れた。
『第二章』……救世主部隊はケントルムの指揮下から独立した『救世軍』として新生し、グレイはその変革の後に修行から帰還した。
救世主たちは、各地で禍々しき門――『ポルタ』から来襲し、町を侵略するクラウドを倒していく。被害を受けた町の慰問や救世軍の拠点――『スコラ学院』で授業の日々を送るグレイらは、ある任務で人為的にポルタを開く装置を入手する。
これをクラウズへ攻勢に打って出る好機と捉えた救世軍は、ポルタを開いて向こう側を調査する作戦を決行。グレイたちは、その先発隊に加わることとなった。
『第三章』……ポルタの向こう側は、赤い空と白い砂漠の荒涼とした世界だった。到着して早々にクラウド・クラウズの軍勢と交戦し、救世軍は青い粒子となり消えゆく初の犠牲者を出しながらも窮地を脱する。
時を同じくして、スコラ学院を擁するハオス王国ウルプス市街は、1度に4つのポルタが四方を囲むように開かれ、侵攻されていた。グレイらαD2の隊長ウィルが懸命にポルタ発生装置を守り抜き、グレイたちは辛くも帰還に成功する。
敵軍の魔手がケントルムへ伸びていることを察知したグレイたちは、各所のクラウドの撃退や市民の避難と共に世界連合の首脳――聖王を守るため別行動をとる。
数々の激戦が繰り広げられる中、グレイはスコラ学院にてメシアと再戦する。修行によって増した実力を発揮するグレイだったが、メシアがイーヴァスを殺めたことで得た真の救世主の力の一端を見せ、グレイは苦戦を強いられる。その時、何者かの助けを借りて形勢を逆転させ、九死に一生を得る。
パラティウムへ辿り着いたクロム、そして戦闘不能となったグレイは、それぞれ聖王と接触しメシアを連れ帰るクラウンと邂逅する。【首都防衛戦】と呼ばれる戦いの後、破壊された街や巻き込まれた人々を前に、ある者は新たな力を求め、ある者は大切な者を守る決意を固めた。
『第四章』……未来へ行けば、クラウドとの戦いに勝利する方法が分かる――グレイたちはクロムの修得した空間魔法の奥義を用いて、時間転移を試みる。しかし時間転移は中途半端で、グレイたちは離ればなれになってしまう。
各地から、スコラ学院があるはずのウルプスへ集うグレイたち。道中で未来に関する様々な情報を見聞きする中、謎の仮面の人物【主】という存在が絶対的な実権を握っていること、未来のクロムがカイという名で手配犯となっていること、そして救世軍が存在しないことが判明していく。
最後に合流したレインとクロムであったが、クロムは共に時間を越えたクロムではなく、未来の指名手配犯カイとして知られるクロムだった。【主】の策略によってクロムは追われ、時間転移した現代のクロムは囚われてしまったという。クロムを助けるため、グレイたちは【主】と戦うことを決意する。
カイの処刑当日、グレイたちは【主】と対峙する。現代のクロムは救出したが、そこへ仮面の女【ヒュエトス】が現れ、総出でかかっても全く歯が立たない。【ヒュエトス】は本来【主】が持つ圧倒的な力を、妊娠している胎児を介して使っていた。
救世軍が全員死に、その仇を討つために【主】の命を狙っていた。未来のクロムは告げると、グレイたちを元の時間へ戻るようにと逃がした。
本当に大切な事柄は、魂に標として残る――グレイや未来のクロムの望みも虚しく、元の時間へ戻ったグレイたちは、歴史の修正の法則通り、未来での出来事を忘れてしまっていた。
『第五章』……メゾン合州国にクラウドが潜伏しているとの情報を入手した救世軍は、市民の安全確保とクラウドの掃討、そして手引きをした裏切り者の特定を任務とした。グレイたちは回復薬キュアドリンクの名産地クランケ州へ赴き、それぞれの目的遂行のため分散して作戦を開始する。
それぞれが容疑者や協力者と接触し、クラウドの手がかりを調査する中、グレイたちは【救世主】と同じルーツをもつ【預言者】と、双方が誕生したきっかけという【世紀末戦争】の存在を知る。
