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蚤の市

お待たせしました。

午後十三時十分


side:龍崎


「ふ~食ったな」


主に俺が。


「……意外と大食いなんですね……」


「最近燃費が悪くてな。

 あれくらい食わなきゃ、やってけないんだ。」


結局大量にあった料理のほとんどは俺の腹に収まった。

周りから「あの人全部食べ切れるのか?」「絶対に残しそうだ」みたいな同情的な視線――「あの人大食いタレントなんじゃね?」的な珍しいものを見る視線もあったな――を浴びながらすべてを食いきった俺とココロは、蚤の市に来ていた。


この蚤の市は市長であるほむらさんが主催で、これから月に一度開くらしく、第一回目の今日は見渡す限り露店と人で溢れている。

人が多くてはぐれそうだ……


「何か欲しい物でもあるのか?」


「特に欲しい物はないですが、珍しい物があったら買う予定です」


「つまり掘り出し物目当てか。俺も少しぐらいなら金に余裕があるし探してみるか。いわくのありそうなものを」


「はぁ~、変なものを収集するのもいい加減にしたほうがいいですよ?」


げんなりとした口調でココロが返答した。


「失敬な。

 所持したやつが必ず死ぬナイフとか、読むと廃人になる魔道書ぐらいしか集めてないぞ?」


あと連なる時空の門を開けられる鍵とかな。


「それでも充分です! そのうち胡散臭い黒魔術の本とか見ながら、邪神召喚を始めそうですごく怖くてしょうがないんですが!」


「安心しろ、“胡散臭い”じゃなくて“正真正銘”の黒魔術の本が手に入るまではしないから」


黒魔術ではないが、正真正銘にして最古の魔道書なら所持しているがな。


「これっぽっちも安心できないです……(いつか神月くんの部屋から怪しげな黒い波動が出てきそうです……)」


何やらココロが失礼なことを考えているらしいが気にしない方向で行くか。気にしてたらきりがないほど、こいつは俺に対して失礼な事を考えている。

原因は十割、俺にあるがな。


「いいですか、神月君? 私は貴方(あなた)が心配だから言ってるんです。言われているうちが幸せという言葉があってですね――」


ココロが歩きながら説教を始めた。


「あ~、はいはい。

 説教はまた今度な」


ほうっておいたらずっとしているだろうから止めておいた。

右から左に受け流すにしても、耳に入ってくるのは鬱陶しい。

人でごった返している場所で説教を耳にしながら露店巡りなどしたくもない。


「う~、最近私に対する神月君の扱いがぞんざいな気がするです」


「気のせいだ」


「いやでも『気のせいだ』いやだかr『気のせいだろ』でm『気のせいだよな?』……気のせいですね」


押し切ってやったぜ。

確かに最近扱いがぞんざいになってるかもしれんが、そこは扱いに慣れたと言ってもらいたいものだ。


「それにしても、開催初回にしても人が多いな」


前を見ても右を見ても左を見ても人、人、人。

自由に歩けないほどではないとはいえ、人波に酔いそうだ。


「迷子になりそうなら手を握ってあげてもいいですよ?」


年下が母親づらしてんじゃねぇよ。


「どっちかって言うとお前のほうが迷子になりそうだけどな」


むっと来たから憎まれ口で返しておいた。


「……それは私の身長が小さいことに対して、ですか?」


……触れてはいけないところに触れちまったか?

やばい……本気で怒ってるって。


「……早く行くです、神月くん」


そう言って歩き方を早足に切り替えるココロ。


「ちょ、俺が悪かったから先に行くな。本気ではぐれッ」


最後の言葉を言うより早くココロは雑踏に消えてしまった……。


side:龍崎 Fin




side:ココロ


神月くんの言葉には確かにむっと来たですが、せいぜい少し困らせようとしただけです。


しかし、思ったより人が多かったです。


そろそろいいかな?


と、振り向いた時には神月君は雑踏の中でした……


まぁいいです。そのうち会えるでしょうから今は買い物に集中するです。


そう思い私は開き直り蚤の市を散策してるです。珍しいと思う物はまだ見つかってないです。


所詮しょせんは人間の市、私の琴線に触れる物はなく、あるのは私の趣味に反するものばかりです。


人間界は――服は中々ですが――術具の趣味は悪いです。


などと考えながら歩いていたら。


 ドン


「あ、ごめんなさい」


見た目からしてガラの悪そうな男性とぶつかったです。


「てぇな、何ぶつかってきてんだよ! うわ! 腕折れたかも。慰謝料払えよ、慰謝料!」


しかもからまれたです……小物臭がすごいです。


はぁ、神月くんじゃないですが、めんどくさいです。


side:ココロ Fin




side:龍崎


ココロを怒らせたせいではぐれてから、すぐ俺は人の波をかき分けるように走りながらココロを探していた。


もちろん、露店を流し見しながらだ。


今向かっている方向からかなり強い魔力を感じる。

おそらくはココロだろう。


「さすがもとは山奥の村だけあってなかなかいい術具が出てるな……売り手はその価値に気づいてねぇけど」


ココロの趣味にも合わないだろうな。


などと独り言をつぶやきながらも、足を止めることなく走り続ける。


一つ一つ足を止めて見てみたいが、ココロを探さなければならないためそんな暇はない。



ココロを探すこと数分。


此処ここか……」


魔力を感じる場所まで行くと、そこにはココロではなく、普通の人ならまず近寄らいだろう、見るからにうさん臭い露店を開いている店主がいた。


side:龍崎 Fin

お久しぶりです。


約一か月ぶりの投稿となりました。

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