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Extra1 フィルナ=ネリーシャ

露骨な何とか回、というやつです。

燈静と零司の試験当日。その夜。


すでに時計は十一時を回り、十二時になろうとしてる真夜中。


そんな中、燈静の監督官であったフィルナ=ネリーシャは、特に目的も無く街中をぶらぶらしていた。


「~~~♪」


鼻唄を奏でつつ、制服姿で街の中を歩くその姿はご機嫌そのままに見えた。が、急に。


「……っはぁー…」


妙に深く、疲れたような溜息を吐いた。


「あーもー、マジでつっかれたよー…」


首をコキコキ鳴らしつつ、愚痴を吐くように呟く。


そしてそのまま、左手で眼鏡を押し上げつつ、右手で自分の制服の上着のポケットを探る。


「えぇっと、どれだっけかねーっと。これだっ」


目当てのものらしき物の感覚を感じ、右手を引き上げると…。


「……そっちかい!?」


フィルナが思い描いていたものとは違い、携帯がその手に握られていた。


「んー……まぁ、こっちでもいいんだが……めんどいんだよなぁ、これ」


まぁ、しゃーねぇ。と諦め、フィルナは携帯を開き、メモ帳を呼び出した。


「えとえと?確か」


一瞬だけ悩むように眉をひそめ、その後すぐに携帯のメモ帳に文字を羅列し始めた。


英文字、数字、漢数字、漢字。その四つの文字を見た感じではランダムに羅列していく。


そしてそのまま三十秒ほど打ち続け、突如「よし」という声と共に手を止めた。


「んー、ざっと百文字程度打ったが……果たしてこれで合ってたっけかな?」


んー。としばし携帯とにらめっこをし、打った文字列が間違っていないかを綿密に確認する。


「……間違ってたらもう一回やればいいだけか」


うん、と頷き、その開いていたメモ帳を保存せずに閉じた。


すると、ティロリン♪と軽快な音楽が携帯から鳴った。


その音にフィルナは少し笑むと、その携帯を耳に当てた。その瞬間。


『ヤッホー♪繋がってるー?』


とっても陽気な声が聞こえてきた。


その声にフィルナは―――


「死ねよマジで」


と、感情の篭っていない声でそう答えた。


その声は最早冷たさを越して冷徹とも言える程であり、その言葉を受けた相手は『スイマセンマジでごめんなさい』と姿が見えれば土下座でもしてそうな声で謝ってきた。


その反応にフィルナは小さく溜息をつき「冗談ですよ」と言った。


『……お前の冗談って割と洒落にならんのだけど』


「そもそも一言目からうざってぇテンションで話すのやめろって話なんですがね」


『あ、無理』


「………」


『あ、スイマセン努力するので携帯折ろうとするのやめてください、ミシミシって音がこっちまで聞こえてくるんですけども!?』


「……マジで切りますよ?」


『へーへー。真面目にやるよ』


ったく、遊び心がねぇなー。とその後に言われた言葉は無視し、フィルナは言葉を切り出した。


「んじゃま、報告させてもらいまーす」


『あいよ』


「まず一つ。監視対象の風峯燈静なんですけどー」


『ちゃんと見えたか?』


一瞬、ためらうように言葉を切り。


「信じられないラインナップですけどね。『神具』に『黄泉返り』……それだけでも異常なのに『壁越え』で『殻割れ』って何すかマジで。異常異端のオンパレードじゃないですか」


『最後の一つに関しちゃマジで知らんけども……まぁ、見えたかちゃんと』


「そりゃそうっすよ。分身体(コピー)とはいえ、そこはオリジナルに近い感じですからね」


『それもそうか。んで、見た感想は?』


「そっすねー。まぁ、すぐに死ぬんじゃないっすかね?これから巻き込まれるであろう出来事で速攻死にそうなんですけども」


『あ、やっぱりそう思う?』


そらな。と心の中で呟き、続ける。


「殻が割れたといっても、まだまだひよっこですし……狼がぼんやり見えたけど、発展途上ともいえるレベルには達してませんし」


『そこは追々成長していくと思うんだが……まぁ、そりゃそうなるわなぁ』


「つか、成長する前に死ぬと思う」


『……だから『黄泉返り』つけたんだが』


「即行浪費するでしょ」


……かもなぁ。と認めるような声が携帯から聞こえ、それでいいのかとツッコミを入れたくなるフィルナである。


「つーか、それと何個か」


『ん?どした?』


「……今回の試験、明らかに人間じゃないのが何人か。それと力も何個か感じましたし」


『え、マジ?それも言ってくれね?』


「まぁ、人物だけ言うと……大神零司と十鳳カルラっすね」


『ほう?前者には何を感じた?』


確かと首を傾げ。


「『神の力』と『異能』、それも後付けの『異能』っすね」


『『神の力』…?どんな属性かはわかったか?』


「いや、微量過ぎてわからなかったですね。複数感じましたし」


『複数だぁ?人間が持ってる時点でおかしいのに、複数……ふむ』


シリアスな声に、フィルナも少し黙って次の言葉を待つ。


十秒ほどした後、そうだな。と相手が続けた。


『そいつも監視対象にするわ』


「へーい。んじゃ次行っても?」


『おう、頼むわ』


「十鳳カルラは……そうですね。『酉』ですね」


『『酉』?……あぁ、あれか。なるほどな』


「まぁ、多分それかと」


『なるほどな。それで『十鳳』と』


それは知らんけども。と思いつつ、フィルナは今さっき気になった事を訊いた。


「ところで」


『ん?』


「一人で二人を監視しろと?」


『いいや?応援を今さっき送ったぞ?』


その言葉に、え?と言うと。


バサァッ。


翼をはばたかす様な音をフィルナの耳は捉えた。


そして、目の前に真夜中の闇には似合わない純白の羽が見えた。


その羽を掴み取り、ゆっくりと後ろを向く。


そこには―――






「……あぁなるほど、お前か。そりゃ適任だ」


これから後、しばらく後が空くでしょうが……出来たら気長に待ってください

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