クラウドの奇襲を受けながらも合流し、グレイらをはじめ各地に散った救世主が続々とクラウドと交戦する。窮地の仲間を救い、クラウドの脅威は去った。
未来の世界のことを覚えていないグレイであったが、しかし定められた時の流れを確かに歪めた実感を噛み締めた。
『第六章』……グレイたちは歴史学の授業で、【預言者】や【世紀末戦争】に通ずるという小人族――ペティの存在を知る。彼らと接触し、遥か過去の史実を解き明かすことでクラウドの優位に立てると考え、グレイはちょうど与えられた休暇の行き先をペティの森に決めた。
グレイらαD2は飛空艇の試作機シキシマに搭乗してペティの森へ向かうが、墜落してしまう。ペティとの出会いやクァールとの戦いを経て、グレイはペティ族の長老ニッチェに話を聞く。すると、知りたいことを教えてほしければ『あそび』の心を取り戻せと条件を出される。
遠い昔、幼い頃にレインと過ごした記憶を呼び起こし、己をより深く知ることで魂の新たな力を覚醒させたグレイは、ペティの里を襲撃するクァールの頭領ホワイトデストロイヤーを倒す。
生きるために食らう罪なき命を殺めたことに心を痛めるグレイだったが、ニッチェは『あそび』の心で自らを保つよう助言すると共に、近い内に【預言者】は救世軍にとって重大な預言をすると告げる。
この先なにがあろうと、大切なものを――レインを守り抜く。決意を胸に、グレイは仲間たちと共にスコラ学院へ帰還した……。
【主要人物】
☆グレイ……主人公。恐れに負けぬ強さを持つ少年。17歳の日本人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。熱や炎を操る2本の秘剣ヤーグの力を魂に宿す。マントの色は朱。
☆レイン……グレイの幼馴染み。慈愛に満ちた少女。17歳の日本人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。魔法を放つ魔弓ニアの力を魂に宿し、精霊の召喚魔法も使う。マントの色は桃。
☆クロム……グレイの親友。怒りっぽいが根は優しい少年。16歳の日本人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。弾丸や魔力を撃ち出す変型双銃モノの力を魂に宿し、空間魔法も使う。マントの色は蒼。
☆スノウ……言葉数の少ない、恥ずかしがりな少女。14歳の日本人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。敵の生命力を吸い取る鞭チェーンウィップの力を魂に宿し、回復魔法も使う。マントの色は青緑。
☆ヘイル……熱血漢の青年。28歳のスペイン人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。3段階の長さに可変する槍トリプルスピアの力を魂に宿し、風魔法スウォープ・ストームも使う。マントの色は黄緑。
☆スリート……冷静沈着な青年。23歳のドイツ人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。先端から最大4つの気弾を放つ1組のリコイルトンファーの力を魂に宿し、雷魔法クイック・ブリッツも使う。マントの色は水。
☆ブルート……ツンデレな少女。19歳の台湾人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。変身魔法タロン・タスクの力を魂に宿し、格闘装具ファイトウェポンも使う。マントの色は黃。
☆ネルシス……キザな青年。26歳のイタリア人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。水魔法クラッシュ・スプラッシュの力を魂に宿し、投擲可能な盾シールドブーメランも使う。マントの色は深緑。
