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科学で戦う異世界理系JKと、壊れかけの守護者 ~めんどり頼んだら水素爆発しました  作者: 武者小路団丸
第3章 道

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54話 学習型番人

ブリキの装置がピタリと停止したかと思うと、

 胸のパネルがくるくると高速で回転し――表示が止まった。


 『威嚇』


 直後、胸部装甲がカシャリと開き、

 内部から金属の銃砲がせり出した。


 「――来るっ!」

 シルフィアが反射的に明里を押しのけ、身をひねった。

 閃光。

 魔力弾が空気を裂き、床をえぐる。

 飛び散った破片が頬をかすめた。


「……へぇ、やるじゃない」

シルフィアは手をかざし、風の魔法陣を描こうとした――が、空気は動かない。


「やっぱり無理か……」

シルフィアは小さく息を吐いた。

「でも、魔法だけが攻撃じゃないから」




 

 シルフィアが杖を構え、距離を詰める。

 明里が声を上げようとした時には、もう彼女の足が宙を切っていた。


 ドンッ!


 鋭い蹴りがブリキの胴体を直撃し、鈍い金属音が響く。

 装置の身体がよろめき、机に激突した。

木と金属がぶつかる鈍い音が、奥の書架まで反響した。


 「こいつ、見かけによらず――弱いじゃない」

 シルフィアが軽く笑った。


 その瞬間、パネルが再び動き出す。

 パタパタパタ――表示が切り替わる。


 『学習』


 「……なに、それ」

 彼女が眉をひそめる間もなく、

 ブリキの腕部の関節が音を立てて変形した。

 先ほどより滑らかに、正確に。


 「もう一度――いくわよ!」

 シルフィアが再び蹴りを放つ。

 だが――その脚は、鋭く上がった金属の腕に受け止められた。


 ガギンッ!


 衝撃が空気を裂く。

 シルフィアの足が弾かれ、体勢を崩す。

 装置のパネルが、音もなく切り替わった。


 『余裕』


 「……っ、なにそれ、感じ悪い!」

 シルフィアが舌打ちする。

 だが明里の目は、パネルの文字に釘付けだった。


 「……まるで、心があるみたい。

  感情を、真似してる……」

その声に応じるように、ブリキの光がまた揺れた。


 ブリキの眼のような光が、微かに揺れ。

その中心で、またパネルが回転する――。


 『観察』

 『解析』

 『再戦』


 次の瞬間、空気が震えた。

こうして、“番人”の学習は始まった。

それはまだ、終わりの始まりにすぎなかった。



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