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科学で戦う異世界理系JKと、壊れかけの守護者 ~めんどり頼んだら水素爆発しました  作者: 武者小路団丸
第3章 道

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52話 王立図書館の封印

 朝靄の森を抜ける風は、まだ冬の冷たさを残していた。

明里とシルフィアは並んで歩いていた。

二人の足跡だけが、しっとりと湿った土に刻まれていく。


「……ここを越えれば、王都の街道ね」

シルフィアが杖の先で小石を弾きながら言う。

「国境の関所は厳しいって、レックスが言ってたけど」

「大丈夫よ。旅人の記録は、もう私が申請してあるわ。

 少し前に“学術調査”って名目で通行許可を取ったの」


明里は驚いて顔を向けた。

「いつの間に……」

「昨日の夜。あなたが荷物まとめてる間にね」

シルフィアはいたずらっぽく笑う。

「――明里を一人で行かせるわけないでしょ?」


明里は息をついて笑った。

「ほんとに、頼りになるね」

「でしょ?」


二人の笑い声が、霧のかかる木々のあいだから消えていった。

だがその奥には、冷たい静寂が潜んでいた。

森の影で、何かがわずかに蠢いた気がした――。



三日後。

彼女たちは《アルディナ王国》の国境を越えた。

険しい峡谷を抜け、魔物の巣窟と呼ばれる断崖を渡り、

やっとのことで、石畳の街道へとたどり着く。


遠くにそびえる白い城壁。

その内側には、霧を割って立つ王都。


「……あれが、アルディナ王都」

明里が息を呑む。

「想像よりもずっと大きい……」

「文化も魔導技術も進んでるからね。

 ここの学術機関は、ほとんど神界認定の直属よ」

シルフィアが風に髪を揺らしながら答える。


城壁の門を抜けると、

整然と並ぶ街並みと、無数の塔が空を切り取っていた。

鐘の音が響き、人々の声が重なり合う。

それは、これまで歩いてきた荒野とはまるで別世界だった。


「人が多いね……圧倒される」

「でも、安心して。目的はもう少し先」

シルフィアが指差した。


街の中央、王城の隣に建つ巨大な建造物。

天へと伸びる六本の尖塔、無数の窓に差し込む光――。


「……王立図書館」

明里はその名を、息に混じるように呟いた。


その瞬間、胸の奥がざわめいた。

理由のわからない、冷たい違和感。


扉の向こうに何かが待っている――

そんな予感だけが、静かに響いていた。



正門をくぐると、静寂が一気に広がった。

都市の喧騒が遠のき、代わりに空気が張り詰める。


内部は想像を遥かに超えていた。

無数の本棚が天井まで続き、中央には巨大な魔導球が浮かんでいる。

淡い光が棚の隙間を照らし、まるで本の海が波打っているようだった。


「すごい……こんなに多くの記録があるなんて」

明里が息を呑む。

「ここなら、“創生の術式”の痕跡も見つけられるかも」


それらしい古代に関する本を片っぱしから読み漁る。だが“創生の術式“に関しての記述が見当たらない。


「やっぱり、無いのかな?かなり読んだけど」


明里がため息をついた時、王立図書館の奥深く部屋がひっそり薄暗い寒々とした部屋を見つけた。



棚を見つめると明らかに図書館の本と違う大きな革張りの本を見つけた。




明里はそっと棚に近づいた。

空気が急に重くなる。まるで誰かが息を潜めて見ているような――。


「……これだけ他と違う」

彼女の指先が、革の表紙をなぞる。

古いのに、不思議と埃一つついていない。


シルフィアが眉をひそめた。

「触るのは待って。魔力の反応がある」

杖の先を向け、魔法陣を描くようにかざす。

淡い光が本を包み、すぐに歪んだ波紋が返ってきた。


「……防御結界。しかも、すごく古いタイプ」

「つまり、禁書ってこと?」

「ええ。封印が解けたら、何かが起きる」


明里は小さく唇を噛む。

それでも――胸の奥に湧く“呼ばれるような感覚”を無視できなかった。

まるで、その本が自分を待っているように思えた。


「……見なきゃいけない気がするの」

「明里――」

シルフィアの声を振り切り、明里はそっと表紙を開いた。


途端に、空気が一変した。図書館のドアが閉まった。

風が吹き抜け、棚の本がばらばらと揺れる。

本の中から何者か飛び出して来たような気がした。

周りを見渡すが何者も居ない。 本を触ろうとしたらどこからか「注意」音声が流れた。



本をめくろうとしたら『警告』の音声が流れた。


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