☆チルド……快活な少女。12歳のロシア人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。氷魔法プリーズ・フリーズの力を魂に宿し、魔力を増強させる魔杖マジックロッドも使う。マントの色は橙。
☆グロウ……いつも気だるげな女性。31歳のアメリカ人。救世軍実動部隊第2中隊D小隊α分隊所属。大地魔法クライド・グラウンドの力を魂に宿し、大鎚ブレイクハンマーも使う。マントの色は紫。
☆ボスタフ……チルドのマジックロッドに付属していたライオンのぬいぐるみ。独りでに歩き、言葉も話す。チルドにくっついていき、減らず口を叩くが、時たま忘れられる。
☆ウィル・ミン・ヴォルンテス……26歳。救世軍第2中隊D小隊α分隊指揮隊長。スコラ学院剣術学講師も兼任。グレイたちの厳しくも頼もしい理解者。
☆レッジ・ノウ・スケンティア……26歳。救世軍支援部隊研究科陣頭指揮官。スコラ学院無系統魔法学講師も兼任。ウィルの友人で、グレイたちにも戦闘以外の面で心強い味方となる。
☆エモ・シオン・アフェクタス……25歳。ケントルム特殊工作部隊隠密調査員。スコラ学院歴史学非常勤講師も兼任。親しいウィルやレッジさえも詳細な素性を知らない、謎の多い女性。
☆ヒルト……救世軍実動部隊第1中隊C小隊β分隊所属。不器用ゆえに周囲と壁を作りがちな少年で、グレイとは剣術学などで共に学ぶ。シースの死に心を痛めている。
☆シース……救世軍実動部隊第1中隊C小隊β分隊所属。飄々としていて、いつもヒルトをからかったり、見透かしたようなことを言うミステリアスな少年。【首都防衛戦】で奮闘し、死亡した。
☆アロー……救世軍実動部隊第1中隊C小隊β分隊所属。人当たりの良い人柄で、交友関係の広い華やかな少女。レインと弓術学などで共に学び、ヒルトのことを気にしている。
☆ガード……救世軍実動部隊第1中隊C小隊β分隊所属。短気な性格だが、その奥に思いやりを秘める少年。シースの死で暴走するヒルトを止めるなど、時に戦局に聡い面を覗かせる。
☆バレット……救世軍実動部隊第1中隊C小隊β分隊所属。一人称が『ボク』で軽快な雰囲気を纏う少女。クロムと銃術学などで共に学び、なにかにつけて彼につきまとう。
☆聖王……ケントルムの最高責任者。クラウドとの戦いを続ける連合軍において最も強い意思決定権を持つ重要人物で、グレイやレインらを救世主として認めた。【首都防衛戦】の渦中でクラウンと少なからぬ言葉を交わした。
☆イーヴァス……【救世主】。メシアとの戦いで命を落とし、自らの代わりとしてグレイたちを異世界へ召喚して、救世主にした張本人。その遺体はケントルムが厳重に保管している。
★メシア……グレイの宿敵。最初にクラウズからクラウドへ進化を遂げた少年で、【救世主】イーヴァスを殺害し魂を喰らった。油が滲み出し炎上する大剣の他、イーヴァスが使っていた能力を使えるが、まだ不完全であり、その実力は未知数。
★クラウン……ポルタの向こうからクラウズやクラウドを送り込む、グレイたちが続ける戦争の元凶。その素性の一切が謎に包まれている。
【重要用語】
○救世軍……グレイら救世主が所属する部隊。総勢785名いたが、現在は502名。総員を連隊とし、連隊は実動部隊と支援部隊に大別される。子どもや老人、妊婦などイーヴァスに召喚された中で戦えない者たちは、パラティウムにて保護されている。現代から召喚された者の総計は1471名といわれている。
◎実動部隊……グレイたちが務める、クラウドと最前線で戦う救世主たち。スコラ学院を拠点に日々の生活や授業に従事し、クラウズ・クラウドが出現すれば撃退する。実動部隊は大隊とされ、階ごとに中隊、クラスごとに小隊、更に10名ずつの分隊や衣食住を共にする班などの構成がある。
