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春になると

作者: 松元 安季

初投稿です

少し短い気もしますが、よかったら感想を下さい

辛口でお願いします

 目の前に立つと自分の姿がくっきりと写る程、銀の噴水はよく磨かれていた。水は弧を描いて、水受けに流れている。時々、噴射のタイミングが変わるのが、見ていて飽きない。

 幼稚園の制服をきた笑い声。それをよそに会話する保護者。私にもあんな頃があった。砂場で幼なじみと遊んだ遠い日が刹那、思い浮かんだ。

 平和を切り取ったような風景だった。世界がもしもこの公園だけならば、この平和は永遠に続くだろう。いや、続くのだろうか。


 昨日は卒業式だった。小学生最後の日を終えた。


 私はこの公園で幼なじみを待っている。良介。家は近いわけではないが、幼稚園の頃から家族ぐるみで仲が良く、何をするにも一緒だった。そんな良介に私はいつしか恋心を抱いていた。ホント、いつからだろう。考えても思い出せない。最初から。これが一番合うような気がする。

でも、一度もそのことを伝えたことはないし、そのような素振りさえ見せたことない。良介といるときは、ただの友達でしかないように振る舞っていた。と言うよりも、意識したことはあまりない。良介といると、自然にその時間を一生懸命楽しむことだけを考えている。ただ、家に帰って一人になると、いつも良介のことしか考えられなくなってしまう。そんな毎日を繰り返していたら、良介との別れが近づいているのに気がつかなかった。

 良介は私とは違う中学校に行ってしまう。春になるともう会えなくなってしまう。だから今日、この公園に良介を呼び出して、今までの想いを全て打ち明けようと決意した。


 背の高い銀の時計をもう一度確認した。約束の時間は午後一時。しかし、今は三時を回っている。


 どうして? どうして来てくれないの?


 約束の三十分も前から待っている。何度もメールを打つ手を止めた。期待と不安でいっぱいだったあの時が、もう遠い過去のように思える。今は不安の方しか残していない。それでも、やっぱりこの場所は離れたくない。

 まさか、約束を忘れているとか。は、ない。昨日も確認したし、良介は約束を一度も忘れたことはなかった。


 家を出るときには、あんなにはじけていた太陽もすっかり傾いている。あの雲は何時間前に私の上にあっただろうか。時刻はもう四時になっていた。幼なじみが来ないことを確信し、私は帰ることに決めた。

 

 サヨナラだね、良介


 公園を出て、私は驚いた。

 来るときには咲いていなかった桜が咲いている。こんなこと、あるんだ。

 そっか、もう春になったんだ。

 悲しみはもう消えているのかもしれない。それよりも大事なものを見つけた気がする。大丈夫、きっと新しいことに出会える。

 私は桜舞う中を、走っていった。

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