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科学で戦う異世界理系JKと、壊れかけの守護者 ~めんどり頼んだら水素爆発しました  作者: 武者小路団丸
第1章 旅立ち

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第9話 旅団長の奇策

 レンの足元から現れた「砂漠の巨顎きょがく」の頭部とうぶ。その巨大きょだいな口が、今にも煉を飲み込もうと迫る。わたしは「シッー」と静かにするように合図あいずを送ったが、煉は恐怖きょうふ硬直こうちょくし、冷や汗を流すばかりだ。わたしたち二人は、一歩でも動けば、あのワームが飛びかかってくることをさとっていた。


その時、視界しかいすみで、リザードマン旅団長りょだんちょうレックスの姿が目に入った。彼は、周りの兵士へいしたちがパニックにおちいり、次々《つぎつぎ》と砂に飲まれていく中で、なぜかやけに余裕よゆうのある顔をしている。無精髭ぶしょうひげを指でつまみ一考いっこうした。その表情ひょうじょうは、まるで何かをたくらんでいるかのようだった。


旅団長は、ゆっくりと背中のたてに手を伸ばし、すっと取りはずした。そして、わたしたちから目を離さず、しかしまよいのない足取りで、いきなり砂漠のゆるやかなさかに向かって走り出した。


わたしは、思わず『アッ』と声を出しそうになったが、何も言えなかった。彼の行動こうどうは、あまりにも唐突とうとつで、理解不能りかいふのうだったからだ。


旅団長レックスは砂に足を取られながらだが坂の頂上ちょうじょうに着くと、その大きな盾を砂の上に置いた。そして、その盾に乗り、砂漠の坂をすべり始めたのだ。まるで海上かいじょうで波に乗るサーフィンみたいに。


「なっ……!?」


煉がおどろきの声を上げた。旅団長は、その巨体きょたいからは想像そうぞうできないほどのスピードで、ズンズンと坂を下っていく。砂塵さじんを巻き上げながら、スピードで風を切り、そのいきおいはどんどん乗ってくる。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


旅団長レックスの動きに反応はんのうしたかのように、彼の真後まうしろから、複数ふくすうのワームが土を盛り上げてもうスピードで追いついてくる。一匹いっぴき? いや、音にられて二匹目がすごいスピードで旅団長レックスに向かって進んでいく。ワームたちは、旅団長レックスが作り出す振動しんどうに引き寄せられ、獲物えものを追いかけるように砂の中を突き進む。


旅団長が坂を下りきり、盾が地面に降り立ったか、降り立ってないかの、ほんの一瞬いっしゅん出来事できごとだった。土埃つちぼこりが舞い上がった瞬間、旅団長レックスが、まるで巨大なバネではじかれたかのように、タイミングをはか脚力きゃくりょく空高そらたかく飛んでいった!


「まさか……!?」


わたしは、その光景こうけいに目をうたがった。土埃がれると、そこにはおどろくべき光景が広がっていた。旅団長レックスが滑り降りた盾に、巨大なワームの一匹が、まるでヒルがからみつくように巻き付いているのだ。ワームはもがき苦しみ、盾を締め付けている。


旅団長レックスは、空中くうちゅう体勢たいせいを立て直し、そのままワームの射程しゃていはるかに離れた場所に落ち、こちらを見てニヤッと笑った。彼は、ワームを盾に絡ませることで、自分への注意ちゅういをそらし、さらにそのワームを一時的いちじてき拘束こうそくするという、とんでもない奇策きさくを仕掛けたのだ。


わたしと煉は、その光景に呆然ぼうぜんとしていた。リザードマン旅団長レックスの命をした行動と、その意図いと理解りかいしたわたしの頭脳ずのうが、この状況じょうきょうをどう利用りようすべきか、高速こうそく回転かいてんし始めた。しかし、のこりのワームが、今度はわたしたちの方へと向きを変えようとしていた。


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