◎支援部隊……実動部隊をサポートする救世主たち。戦闘ではなく兵器開発や新魔法の研究、敵の調査や指令塔の役割を果たすなどしている。作戦科、通信科、衛生科、研究科、開発科、広報科、物資科、運搬科、隠密科の9つの部署があり、個別に活動している。
○【救世主】……世界に危機が訪れた時、救済をもたらす者。歴史の中で幾人もが選ばれ、その度に災厄を退けてきた。武器や魔法を駆使し、圧倒的な力を持つ。現在はイーヴァスに召喚されたグレイら救世軍が代わりに救世主となっているが、彼らは厳密には真の救世主ではない。
○【預言者】……未来を視て、起こる運命を識る者。歴史の中で幾人もが継承し、重大な事柄を預言して民に正しい道を示してきた。
○【世紀末戦争】……太古の時代に起きたと言い伝えられている大戦。この時、【救世主】と【預言者】が最初に現れたとされている。
○ハオス王国……グレイたちが異世界へ召喚された時、降り立った地域。世界有数の先進国で、救世軍の拠点スコラ学院を擁するウルプス市街など、経済や市民の活気に満ちている。
◎スコラ学院……グレイら救世軍が生活する学び舎。スタジアムやラビリンスなど様々な施設があり、任務の際は拠点としても機能する救世軍の中枢。【首都防衛戦】で攻撃を受け、激しく損壊した。
◎正規軍……グレイら救世軍の創設以前から、領土や人命を守ってきたハオス王国の軍隊。
◎防衛隊……正規軍とは別に、主に治安維持や犯罪の取り締まりを行う組織。ウルプス市街をはじめ、王国内の各都市・エリアごとに管轄を持つ。
○ケントルム……世界最高意思決定機関。クラウズの侵攻に伴い結成された世界連合軍の総意をまとめ、全体の方針を定める。
◎パラティウム……ケントルムを中心とした、世界連合軍の中枢。議員や軍人、諜報員など様々な人物を擁する巨大な建造物。
○メゾン合州国……ハオス王国の北に位置する隣国。いくつもの州からなる連邦国家で、各地方の一定の独立自治が認められている。
○カーサ帝国……ハオス王国の東に位置する隣国。王国に匹敵する規模の大国で、先代の救世主イーヴァスが生まれた国でもある。
○ドムス公国……ハオス王国の南に位置する隣国。海に囲まれた島国で、周囲には有人無人を問わず無数の離島が点在している。
○スピティ共和国……ハオス王国の西に位置する隣国。広大な平原があり、観光客の収益により経済が潤っている。
○コルムバ……現在グレイたち救世軍が用いる通信魔法。魔力が凝縮された結晶を動力源としており、【首都防衛戦】以後、支援部隊通信科の救世主が自らを犠牲にして通信魔法の役割を果たしている。
○ヴァント……救世軍や正規軍などから広く利用される門。通った者の身体に防御魔法を付与し、生存率を高める。スコラ学院の正門などにも設置されており、出撃の際は半ば必須となる。
○エクゥスアヴィス……馬と鳥を掛け合わせたような生物。救世軍では支援部隊運搬科が飼育し、作戦行動の移動手段に採用されることも多々ある。1人に1頭貸与され、頼もしい愛騎となる。
●クラウズ……世界を襲撃する異形の者たち。人と動物を掛け合わせたような姿形をしており、武器を扱う程度の知能がある。タンクやシップ、エアーなどそれぞれ陸海空に現れる大型の個体も存在する。
●クラウド……人の命を奪い、名前を与えられたクラウズが進化した存在。言葉によるコミュニケーションや人間と同等の知能、自らの魂に宿る力に加えて殺めた人間の力も使う。殺害した人物の強さによって、ノービス、ルーキー、エージェント、エキスパート、マスター、レジェンドの級に分かれる。
●ポルタ……クラウズやクラウドが侵攻する際に開く禍々しい門。向こう側には、赤い空と砂漠が広がる荒涼とした地が繋がっている。従来は1つのみ確認されていたが、【首都防衛戦】では同時に4つ開いた。
第Ⅱ部【Magos】
次回から第Ⅶ章、ならびに第Ⅱ部が本格的に始まります。
乞うご期待。